【連載】Q&Aで考える高齢患者さんのせん妄ケア

せん妄を患者さんや家族に伝えるタイミングや伝え方って?

解説 金盛琢也

日本赤十字豊田看護大学 老年看護学 講師 (旧:聖路加国際大学 大学院看護学研究科 老年看護学)

Q.せん妄について、 患者さんや家族にはいつ、何を、どのように伝えればよいですか?

A.リスクの高い患者さんには入院前にあらかじめ伝えておきます。せん妄を発症した場合は、薬物療法の開始時や、せん妄の経過と日中の様子を伝え、家族の協力を求める場合もあります。

入院前にせん妄のリスクについて説明する

 高齢患者さんで入院や手術が予定されている場合は、入院前の説明時に、せん妄発症の可能性があることを伝えます。例えば「高齢者に多いのですが、もしかしたら急に時間や場所がわからなくなることもあるかもしれません」など、せん妄の概要について説明しておくと、せん妄が起きた場合に家族の動揺が少なく、その後の協力等も得られやすくなります。
 
 特にせん妄のハイリスク患者さんの家族には、「せん妄の予防には、ご家族がそばにいて安心感を与えてあげることが大切なので、手術の翌日には必ず来てくださいね」などと、あらかじめ家族の協力を求めておくとよいでしょう。

薬物療法を開始する場合は事前連絡を

 せん妄が生じた場合、あらためて、①せん妄は一過性であること、②せん妄の症状、③現在行っているケアの内容などについて、丁寧に説明し、家族に安心感をもってもらうことが大切です。

 薬物療法を行う場合には、患者さんや家族にせん妄の症状の説明とともに、抗精神病薬や抗うつ薬などを用いることと、その効果や副作用について説明が必要です。面会時間外であれば電話で説明し、家族の理解を得ておく必要があります。

せん妄発症後は面会時に経過を伝える

 せん妄発症後は継続的に患者さんの日中の様子を伝え、家族からの支援の重要性について説明しておくとよいでしょう。せん妄に対して適切に介入したにもかかわらず、ADLが低下してしまうことも考えられます。経過を細やかに説明し、家族の理解を深めることは、退院に向けた介護保険サービスの導入・調整にも役立ちます。


参考文献
●日本精神神経学会,日本語版用語監修,高橋三郎,他 監訳:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル.医学書院,2014.
●亀井智子 編著:高齢者のせん妄ケアQ&A 急性期から施設・在宅ケアまで.中央法規出版,2013.
●酒井郁子 他編:どうすればよいか?に答える せん妄のスタンダードケアQ&A100.南江堂,2014.
●八木一馬:入院患者におけるせん妄のマネージメント.みんなで解決!病棟のギモン.レジデントノート 2016;18(9):1758-63.
●林安奈 他:せん妄の鑑別診断と鑑別のポイント.せん妄に対する治療戦略最前線.臨床精神薬理 2017;20(2):149-55.
●粟生田友子 他:らくらくせん妄/不穏 予防・アセスメント・対応マニュアル.BRAIN NURSING 2017;33(3):7-49.


この記事はナース専科2017年10月号より転載しています。

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