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【連載】困った!を解決してステロイドの基本がわかる!

患者さんに満月様顔貌(ムーンフェイス)が生じた!

解説 川合眞一

東邦大学名誉教授 医学部炎症・疼痛制御学講座教授

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目次


解決の糸口はココ

●満月様顔貌の発現理由・時期を知っておこう
●ステロイドの減量・中止により改善することを覚えておこう
●患者さんの心情を理解しよう


満月様顔貌が生じるメカニズムを知っておきましょう

 満月様顔貌は、ステロイドの副作用の中でも、特徴的な外見上の変化の1つです。顔に脂肪がつき、丸くなることから「ムーンフェイス」と呼ばれます。頻度も高く、投与開始後比較的早い時期から出現します。

 ステロイドを投与すると、体内のコルチゾールが増えるのと同じことになり、糖新生が亢進されます。すると今度は、糖の上昇を抑えるためにインスリンの分泌が増えることになります。このインスリンの受容体は脂肪細胞に多くあり、そこにインスリンが結合することで、脂肪の合成を亢進したり、分解を抑制したりするので、身体に脂肪がつきやすくなります。特に、インスリン感受性が強い脂肪細胞が多くあるといわれる顔や腹部に、脂肪がつきやすくなるので、その部分が丸く膨らむのです。
 
 満月様顔貌のほか脂肪が異常につく症状としては、腹部に現れる「中心性肥満」や、首の後ろに生じる「野牛肩」があります。 

外見上の変化に対する患者さんの心情を理解しましょう

 満月様顔貌は、重篤化して生命の危機にかかわるというものではありません。しかし、外見の変化は、患者さん、特に女性にとっては、非常につらいものです。人と会うことを避けたり、ステロイドの継続使用を拒絶したり、自己判断でステロイドの使用をやめてしまう大きな要因となっています。外見上の変化には、ほかに、皮膚が薄くなることでひび割れのようなスジができる皮膚線条、皮下出血などがあります(図)。
 
ステロイドによる外見上の変化
 
 こうした副作用は、残念ながらステロイドを使用している期間は避けることのできないもので、医療的な対処もできません。うつ状態の一因となる症状でもあるだけに、患者さんの心のケアという看護的な対応が求められる副作用といえます。
 
 満月様顔貌への苦悩を訴える患者さんに対しては、まずは、症状が起こる原因、そして、原疾患の症状が治まり、ステロイドの投与を減量したり、終了すれば、症状は改善・消失することを説明しましょう。投与量が15mg/日以下になると少しずつ改善してくるので、これを1つの目安として伝えてもよいでしょう。また、副作用の出現は、薬剤の効果の裏返しであることも伝えてみます。使用を勝手にやめてしまうと、原疾患の症状悪化だけでなく、ステロイド離脱症候群を発症することにもなってしまうので、それを丁寧に説明し、患者さんの理解を促していくことが重要になります。
 
 さらに、食べ過ぎるとステロイドの影響以上に余計に脂肪がついてしまうので、カロリーコントロールをしたり、適度な運動をするなど、症状の悪化を招かないために、日常生活のなかでできることも伝えていきます。「このままムーンフェイスが治らないのでは」という患者さんの不安を軽減できるような言葉かけを心がけていきましょう。

参考文献
● 川合眞一,編:研修医のためのステロイドの使い方のコツ.文光堂,2009.


この記事はナース専科2017年12月号より転載しています。
イラスト/ふるやますみ

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