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【連載】困った!を解決してステロイドの基本がわかる!

ステロイド外用剤の副作用についてうまく説明できない!

解説 川合眞一

東邦大学名誉教授 医学部炎症・疼痛制御学講座教授

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目次


解決の糸口はココ

●ステロイド外用剤が適応となる理由を把握しておこう
●部位による吸収率の違いを覚えておこう


ステロイド外用剤の背景と適応を説明しましょう

 ステロイド外用剤は、1950年代から用いられており、炎症性皮膚疾患では、今もなおスタンダードな治療薬です。
 
 ステロイドの外用剤には、皮膚外用剤、鼻・気管支・口腔に用いる噴霧剤、点眼剤、口腔用剤、浸透性外用剤などがありますが、ここではアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などの皮膚疾患で使う皮膚外用剤について説明します。
 
 外用剤は薬用成分の主剤と、薬剤成分を溶かしている基剤から作られています。ステロイド外用剤は主剤がステロイドで、基剤には軟膏やクリーム、ローション、テープなどがあります。
 
 幅広い炎症性皮膚疾患に適応があり、特にアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎などの治療には、第一選択薬として使用されています。
 
 一方、蕁麻疹については、第一選択薬は抗ヒスタミン薬の内服で、ステロイド外用剤の適応はありません。また、皮膚局所感染や潰瘍、第Ⅱ度深在性以上の熱傷・凍傷での使用は禁忌です。

副作用が出やすい部位があることを伝えましょう

 ステロイド皮膚外用剤は、薬効の強弱によって、5段階(ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、マイルド、ウィーク)に分かれています。これを炎症症状によってうまく使い分けていくことが大切です。最初は強いものから、だんだん弱いものに変えていき、最終的には塗らなくてもよくなるようにしていきます。毎日、同じ場所に機械的に塗っていると、副作用が出てくるので、症状の観察は大切です。
 
 外用剤の吸収率は、皮膚の部位によってかなり違います(図)。角質層の厚い手掌や足首は低く、頭皮、腋窩、前額で高くなっていきます。そして、顎や陰嚢などの吸収率はそれ以上に高くなっています。このように吸収率の高い局所では副作用が出やすいということです。
 
部位別にみたステロイドの経皮吸収率
 
 ステロイド外用剤は、このような特性を踏まえて使用するため、まずは患者さんにこの特性を理解してもらうことが大切になります。

免疫抑制薬との併用など治療の幅は広がっています

 ステロイド外用剤の副作用は、大きく2つに分けられ、使用した局所に現れるものと、吸収されて全身に現れるものがあります。
 
 局所に現れるものとしては、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、酒さ様皮膚炎(赤みやほてりが生じる)などがあります。一方、吸収されて起こるものは、内服剤と同じように満月様顔貌(ムーンフェイス)や糖尿病などがあります。この場合、副腎不全を起こす可能性もあるので注意が必要です。
 
 外用剤は注射剤や内服剤に比べ、吸収される量もそれほど多くはありませんが、それでも広範囲に塗ると、内服剤と同じような副作用が出る場合もあります。しかし近年では、免疫抑制薬の併用やプロアクティブ療法などによって治療の幅は広がっています。
 
 患者さんのステロイドに対する拒否感が強い場合、ステロイドを使ったほうがよい状態と、ほかの薬剤や治療法を組み合わせたほうがよい状態があるので、皮膚科の医師や専門医に相談するようにします。

◆check◇ 外用剤の特性を知って正しく塗ることも大切
 ステロイド外用剤は、表皮から真皮の炎症を鎮静化することを目的に作られています。角層を透過することで薬剤が吸収されますが、角層は水分量が多いときのほうが吸収がよいので、皮膚に湿り気がある入浴後などに塗ると、より吸収されることになります。
 
 また、厚く塗ったり、何度も擦り込んでも、炎症部に薬剤が多く届くわけではないので、薄く塗れば十分です。初診時に、実際に必要な量の軟膏を出して患者さんにみせ、どのくらいが適当なのかを確認してもらいます。そして、実際に塗ってみせると、正しい塗り方と量がわかりやすいでしょう。

参考文献
● 川合眞一,編:研修医のためのステロイドの使い方のコツ.文光堂,2009.


この記事はナース専科2017年12月号より転載しています。
イラスト/ふるやますみ

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