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【連載】基礎からわかる! 骨粗鬆症

骨粗鬆症の原因と分類

執筆 小尾 礼

柏厚生総合病院 看護師長/骨粗鬆症マネージャー

目次


骨粗鬆症とは?

 そもそも骨粗鬆症とはどのようなものでしょう。WHO(世界保健機関)では「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義1)しています。
 
 つまり骨粗鬆症は疾患(治療が必要)であり、結果として骨折という合併症を引き起こすというわけです。「加齢現象なのだから病気ではない」という考えではなく、「きちんと診断し治療すべき疾患」として捉えなければなりません。
 
 高齢者の転倒、骨折は要支援・要介護の主要因であり、我が国のような超高齢社会においては健康寿命の延伸のためにも、骨粗鬆症の治療と予防を行うことが重要となってきます。また、骨折の危険性が増大する疾患であることからも、骨粗鬆症の診断に加えて、個人の骨折危険因子も考慮し、総合的に評価することが求められます。

骨が脆弱化する原因

 骨粗鬆症による骨折は、推体、大腿骨近位部、橈骨遠位部、上腕骨近位部などで生じやすく、骨の強さ(骨強度)が低下することでおこります。骨強度は7割が骨密度、そして3割が骨質によって決まります。この骨密度と骨質が低下することで骨強度が弱まり、骨は脆弱化していきます。

 骨は絶えず生まれ変わっています。破骨細胞が古い骨を壊して(骨吸収)、骨芽細胞が新しい骨を形成(骨形成)することで骨の状態を維持しています。この吸収と形成を繰り返し、骨を再構築するシステムを「骨代謝回転=骨リモデリング」といい、このバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回る(壊されるけど、つくられない)状態になると骨密度が低下してしまいます。
 
 骨リモデリングに影響する因子として各臓器(脳や膵臓、腎臓、精巣など)から分泌されるホルモンやタンパク質が挙げられ、各臓器と骨は互いに相関して代謝に影響を及ぼしていることが明らかになっています2)
 
 次に、骨質を決める因子として、①骨微細構造、②骨代謝回転、③微小骨折、④石灰化度の4項目が挙げられます。
 
①骨微細構造
 大腿骨では皮質骨が多くを占めており、皮質骨の太さと厚さが強度に影響しています。太くて厚いほど強度が増します。また海綿骨を多く含む椎骨では、骨梁と呼ばれる柱状の骨の太さや連結性が骨の強さに影響しています。

②骨代謝回転
 前述のように、骨は吸収と形成を繰り返すことで状態を維持しています。骨吸収が異常に活性化したり、骨形成が低下して骨代謝回転に異常が生じると、骨質も劣化します。

③微細骨折
 日々の荷重による疲労で起こる細かいひびのような亀裂で、これが多いほど骨質は劣化します。

④石灰化度
 コラーゲン線維にハイドロキシアパタイトが沈着することで石灰化が進み、骨は形成されています。この石灰化がすすむほど、骨は固く丈夫になります。

 上記以外で骨質に影響を及ぼすものとして、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病があります。生活習慣病は先ほど述べたように、臓器との相互作用により骨代謝に影響を及ぼすため、骨質が低下するのです3)

骨粗鬆症の分類

 骨粗鬆症は、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の大きく2つに分けられます。
 
 原発性骨粗鬆症は、多くの生活習慣病[糖尿病・脂質異常症・高血圧・慢性腎臓病・慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)など]や遺伝的要因、加齢、閉経、さらに生活習慣(喫煙・飲酒)など複合的な要因によって引き起こされます。

 一方、骨の劣化を引き起こす特定の原因(表)がある場合を続発性骨粗鬆症といい、特に男性や閉経前の女性で起こる可能性が高いとされています。

 原因は表に挙げた以外にも、低骨量を呈する疾患として悪性腫瘍の骨転移や多発性骨髄腫、脊椎カリエス、化膿性脊椎炎などもあり、これらも鑑別しなければなりません。低骨量を来す原因となっている病態の治療は並行または優先して行う必要があります。また、ステロイドや免疫抑制薬の内服も続発性骨粗鬆症の原因となるため、服薬中の薬剤も忘れずに確認しましょう。
 
 原発性・続発性いずれにおいても、鑑別に際しては問診や触診、血液検査、尿検査が有用です。看護師として問診の際に病歴や身体所見を聴取し、医師と共有することが求められます。

表 続発性骨粗鬆症の原因
続発性骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.続発性骨粗鬆症の原因.p.126より引用


【引用・参考文献】
1)Assessment of fracture risk and its application to screening for postmenopausal osteoporosis.Report of a WHO study group.WHO technical report series 1994.p.843
2)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.p.10-11
3)生活習慣病における骨折リスク評価委員会 編:生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド2011.p.2-5
●骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.

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