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進行乳がんの診断と乳房組織マーカを用いた治療の工夫 ー 第40回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会 ランチョンセミナー5【PR】

取材 伊藤 充矢

広島市立広島市民病院 乳腺外科 部長

取材 渡邉 良二

糸島医師会病院 乳腺センター 副院長 乳腺センター長

提供 株式会社メディコン

株式会社メディコン

第40回日本乳腺甲状腺超音波医学会学術集会のランチョンセミナーが、2018年3月25日(日)東京・京王プラザホテルで開催されました。
座長の渡邉良二先生(糸島医師会病院 乳腺センター)のもと、伊藤充矢先生(広島市立広島市民病院 乳腺外科)が登壇しました。
乳がん検査における吸引式組織生検(VAB)の活用法、乳がん治療への乳房組織マーカ使用の実際、さらに整容性と根治性を追求した乳がん手術に関する知見が紹介されました。

演者
広島市立広島市民病院 乳腺外科 部長 伊藤 充矢先生

座長
糸島医師会病院 乳腺センター 副院長 乳腺センター長 渡邉 良二先生


乳がん治療の流れ

 広島市立広島市民病院は病床数743床、乳腺外科は医師5人、原発性乳がんの年間手術件数は556件(2017年)です。乳腺外科の仕事には一次検診~二次検査、治療(手術・薬物療法)、術後の経過観察があり、進行再発乳がん治療や、さらには緩和ケアまでつながっています。病院連携やチーム医療が基本ではありますが、すべてが診られる乳腺外科医であることも大切だと考えています。

吸引式組織生検(VAB)の活用法

 超音波ガイド下VABの適応は、穿刺吸引細胞診(FNAC)や針生検(CNB)で鑑別困難な症例、乳房の全摘出術を行うなど絶対に診断を間違えてはいけない症例です。また最近術前薬物療法を行う事も多く、治療前の組織情報が非常に重要となっているため、そのような症例には、採取される組織量の多いVABを積極的に施行しています。そして患者さんの病状の受け入れ状態も大事なポイントだと考えています。早急な治療開始が必要と理解されている患者さんには、一発で正確な診断結果を得られる可能性が高いVABを行うことも、患者さんからの信用・信頼に繋がると考えています。元々、CNBとハンディタイプのVABを使用していましたが、現在ではEnCor ULTRATM システムを使用しています。この製品は掃除機のようなサイズ感で、コンパクトで取り回しがよく、準備が簡単で、看護師にも評価が良いです。この製品の一番の良さは、「穿刺の容易さ」です。今まで各社様々なVAB装置を試しましたが、この製品の針先端は非常に刺さりやすい形状になっているため、刺入時のストレスが軽減されました。

 針は7G、10G、12Gの3サイズあり、このうち一番細い12Gを採用しています。EnCor ULTRATMシステムは穿刺が容易で、吸引力が強いため、確実で十分な組織採取が行えます(図a)。また1回の穿刺で組織を連続採取できる点、Denseモードがある点、連続吸引が可能である点、手元のドライバーの先端にLEDライトが付いている点など、とても便利で使い勝手が良いです。

EnCorULTRAシステム

 ステレオタクティックマンモグラフィ(ST)ガイド下VABは、放射線科と乳腺外科合同のカンファレンスで適応を決定し、放射線科の医師、診療放射線技師、看護師、乳腺外科の医師でチームを組んで実施しています。2005~2017年に909件行い、成功率は97%を超え、悪性は約30%、境界病変が5%、良性が64%でした。

乳房組織マーカ使用の実際

 VABから挿入するマーカとして用いているのは、SenoMarkTMUltra ブレストマーカーです。図bの症例では、淡く不明瞭集簇な石灰化病変を採取、マーカを留置し(図b-1)、病理結果が非浸潤性乳管がんだったので、マーカを目印として乳房温存手術を行いました。手術標本の病理結果は、非浸潤性小葉がんでした(図b-2)。マーカは、ピンクリボンと同じ形のチタン合金製のクリップと、体内非吸収性のポリビニルアルコールとが一体となっています。これらが、体内吸収性の筒状のパッドの中に収まっています。この製品を採用している一番の理由は、留置後位置のずれが少ないことです。

マーカー留置
手術標本

 STガイド下で留置したマーカを超音波で視認するコツは、石灰化の位置からマーカ留置部位をイメージすること、留置後早い段階に超音波で穿刺ルートを確認していくことです。穿刺口を見た上でマンモグラフィーを見直し、目星をつけて超音波を当て直すと、なんとなく毛羽立ちが見えて、穿刺ルートがわかります。ここからずらして追いかけていくと、瘢痕部が見えてきて、瘢痕の中をよく見ていくと、マーカが確認できます。乳腺は生理周期などの条件によって見え方が変わる場合もあるため、マーカを確認した後、すぐ患者さんにお願いしてマジックでマーキングして写真を撮っています。超音波装置の設定に関しては、Focusを背側寄りにし、CompoundのOn-Offの比較(マーカを際立たせるときはOff)を行うと見えやすくなると思います。

術前薬物療法とマーカ

 2007~2015年に術前薬物療法を行った451例の病理学的奏効(pCR)率は、26.4%でした。組織型別にみると、がんの消失率には大きな幅があります(表1)。術前薬物療法でがんが消失してしまうと、どこを取ったらよいのかわかりにくくなるため、マーカ留置を行います。術前治療をする際には、マーカとしてUltraClipTM ブレストマーカーを入れています。これは直接穿刺で挿入するタイプのものです。可能であれば腫瘍の中心に留置しますが、難しければ腫瘍の脇にわずかに引っかかるような形で入れ、腫瘍や周囲乳腺との位置関係を記録しておきます。腫瘍が小さくなってきたら(図c)、マーカを目印に、周囲乳腺との位置関係を考えて切除範囲を決定しています。

病理学的奏効(pCR)率
腫瘍

整容性と根治性を追求した乳がん手術

 当科での乳がん手術のこだわりは、「しっかり取って治す」。整容性、Oncoplastic breast surgery、腫瘍学と形成外科学を加味した乳がん手術を行っています。

 病状をしっかり把握し、その上で進行がんであれば根治性を優先します。限局性病変には乳房温存手術を行いますが、乳房温存手術で大切なのは造影MRIです。より詳細ながんの広がりを診断するために、非特異的濃染が起きる前の、かなり早いタイミングで撮像を行っています。超早期相で詳細な広がり診断が可能な場合は、切除範囲をより小さくした乳房温存手術を行っています。広範囲病変は全摘±乳房再建を行います。乳房再建を行う場合は形成外科医と密に連携し、病変と関係の無い脂肪組織など残したほうがよい所の相談をすることも非常に大切です。皮膚をできるだけ愛護的に扱うことや、細い糸で縫うといった形成外科のノウハウも活用しています。

形成外科と連携した乳房再建

 傷跡がなるべく目立たないように、症例に応じて、できるだけ皮膚は残し、さらには乳頭乳輪も残す乳房再建も行っています。乳頭乳輪を残すと非常にきれいですが、乳腺組織が残るため、長く診ていると乳頭部の局所再発も経験します。
 そのため最近では、乳頭くり抜き乳輪温存乳房切除術(areola-sparing mastectomy:ASM)を行っています。乳頭をくり抜いて、乳房下溝からも挟み撃ちにする切除方法です。乳頭を切除した部分は、対側の乳頭の半分を移植します。そうすることで、乳頭乳輪温存と遜色ない整容性が保たれます。

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