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【連載】注射・採血・輸液の手技徹底攻略!

知っておきたい静脈ルート確保に必要な基礎知識

執筆 小畑絹代

大分県立病院 がん看護専門看護師・がん化学療法看護認定看護師

Q.静脈ルートの確保の経験が少ないのですが、どのようなことを基礎知識として確認しておけばよいでしょうか

A.血管の種類、挿入部位の選び方、挿入方法について知っておきましょう。


おさえておきたい基礎知識

 基礎知識として知っておきたいことは、以下の3つになります。

1.血管の種類について
 血管(動脈・毛細血管・静脈)について知っておきたい基礎知識を紹介します。

  1. 動脈:心臓のポンプ作用によって、心臓から送り出される血液が流れる血管を動脈といいます。
  2. 毛細血管:細動脈と細静脈を結ぶ、平滑筋を欠く血管を毛細血管といいます。
  3. 静脈:心臓に戻る血液が流れる血管を静脈といいます。

2.挿入部位の選び方について
 通常、静脈ルートの挿入部位は、患者さんの体動によりルート針が血管外に抜けるのを防ぐため、肘部や手関節部はなるべく避けます。

 点滴に適した血管として、橈骨正中皮静脈、尺骨正中皮静脈、橈骨皮静脈、尺骨皮静脈などがあります。また、基礎疾患の影響で浮腫があり血管が確認しにくい場合は、手背や足背から静脈ルートを確保します。
 
*肘(内側)と手背の関節部付近は正中神経の損傷など医療事故多発地帯!
*手背の橈側の皮下には橈骨神経浅枝が分布しており、肘窩と同様に医療事故が多い部位! 手関節部より中枢側12㎝以内は特に注意が必要です。

静脈

3.挿入方法について
 皮膚に対して15~20°の角度で穿刺し、血液の逆流を確認できたところで、3mm程さらに進めた後、外筒のみ完全に押し進め、駆血帯を外して内筒を抜去します。
 
 患者さんが強い疼痛を訴えた場合、神経障害のリスクがあるためすみやかに抜去します。そのまま留置した場合、不可逆的な神経障害により、麻痺やしびれなどの後遺症が残る可能性があります。

失敗したときのワンポイントアドバイス

 穿刺に失敗をしたときは、すみやかに患者さんに伝え、穿刺針を抜去します。再び、穿刺のためにすぐに駆血をすると出血したり、腫脹することがあるので注意します。
 
 2回程度穿刺を失敗した場合は、自分一人で行おうと思わず、他のスタッフと交代することをおすすめします。交代する際は、患者さんに説明や声かけを行い、不安にさせないようなかかわりをしましょう。


【引用・参考文献】
1)五味敏昭,寺嶋美帆,國澤尚子:採血・静脈注射の実施に関して確認しておきたい血管の基本知識.臨床看護 2008;34(1):p.2-7.
2)寺嶋美帆,西原賢:肘窩を走行する静脈の特徴と安全領域.臨床看護 2008;34(1):p.8-13.
3)名取宏樹:静脈注射や採血のための穿刺のコツ.ナーシング 2016;36(10):p.22-24.
4)光永敏哉:患者が疼痛を訴えたら神経損傷リスクに注意せよ.ナーシング 2017;37(1):p.39-40.
5)寺嶋美帆、西原賢:手背を走行する静脈注射の特徴と安全領域.臨床看護2008;34(1):p.14-18.

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