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【連載】基礎からわかる! 骨粗鬆症

骨粗鬆症の看護のポイント

執筆 小尾 礼

柏厚生総合病院 看護師長/骨粗鬆症マネージャー

目次


早期発見と適切な治療につなげるために

 骨粗鬆症を治療するには、まず骨粗鬆症の患者さんをみつけることからはじめなければなりません。骨粗鬆症自体は無症状のため、問診や骨密度測定で、より早期に患者さんを発見することが重要です。また、すでに治療中の患者さんへは治療が継続できているか、できていない場合は要因がどこにあるのかを見極め、対処法を考えなくてはなりません。
 
 ここでは、整形外科外来、病棟(整形外科・整形外科以外)での看護のポイントを解説します。
 

<整形外科外来編>

 骨粗鬆症の患者さんを見つけるには、腰痛で来院したときなどがチャンスです。例えば、『「腰痛で来院した40歳以上の女性」「骨折で来院した40歳以上の患者さん」には全例で骨密度を測定する!』といったように院内ルールを決めてしまうと、治療対象の患者さんを見つけ出すのが容易になり漏れも少なくなります。待合室の患者さんの目の届くところにポスターを貼ったり、FRAX®問診表を置いたりすることも啓発につながります。
 
 看護師は、「骨粗鬆症の検査と診断」で述べた問診手順で骨粗鬆症や今後の骨折リスクを算出し、算出されたリスクを患者さん、医師と共有します。そして、骨密度を測定し、診断基準と薬物治療開始基準に従い今後の方針を決めます。医師のみでこれらの作業をすべて行うことは難しく、看護師がこの評価をできるとよいでしょう。
 
 また、すでに薬物による治療を受けている患者さんには内服の残薬の数量が合っているか、副作用は出ていないか、カルシウム値、腎機能値、そして骨代謝マーカーなどが定期的に採血されているかなどを調べ、医師と情報を共有します。服薬や検査値に問題があれば、患者さんの状況に合わせて薬剤変更の提案をしたり、既存のパンフレットを用いて食事指導や運動指導をします。

<整形外科病棟編>

 整形外科病棟に入院してくる患者さんの多くは、骨折、急性腰痛、人工関節置換術目的などでしょう。前述しましたが、大腿骨近位部、椎体の脆弱性骨折はおこした時点で骨粗鬆症と診断され、しかも薬物治療の対象となります。
 
 この部位を骨折しているにもかかわらず、未治療の患者さんを見落とさないためにも、薬物治療の対象となる疾患や、治療を開始するまでの手順をまとめたマニュアルを作成することをお勧めします。骨折は連鎖することがわかっており、一度目の骨折でいかに介入・治療を行い、二次骨折を予防していくかが重要なポイントになります。外来と同様にリスク因子を問診し、患者さん本人や医師と共有します。
 
 すでに治療が開始されている患者さんでは、薬歴を確認します。SERM製剤にはVTEのリスクがあるため、臥床している患者さんへの継続使用は好ましくありません。また、週1回や月1回、半年に1回など投与間隔のあいている薬剤を使用している場合、最終投与日はいつなのかを確認し、次回の漏れがないようにします。

 なお、静注や皮下注製剤はお薬手帳には記載されずそれ専用の手帳を持っていることも多く、患者さんや家族への問診が重要です。
 
 骨折患者さんの多くは転倒が原因です。整形外科病棟ですとリハビリテーションの処方が出ることが多いです。リハビリセラピストと情報を共有し、骨を丈夫にする運動指導を取り入れたり、入院中や退院後の生活環境において転倒予防に向けた環境設定を行うようにしましょう。
 
 また、パンフレットを患者さんに配布して啓発することもお勧めします。患者さんは骨折で痛い思いを経験した直後で骨粗鬆症自体に興味が湧きやすく、意欲的な治療にもつながりやすいのです。

<整形外科以外の病棟編>

 さまざまな疾患で入院してくる患者さんが多いと思いますが、骨折のハイリスクである生活習慣病(表)の患者さんに、治療が必要な骨粗鬆症患者さんがいることが考えられます。
 
表 骨折のハイリスクとなる主な生活習慣病
骨粗鬆症のハイリスクとなる生活習慣病
 
 特に糖尿病や慢性腎不全、慢性呼吸不全などは入院加療をすることも多く、主病の治療が落ち着いたら骨量測定を行ったり、問診をしたりして骨折リスクを算出し、骨粗鬆症の治療につなげられるとよいでしょう。加えて、これらの患者さんは骨折危険度が高いことを念頭におき、「転倒したら骨折するかもしれない」と考え、入院中の生活環境を整える必要があります。

 また、経口ステロイドの長期使用は骨粗鬆症の危険度が増すため、ステロイド性骨粗鬆症の治療ガイドラインが別途あり、3カ月以上の服用にはBP製剤を第一選択として処方するように定められています。リスク評価を行い、主治医へそれらを提案できるとよいでしょう。同様に続発性骨粗鬆症を合併する患者さんの評価も行えるとよいと考えます。
 
 さらに、どの患者さんにも共通して重要なのが口腔ケアです。看護だからこそできる全身的ケアを目指しましょう。

 以上それぞれの部署でのポイントをお話ししましたが、これらは相互に関係しており、どの部署においても共通の認識が必要です。
 
 なお当院では、骨粗鬆症マネージャーを含む多職種(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、管理栄養士、地域連携課担当者、医療クラーク)が連携して、骨粗鬆症の薬物治療と治療継続率の向上、および骨折予防の推進を図る、「骨粗鬆症リエゾンサービス(osteoporosis liaison service:OLS)」に取り組んでいます。
 
 骨粗鬆症患者さんの増加を防ぐために、今後ますます多職種連携が重要視されるとともに、多職種間の調整や医療者と患者さんとの架け橋として、看護師の活躍が求められることが考えられます。

【Column】骨粗鬆症マネージャーとは

 骨粗鬆症の予防、診断と治療とを提供し、また広く社会啓発活動を行うことで、超高齢社会における健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献することを目指し、骨粗鬆症に関する知識を有するメディカルスタッフ(医師/歯科医師以外の医療従事者)を専門スタッフとして日本骨粗鬆症学会が認定する制度です1)。申請に必要な資格・要件、申請方法などに関する詳細は、日本骨粗鬆症学会のホームページをご参照ください。


【引用文献】
1)日本骨粗鬆症学会:骨粗鬆症マネージャー制度http://www.josteo.com/ja/liaison/authorization/rule.html(2019年2月26日閲覧)

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