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経腸栄養(経管栄養)とは|種類・手順・看護のポイント

経腸栄養とは

 経腸栄養とは、胃や小腸にチューブを挿入し栄養や水分を取り込む方法です。経口摂取が困難な重症患者さんの栄養管理などにも用いられます。

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経腸栄養の種類ー経鼻、経腸(胃瘻など)

●経鼻経腸栄養

 鼻から挿入したチューブから栄養補給を行います。手術の必要がないため、一時的に経口摂取が困難となった場合などの第一選択肢として用いられます。経腸栄養開始前には、チューブが確実に胃に挿入されているかを毎回確認する必要があります。交換は2週間に1回程度で、医師または看護師が行います。

●胃瘻

 腹部に空けた瘻孔から、胃に直接栄養を入れる方法です。造設術には、PEG(経皮内視鏡的胃瘻造設術)や開腹手術があります。

●腸瘻

 障害や疾患により胃に栄養剤を入れることができない場合に選択されます。胃瘻と同様に、造設するには内視鏡手術または開腹手術を行う必要があります。

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第2回 経腸栄養剤の種類と分類
第6回 経鼻ルートと経胃瘻的空腸瘻

■経腸栄養の手順

<栄養剤の投与>

①医師の指示を確認
※患者と栄養剤の内容が合っているかを確認する

②手洗い
※流水と液体石けんまたは、アルコール消毒薬のいずれかで手指消毒を行う

③必要な物品の準備・栄養剤の用意
※栄養剤を冷所で保管している場合は、下痢を引き起こしてしまうことがあるため、人肌程度に温めなおす
※患者さんに合わせた物品(加圧バッグ、ポンプ、イルリガードルなど)を用意する
※栄養点滴チューブを使用する場合は、余分な空気が入らないように栄養剤をチューブの先端まで満たす

④物品を患者さんのもとへ運ぶ・環境整備

⑤患者さん確認・体位調整
※本人確認をし、説明をして同意を得る
※経管栄養は時間がかかるため、排泄の確認を行う
※ベッドを30度以上に挙上し、クッションなどを使用して患者さんにとって安楽な体位を整える

⑥チューブを接続
※胃ろうの場合は、衣類を捲り上げて接続部がきちんと見えるような状態で行う
※漏れの原因となるため、しっかり接続したことを確認する

⑦注入を開始し直後の様子を観察
※経鼻の場合は、胃泡音などできちんとチューブが胃内にあることを確認する
※滴下数の調整をし、しばらく患者さんの様子を観察して変化(表情・むせ込み・腹痛・腹部膨満感など)がなければ退室する

⑧注入中は定期的に患者さんの様子を確認
※栄養剤の種類によっては滴下のスピードが変化しやすいものもあるため、その都度調節する
※滴下が遅れてしまった場合も、注入速度を速めると下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるため行わない

⑨注入が終了したら白湯を注入
※常温程度の白湯を使用し、指示通りの量を注入する

⑩30~60分は臥位にならずに過ごしてもらう
※注入後すぐに臥位にすると、嘔吐や胃食道逆流を起こしやすいため

<薬剤投与>

 薬剤は簡易懸濁法で投与します。

①錠剤に亀裂を入れる、またはつぶす

②約55度の少量のお湯で溶解させる(10分以内)

③体温程度まで冷ます

④専用のシリンジを使用して注入する

⑤白湯を流す

経腸栄養の看護のポイント

<胃瘻の管理>

 胃瘻のトラブルを防ぐためには下記の点に注意します。

・1日1回程度カテーテルを回転させ、適度なゆるみがあることを確かめる。
・カテーテルは皮膚に垂直になるようにし、瘻孔に負担がかからないようにする。
・消毒ではなく水で洗浄し、湿らせたガーゼや布でよごれをふき取る。
・バルーン型の場合は中の水が自然に減少していくため、1~2週に1回は水の量を確認して交換する。その際は蒸留水を使用する。
・チューブ型の場合は栄養剤注入後、詰まりを予防するため微温湯でフラッシュする。

<経腸栄養バッグと栄養ルートの管理>

 経腸栄養法は静脈栄養法と比べると管理が容易ではありますが、細菌が増殖しやすくさまざまな感染症のリスクが高くなります。可能な限り使い捨てとし、困難な場合は、消毒薬に1時間漬け完全に乾燥させるなどし、細菌汚染の少ない管理方法で1日ごとや1週間ごとに交換するようにします。

<カテーテルチップの管理>

 使用後は水道水で洗浄し、外筒から内筒を外して乾燥させます。長くても1~2週間ごとの交換が推奨されています。

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経腸栄養の注意点

 経腸栄養では胃や腸に直接栄養剤を注入するため、姿勢・滴下時間・滴下速度に注意が必要です。

 胃瘻や腸瘻は感染のリスクもあるため、毎日消毒する必要はありませんが、洗ったり拭いたりするなどのケアが必要です。また、皮膚トラブルが起きていないかも注入時に確認するようにしましょう。

〇禁忌

 腸管の機能が著しく低下している場合や、循環動態が不安定であるなど腸管を使用することができない場合は禁忌となります。経腸栄養を既に行っていればすぐに中止し、静脈栄養への移行を検討します。

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〇栄養剤

 日本外科代謝栄養学会では、経腸栄養剤の定義を「咀嚼を要しない液状の経腸栄養用の製材」としています。

 経腸栄養剤にはさまざまな種類のものがありますが、患者さんの消化管の機能や消化吸収能に合わせて選択します。また、疾患に合わせた栄養剤を選択する場合もあります。

 経管栄養で使用される栄養剤の多くは液体ですが、そのことによって起きる問題点を防ぐため、胃瘻患者さんには半固形化経腸栄養剤を選択することがあります。液体の栄養剤に比べて体位を気にせずにすみ、注入時間が短く、下痢や逆流の予防にもつながります。しかし一方で、便秘や脱水の合併症があります。

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第4回 半固形化栄養剤(semi-solid)

〇造設の術式

●経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
 経皮内視鏡的胃瘻増設術(以下PEG)の適応は「自発的に経口摂取できず、4週間以上の生命予後が見込まれる成人および小児」です。また、4~6週間以上経鼻経腸栄養を行っている場合の多くもPEGの適応となります。ただし、腹水の貯留している患者さんは腹膜炎の危険性があるため禁忌です。

●経胃瘻的空腸瘻
 先に増設された胃瘻から新たなカテーテルを通し、先端を空腸に留置します。胃瘻では繰り返し逆流を起こしてしまうようなケースが適応となります。

●経皮経食道胃管挿入術(PTEG)
 食道を穿刺し、胃・十二指腸・空腸などの消化管内にチューブを留置します。腹部手術後などPEG造設が困難な場合に選択されます。

●開腹胃瘻造設術
 全身麻酔下で開腹による外科的な手術で胃瘻を造設します。

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第5回 内視鏡的胃瘻造設術:PEG
第7回 PTEGと手術的空腸瘻造設術
第10回 外科手術と経腸栄養 -周術期経腸栄養療法-


【参考文献】
1)丸山道生,他編:経管栄養マニュアル 第1版.文光堂,2012,p2‐15.70‐107.110-164
2)藤澤雅子,他著:介護職のための喀痰吸引・経管栄養ビジュアルガイド 第1版.メディカ出版,2016,p52‐79.118-125

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