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【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

手指衛生が必要な場面とは?〜根拠がわかる看護技術

解説 藤田昌久

日本医科大学付属病院 医療安全管理部 感染制御室 看護師長 感染管理認定看護師

目次

※ここでは一般的な感染対策について解説しています。実際の対応に際しては、各医療施設で示されている感染対策に従いましょう。
また、本解説は手術時手指消毒を除きます。

手指衛生の方法
-石けんと流水による手洗いと速乾性手指消毒薬を用いた方法―

 
 手指衛生には、石けんと流水による手洗いと速乾性手指消毒薬(アルコール擦式消毒剤)を用いた方法があります。
 
 目にみえる汚れがある場合、血液や体液などが付着した場合は、石けんと流水による手洗いを行います。
 
 目に見える汚れがない場合は、アルコール擦式消毒剤による手指衛生を行います。

目に見える汚れがある・血液や体液などが付着した場合:石けんと流水による手洗い
目に見える汚れがない場合・石けんと流水による手洗いを実施した後:アルコール擦式消毒剤による手指衛生

 また、クロストリジウム・ディフィシルやノロウイルスのようにアルコール消毒に抵抗性を示す病原体による感染症が疑われる場合には、石けんと流水による手洗いを選択する必要があります。

ここに注意! 定期的な石けんと流水による手洗いも必要
 目に見える汚れがないからといって、ずっと石けんと流水による手洗いをしなくてよいというわけではありません。なぜならアルコール擦式消毒剤を頻回に使用すると、添加剤や保湿剤の残存による汚れや皮脂・その他の汚染によって、消毒効果が減弱していくためと、手指定着している芽胞形成菌(アルコール抵抗性)の物理的な除去の目的から行う必要があるからです。

 そのため、目に見える汚れがなくても定期的に石けんと流水による手洗いを行う必要があります。

手指衛生が必要な場面

 医療手指衛生に関するWHOガイドラインでは、医療における手指衛生の5つの瞬間として以下を挙げています。

①患者さんに直接接触する前
例:入室前・診察前、検温や血圧測定
②清潔操作・無菌操作をする前 例:侵襲的処置の前、カテーテル挿入、創傷処置、注射、口腔/歯科処置・ケアの前、気管吸引の前、手袋着用前など
③体液曝露リスクの後
例:検体採取及び処理後、ドレーン排液を廃棄した後、粘膜、
創傷皮膚被覆材に触れた後、嘔吐物処理後、気管吸引の後、 汚染器具、手袋を外した後など
④患者さんに接触した後
例:検温や血圧測定、胸腹部の触診、移動や介助の後、 同一患者のある部位から別の部位にケアを移すときなど
⑤患者さんの環境(特に高頻度接触箇所)に触れた後
例:リネン交換の後、ベッドサイドの清掃後、 モニターアラームの確認など

 大切なのは、自分が実際に行っている業務において、どのタイミングで手指衛生を行うか、そして手指衛生を行う意味を意識することです。

手指衛生について
(クリックして拡大)

ここに注意! 見落としがちな場面
 見落としがちな手指衛生の場面に以下の場面があります。

・患者さんに直接接触する前
 入室前に手指衛生を行っても、ドアやカーテンに触れていれば、再度、手指衛生を行う必要があります。
 また逆に、患者さんに触れた後もカーテンやドアを閉めてから、手指衛生を行うのが基本です。
・手袋を外した後
 手袋をしていたから手指衛生は必要ないと思いがちですが、手袋には、許されるクオリティの範囲内で、肉眼では確認できない穴(ピンホール)があるものが確認されています。
 そのため、手袋をしていても手指の汚染があると考え、外したあとは手指衛生を必ず行いましょう。

引用・参考文献

1)World Health Organization :WHO Guidelines on hand hygiene in health care.2009.
●藤田昌久:見直そう!感染管理.ナース専科28(7)、2008.
●CDC:Guideline for Isolation Precautions (2007).(2018年10月9日閲覧)http://www.cdc.gov/ncidod/dhqp/pdf/guidelines/Isolation2007.pdf
●藤田昌久編:ステップアップ院内感染防止ガイド.学研メディカル秀潤社、2006.

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