【連載】COPDとは全く違う! 知ってる? 間質性肺炎の看護

間質性肺炎とは?|特発性肺線維症(IPF)の治療とリハビリテーション

執筆 加賀城 美智子

大垣市民病院 呼吸器内科 医長

監修 南雲 秀子

東京医療学院大学保健医療学部看護学科助教 看護師/米国呼吸療法士(RRT) /保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

この記事では、特発性間質性肺炎の中でも臨床現場で出合う最もメジャーな特発性肺線維症(IPF)について解説します。


目次


治療・リハビリテーション

進行スピードを緩やかにし予後改善につなげる

 特発性肺線維症(IPF)は進行性の疾患で治癒を目指すことは難しく、平均生存期間が3~5年とされ、多くのがんよりも予後不良な疾患です2)。かつては、IPFと診断された場合、ステロイドや免疫抑制剤などを併用することもありました。しかし、無効であるばかりか、死亡率、入院率が増加し予後を悪化させていることがわかり3)、今では推奨されていません。
 
 最近では、抗線維化薬が登場し、治療の柱となっています。抗線維化薬には、ピルフェニドン(ピレスパ®)とニンテダニブ(オフェブ®)の2種類があります。詳しくは薬物療法の項に譲りますが、これらの薬剤はサイトカイン産生を抑制し線維化を抑制することで、肺活量の低下を遅らせます。肺活量の低下が大きいほど死亡率が高くなるとされているため、疾患進行スピードを緩やかにすることが予後改善につながると考えられます。

 しかし、IPFと診断されたら直ちに治療を開始するとは限りません。進行スピードは患者によってまちまちであることや、治療による副作用を考慮して、進行スピードを見極めてから、治療が開始されることが多くなります。ピレスパ®は食欲低下と日光過敏、オフェブ®は下痢と肝機能障害が主な副作用です。
 
 なお、基本的なことですが、発症の危険因子として喫煙が知られています。生活指導のなかで、禁煙を指導・サポートすることも看護師の役割として大切だと考えます。

乏しい治療効果

 IPFは、前述したように慢性に進行していく疾患です。しかし、その進行速度は患者によりさまざまであり、長期経過を予測することは難しいとされています4)
 
 また安定した病状にあっても、感冒などへの感染や手術を契機に「急速に(1カ月以内に)呼吸困難や咳などの自覚症状が出現し、呼吸不全が進行する」ことがあります。これを急性増悪と呼びます。一見、肺炎や心不全かと悩むような症状や画像所見を呈するため、診断に苦慮する症例が多くあります。

 急性増悪に対して効果が証明されている治療法はありませんが、一般的にはステロイドパルス療法や免疫抑制剤が多く使用されます。ただ、残念ながら治療効果は乏しく、過去の報告での死亡率は80%と報告されているものもあり、予後不良です5)

必要な支援とリハビリテーション

 COPDと同様に、下肢筋力の低下は呼吸困難の一因です。つまり、下肢筋力の持久力を高めることで呼吸困難が改善し、生活関連QOL(quality of life)の改善も期待できます。しかし、長期呼吸リハビリテーションの効果はまだ実証されていません。
 
 また、進行した患者は、在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)を行うことが多く、作業療法が役立つこともあります。ほかに慢性呼吸不全全般に行われる生活指導支援が必要となります。

息切れ・息苦しさを軽減させる呼吸のポイント

 COPD患者に対しては「口すぼめ呼吸(口をすぼめてゆっくり息を吐きだす呼吸法)」が有効です。しかしながら、間質性肺炎の患者に特別有効な呼吸法があるわけではありません。実際には、次のように指導をしているので参考にしてください。
 
 間質性肺炎では肺が固くなり、肺や胸郭の広がりが悪くなるため1回換気量が低下し、進行例では浅い呼吸しかできなくなります。そして、労作時には、1回換気量を増加させることができないため呼吸回数で量を稼ぐようになります。ゆっくり大きな呼吸を促しても、思うように吸えない患者も多くいることから、浅く速い呼吸でもいいので、自分のペースで呼吸をしてもらうのがよいでしょう。普段から呼吸筋のストレッチを行い、胸郭の動きをできるだけしなやかに保つことも大切です。
 
 また、酸素吸入中の患者には、鼻から吸って口で吐くことを徹底してもらう必要があります。労作のスピードが速くなると口呼吸になりがちなので、鼻呼吸を続けられる程度の速度に動きをコントロールしてもらうことも、患者が息切れを感じずに動けるコツの1つです。

予後とエンド・オブ・ライフケア

 残念ながら、間質性肺炎の多く(特にIPF)では治癒は望めず、最終的には呼吸不全に至ります。病状に応じて酸素療法や呼吸管理を行う必要があります。COPDと同じく、いざというときの対応を患者自身が考えておけるように事前に相談しておくとよいでしょう。
 
 また、呼吸困難を呈する患者に対して多職種で協力し、精神的ケアや生活面での支援を行うことも必要です。呼吸困難を緩和する手段として、患者や家族に十分理解を得たうえで、モルヒネなどの医療用麻薬を用いることもあります。

難病医療費助成の活用

 最後に、特発性間質性肺炎は、厚生労働省の定める難病医療費助成の対象となっています。しかし、患者のすべてが対象となるわけではなく、定められた重症度分類でⅢ度以上を満たした患者のみが助成対象となり支援を受けることができます(表、厚生労働省:平成27年1月1日施行の指定難病 特発性間質性肺炎の概要、診断基準等より)。
 
重症度分類判定表

 なお、抗線維化薬は、非常に高額であり、助成が受けられない患者の経済的負担は大きくなります(具体的には、オフェブ®150mg1カプセルあたり6,574.4円のため、1日2回服用すると、3割負担であれば1カ月あたりおよそ12万円の支払い)。しかし、重症度Ⅰ、Ⅱ度でも、肺機能の低下が早く予後不良が予想される症例では、投薬を先に開始しておき、月ごとの医療費が33,330円を超える月が3カ月以上あれば、事後でも助成申請は可能です。医療相談員やソーシャルワーカーと連携して対応しましょう。

イラスト/カミヤ マリコ


引用文献

1)du Bois RM:An earlier and more confident diagnosis of idiopathic pulmonary fibrosis.Eur Respir Rev 2012;21(124):141-6.
2)Idiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Network,et al:Prednisone, azathioprine, and N-acetylcysteine in idiopathic pulmonary fibrosis.N Engl J Med 2012;366:1968-77.
3)King TE Jr,et al:Idiopathic pulmonary fibrosis. Lancet 2011;378:1949-61.
4)Kondoh Y,et al:Acute exacerbation in idiopathic interstitial pneumonia.Harasawa M,et al,ed.Interstitial Pneumonia of Unknown Etiology. University of Tokyo Press,1989,p.34-42.


この記事はナース専科2018年7月号より転載しています。

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