【連載】COPDとは全く違う! 知ってる? 間質性肺炎の看護

機器を使用した間質性肺炎の治療|入院中のNPPV・酸素療法

執筆 齋藤 修平

大垣市民病院 慢性呼吸器疾患看護認定看護師

監修 南雲 秀子

東京医療学院大学保健医療学部看護学科助教 看護師/米国呼吸療法士(RRT) /保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

目次


退院に向けた機器管理が大切

 間質性肺炎では呼吸器症状の変化が急激に出現しやすく、特徴として労作時の低酸素および強い呼吸困難感があります。そのため、呼吸困難感による生命危機への不安など精神的支援が重要です。機器導入時には全身状態だけでなく、精神的な介入や今後を見据えた機器管理を行う必要があります。

 この章では、入院時から退院を見据えた機器管理を伴う治療に焦点を置き、必要性について述べます。

間質性肺炎における適応

酸素療法の適応

 間質性肺炎の酸素療法では、酸素化の低下の程度に応じて酸素投与を行う必要があります。目標とする酸素飽和度は90%以上の維持を目安として酸素量を調整します(表1)。
 
酸素療法の適応

 特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)患者における長期間酸素療法(long term oxygen therapy:LTOT)は、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)と異なり、明らかな予後改善効果は証明されていません。しかし、副作用もないと報告されており、乾性咳嗽、呼吸困難、頻脈の軽減、健康関連QOL(quality of life)の向上を期待して、対症療法として用いられることもあります。
 
 導入では、安静時と労作時の酸素必要量が異なるため、生活状況を踏まえた労作評価を実施して酸素流量を決定します。酸素吸入により、運動耐容能の向上や自覚症状の改善効果が期待されます。また、間質性肺疾患の進行に伴い肺高血圧が認められますが、酸素吸入は肺高血圧に対して治療効果が認められています。

●急性期での酸素療法
 酸素療法を開始する患者は、心不全や肺高血圧症を合併しやすい状態にあるため、バイタルサインを確認しながら、労作時の酸素流量の調整を行います。投与量は血液ガス分析データを参考に決定し、パルスオキシメーターでSpO₂値90%以上となるように調整します。ただし、急性期の病状は不安定なため、マスクやカニューレなどでは酸素化が維持できず、しばしば後述するハイフローセラピー(high flow therapy:HFT)や非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)を要することもあります。

●慢性期/終末期での酸素療法
 日本呼吸器学会によるLTOTの適応は表2のとおりです。間質性肺炎の初期は、安静時の酸素化が保たれ、労作時低酸素血症が先に起こるため、LTOTを労作時のみ導入することもあります。
 
在宅酸素療法導入基準

 患者によっては、低酸素血症になっていても呼吸困難を感じないことがあります。そのような患者は低酸素状態で動いてしまい、肺動脈の血管攣縮を起こし、右心不全を生じやすくなります。右心不全が生じると顔面や下腿に浮腫を起こします。体表に浮腫が認められる場合には、低酸素血症が原因となっていないか、観察・検査が必要です。

 IPF患者はCOPD患者と違い、高度の低酸素血症となる一方で、終末期でない限りCO2の蓄積を起こさないという特徴があります。そのため、労作時の酸素吸入量を低めに保つ必要はなく、十分な流量の酸素を吸入させることが重要です。

 また、IPFや特発性非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP)の呼吸不全例のなかには、睡眠時無呼吸症候群を併存している場合があり、酸素療法と併用して経鼻的持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)を導入して加療することもあります。

NPPV療法の適応

 間質性肺炎のNPPVのエビデンスレベルはVと決して高くはありませんが、酸素化の改善や慢性期での呼吸仕事量の軽減を目的に使用します。
 
●間質性肺炎に対してのNPPVの意義
 間質性肺炎患者に対するNPPVの効果は表3のとおりです。NPPV開始の直接の理由としては、COPD患者では呼吸筋疲労やCO₂の貯留の改善のため導入されることが多いのに対して、間質性肺炎では低酸素血症に対して導入されることが多くあります。
 
間質性肺炎患者に対するNPPVの効果

 NPPVの共通認識として、NPPVは非侵襲であるため、挿管人工呼吸よりも早期に導入することが可能であり、また、挿管人工呼吸を希望しない患者でも陽圧呼吸による換気補助が可能である場合もあります。そのほかに、人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia:VAP)予防に有効な可能性があることが指摘されています。

●NPPV導入時の留意点
 急性期での導入では、NPPVは急性呼吸不全が回復するまでの「つなぎ」の治療である点に留意すべきです。また、急な症状の変化のため、受け入れることができない精神状態であることも予測できます。そのため、継続できないことも想定して、介入していく必要があります。

 慢性期から終末期での導入では、圧換気補助による換気量上昇と、それによる換気効率の改善および呼吸仕事量の減少を期待します。間質性肺炎では、初期には高炭酸ガス血症は生じませんが、終末期では換気不全の進行により高炭酸ガス血症を呈します。このような場合には、夜間のみNPPVを適応することも考慮されます。生命予後が限られているケースも多く、適応には慎重である必要があります。 一般的に間質性肺炎の進行で在宅NPPVの適応となる場合は少ない印象です。

●間質性肺炎におけるHFTの位置づけ
 HFTは、高流量で高濃度の酸素を投与できることから、強いⅠ型呼吸不全を呈することが多い間質性肺炎患者に使用される機会が増えています。急性期では酸素化の改善、呼吸仕事量の軽減を目的とした導入が主ですが、NPPVを受け入れることができない場合に、代替手段として導入されることもあります。最近では第一選択としてHFTによる治療を受ける患者も増えています。

 筆者の勤務する施設では、間質性肺炎の患者に限らず、NPPVを導入しても離脱できない場合を医師が考慮して、高齢者やADL(activities of dailyliving)の低下した患者、予後不良が予測される患者には、NPPVではなく第一選択としてHFTを実施することがあります。

イラスト/カミヤ マリコ


参考文献

●滝澤始編:間質性肺炎を究める.メジカルビュー社,2012.
●日本呼吸器学会びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎診断と治療の手引き改訂 第3版.南江堂,2016.
●石原英樹,他:呼吸器看護ケアマニュアル,中山書店,2014.
●日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 酸素療法マニュアル作成委員会,他編:酸素療法マニュアル.メディカルレビュー社,2017.
●日本呼吸器学会NPPVガイドライン作成委員会編:NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)ガイドライン 改訂第2版.南江堂,2015.
●西田修監:ハイフローセラピー実践マニュアル.ライフ・サイエンス,2014.


この記事はナース専科2018年7月号より転載しています。

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