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【連載】いまさら聞けない 脳神経外科ドレナージのしくみと管理の基本

【排液】【圧設定】【感染】で考えるドレーン管理の基本|脳神経外科でドレナージが必要な理由③

執筆 福永 篤志

公立福生病院脳神経外科 脳神経外科 医長/気象予報士

 治療中や術後などに留置される脳神経外科領域のドレーンには、守らなければならない管理上の注意点がいくつかあります。それを理解するために、まずはドレナージのしくみと種類、そして3つのキーワードをもとにドレーン管理の基本について解説します。


目次


【排液】【圧設定】【感染】で考えるドレーン管理の基本-管理・観察で忘れてはいけない3つのキーワード!-

[管理上の基本となるポイント]

 脳神経外科でのドレナージでは、その特性から、重要な3つの管理・観察のポイントがあります。ドレーン管理の各論に入る前に、その理由と原理、管理上の基本について触れておくことにしましょう。

Point❶排液
 前述したように、排液は髄液か血液(血腫溶解液)、あるいはその混合液となります。脳室ドレナージであれば、無色透明な髄液が原則ですし、脳槽ドレナージであれば、血性~キサントクロミーの髄液が原則となります。この原則をしっかり押さえておきましょう。

Point❷圧設定
 脳を守るためには、頭蓋内圧を正常範囲内に管理しなければなりません。ドレナージすることで、その患者さんにとって適切な圧にコントロールすることが重要です。

Point❸感染
 頭蓋内は無菌であり、感染を起こすと直ちに髄膜炎や膿瘍となり、生命の危険があります。したがって、ドレナージの管理には無菌操作が必要となります。

[排液のしくみ]

 ドレナージを管理するうえで、排液のしくみを知っておくことは重要です。ここで、サイフォンの原理について考えてみましょう(図1)。サイフォンの原理とは、チューブ内で連続した液体が出発点よりも高い所を経由して下へ流れるというものです。出発点と終点(排出点)の圧較差を利用するもので、出発点は終点よりも高い位置にある必要があります。灯油を吸い上げる手動ポンプが典型例です。

 ドレナージも、チューブ内が液体で満たされていれば、サイフォンの原理が働きます。したがって、もし排出側のチューブ先端が頭蓋内の先端よりも低い位置にあると、たとえチューブが途中で高い位置にあっても、ドレナージされ続けることになります。そうすると、オーバードレナージの危険があります。具体例を挙げると、検査に移動する際にドレーンのクランプを忘れてしまい、移動の間ずっとドレナージされ続けたというものです。ドレナージの管理にはサイフォンの原理を忘れないようにしましょう。

サイフォンの原理

[排液の性状、平均排出量]

 排液の性状は、ドレナージの種類によって異なります。前述のように、脳室ドレナージは無色透明、脳槽ドレナージは血性~キサントクロミーといった原則をしっかりと押さえておくことが大切です。性状が突然変化したら報告の対象となります。

 排出量は、髄液の産生量が約20mL/hrなので、それよりも多い場合にはオーバードレナージの危険があります。逆に、流出が著しく悪かったり、チューブ内に拍動が観察されない場合には、チューブの閉塞かフィルターの汚染が考えられます。速やかな報告が必要です。硬膜外・硬膜下・皮下ドレナージの場合には、髄液は排出されないのが原則なので、もし水っぽい排液が継続するときは、担当医に報告しましょう。

[設定圧の基本と管理]

 設定圧は、脳室・脳槽・スパイナルドレナージの場合、頭蓋内圧の正常範囲内で排出量をみながらコントロールすることになります。硬膜外・硬膜下・皮下ドレナージの場合は、排液バッグをベッド上に置き、0cmH2Oとするのが通常です。

 管理上の注意点は、クランプ忘れや排液バッグの落下などによるオーバードレナージと、ドレナージ回路のフィルター閉塞によるドレナージ異常です。検査等のため、患者さんを移動するときにドレナージ回路を点滴架台から外してベッド上に置くなどしたときに、排液が回路内のフィルターにかかってしまうと、フィルターが目詰まりして大気と交通しなくなるため、検査等から帰室した後に、サイフォンの原理によりオーバードレナージとなったりすることがあります。逆に、チューブ内に空気が入っているとドレナージが働かなくなることがあります。回路を外す前に、チャンバー内の排液はすべてバッグ内に流しておかなければなりません。

[無菌操作への理解]

 皮下を除くドレーンチューブは頭蓋内と接続しているので、細菌を頭蓋内に侵入させないようにします。細菌の侵入は、ドレーンチューブの刺入部でチューブが上下に動くことで促進されますので、感染予防のためには、チューブの固定と刺入部の清潔管理が最も重要です(図2)。もちろん、チューブの連結部等からの細菌の侵入を防ぐため、ドレナージ回路全体ができるだけ汚染されないように管理することも重要です。

ドレーンチューブからの細菌の侵入

イラスト/こさかいずみ

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