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【連載】基礎からわかる! 骨粗鬆症

骨粗鬆症の検査と診断

執筆 小尾 礼

柏厚生総合病院 看護師長/骨粗鬆症マネージャー

目次


骨粗鬆症診断までの7つのポイント

 骨粗鬆症の診断をするには、①問診、②身体所見、③画像診断、④血液・尿検査、⑤骨密度測定を行い、⑥原発性骨粗鬆症以外の鑑別診断を行ったあと、⑦原発性骨粗鬆症の診断基準を適用して判断します。①~⑦のそれぞれのポイントを解説します。

ポイント①:問診

 低骨量を呈する他疾患の病歴の有無、現在の内服薬、骨折の危険因子(年齢、現在の喫煙、BMIの低値、ステロイド投与、脆弱性骨折の既往、関節リウマチ、両親の大腿骨近位部骨折歴、アルコールの過剰摂取)1)の有無、生活習慣[喫煙、アルコール摂取、運動の程度、栄養(食事)摂取の程度など]、女性の場合は閉経の有無を確認します。

 骨折危険因子は多く当てはまるほどリスクが高く、今後の薬物治療開始の判断材料となるため、問診時に聴取しておく必要があります。また、WHOの定める骨折リスク評価ツールとして「FRAX®」(図1)があり、エビデンスに基づいた骨折リスク因子を入力することで、個人の将来10年間の骨折発生確率が算出できます。
 
 FRAX®のホームページでは、簡単な入力で判定結果がわかるほか、ペーパーバージョンのツールをダウンロードして印刷することもできます。患者さんの目につくところに置いておくのもよいでしょう。

図1 FRAX®(骨折リスク評価ツール)
FRAX

ポイント②:身体所見

 身長、体重、立位の姿勢、歩き方(足を引きずるなどの歩行異常、歩行速度)を観察します。
  
 20代のときと比べて身長が4㎝以上縮んでいると、骨の脆弱化による椎体骨折を起こしていると考えられます。また、低体重のほうが低骨密度になりやすいとの研究結果があり、BMIが低いと大腿骨近位部骨折を起こしやすいこともわかっています。

 身長と体重から低骨密度のリスク評価ができる「FOSTA」(図2)という簡易ツールがあり、骨粗鬆症の自己評価の目安になります。患者さんの目のつくとことにFOSTAの表を置いておくのもよいでしょう。
 
 そのほか、壁側に直立してもらい後頭部が壁につかない場合は、既に椎体骨折を保有していることが多く、患者さんの姿勢にも注目しなければなりません。

図2 FOSTA(骨粗鬆症自己評価指標)
FOSTA

ポイント③:画像診断

 胸腰椎の単純X線で椎体骨折の有無を判断します。椎体骨折は無症候性である場合が2/3存在し、いわゆる「いつの間にか骨折」を起こしている患者さんを発見できます。
 
 一度骨折をしたことがある人は骨折したことがない人と比較し、次に骨折を起こす確率が1.6倍から部位によっては6倍近くにもなります。ですから、既存骨折を発見することはとても意義のあることといえます。

ポイント④:血液・尿検査

 鑑別診断をするためにも重要です。また、骨代謝マーカー(骨吸収マーカーと骨形成マーカー)が骨折予測因子になることはすでに報告されています2)。さらにマーカーは薬剤選択の指針、治療効果の判定にも有用であり、できるだけ治療開始前の状態がわかるよう、診断の際に測定することが望ましいとされています。

ポイント⑤:骨密度測定

 診断には、二重エネルギーX線吸収測定法(dual-energy X-ray absorptiometry:DXA)による腰椎または大腿骨近位部の骨密度値を用います。複数部位で測定した場合は、より低い%値を採用します。

ポイント⑥:鑑別診断

 骨粗鬆症は、多くの生活習慣病や遺伝的要因、加齢、閉経、さらに生活習慣など複合的な要因によって引き起こされる原発性骨粗鬆症と、骨の劣化を引き起こす特定の原因を有する続発性骨粗鬆症の大きく2つに分けられます。

 原発性・続発性ともに、鑑別に際しては問診や触診、血液検査、尿検査が有用です。看護師は問診の際に病歴や身体所見を聴取し、医師と共有することが求められます。

ポイント⑦:原発性骨粗鬆症の診断基準

 日本骨粗鬆症学会の定める診断基準は図3のとおりです。骨粗鬆症が骨折リスクを増大させ、脆弱性骨折のある例では骨折リスクが高いという事実を重視し、脆弱性骨折がある場合とない場合の2つのカテゴリーに分けて基準を設けています。
 
 つまり、脆弱性骨折の既往があるかないかで、判定する骨密度値の境界値が異なり、それほど骨折の既往は骨粗鬆症の診断に重要な要素なのです。
 
 さらに、その部位が大腿骨近位部と椎体の場合、骨密度の値に関係なく骨粗鬆症と診断されます。なぜなら、この2部位は骨折すると生命予後に関与することも多く、また要介護状態を引き起こす骨折だからです。
 
 四肢の骨折の既往などは本人の自覚がありますが、椎体骨折においては無症候性のことも多いため、身長低下の問診やレントゲン撮影が重要となってきます。

図3 原発性骨粗鬆症の診断手順
原発性骨粗鬆症の診断手順
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.原発性骨粗鬆症の診断手順.p.18.より引用


【引用文献】
1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015.p.18
2)Ivasa KK,Gerdhem P,Vaananen HK, et al.Bone turnover markers and prediction of fracture: a prospective follow-up study of 1040 elderly women for a mean of 9 years.J Bone Miner Res 2010;25:393-403

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