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【連載】COPDとは全く違う! 知ってる? 間質性肺炎の看護

セルフマネジメント能力向上へのアプローチ|慢性疾患看護の視点で考える 間質性肺炎患者・家族の支援

執筆 猪飼 やす子

聖路加国際大学大学院 看護学研究科博士後期課程 慢性疾患看護専門看護師

監修 南雲 秀子

東京医療学院大学保健医療学部看護学科助教 看護師/米国呼吸療法士(RRT) /保健医療学修士(MHSc) 日本呼吸ケアネットワーク 理事

目次

※「行動変容を促すための取り組み」以下の閲覧はログイン(登録無料)が必要です。


セルフマネジメント能力向上へのアプローチ

自己効力感理論でセルフマネジメントを実現

 セルフマネジメントとは「疾病を抱えた人が指示された行動を守ること」で、セルフケアは「日常生活行動の全般」のことです。指示された行動を守るとは、即ち生活における行動を変える必要が生じます。そして、患者自身が「自己管理を行おう」と心に決め、行動変容をすることが重要となります。

 では、「自己管理を行おう」と決心するために必要なことは何でしょうか。その1つに「動機づけ」があります。これは自己効力感理論で説明することができます。自己効力感理論とは、カナダの心理学者である、アルバート・バンデューラ1)が提唱した理論であり、必要とされる行動と、その行動に対する“効力予期”と“結果予期”により説明されます。
 
 学生の頃のことを思い出してみてください。「この実習を乗り越えたら、看護師国家試験を受けられる」「国家試験に合格したら、看護師になれる」と自らを励ましながら頑張りませんでしたか? このような行動によってもたらされる結果への期待を、“結果予期”といいます。そして、「実習で頑張れたのだから、国家試験の勉強だって頑張れる。この分厚い問題集を解くこともできる」と思いませんでしたか? このように必要とされる行動をどれくらい実行できるかという自信を“効力予期”といいます。

 ここで、自己効力感理論を用いて「その人らしさを支える援助」を検討して実施した事例を紹介します。

<事例紹介>

●患者背景
Bさん、80歳代、男性
・ 妻と子ども家族と同居
・ 既往歴は、陳旧性心筋梗塞
・ 乾性咳嗽が半年程度続いたため、かかりつけ医で治療を受けるも改善がみられないため、紹介受診し、IPFと診断を受ける。2年が経過し、労作時の低酸素、ならびに呼吸困難感によって、生活行動に支障が出始めたためHOTを導入(安静時、睡眠時1L/分、労作時3L/分)
・ 呼吸困難感は、修正MRCスコア3
・ 呼吸機能は、%VC58.5、%DLco38.1
・ 外来受診時にはカニューレを装着しているものの、「家ではあまり吸っていない。(酸素を)やめたい」などの発言が続いており、外来の医師、看護師から専門看護師へ介入依頼がありました。

●HOTの使用状況の把握
 Bさんの24時間のHOT導入により、医師は「低酸素状態への曝露が減少し、呼吸困難感が改善し、生活行動を自分で行えるために生活の質の向上が見込めると判断していたものの、むしろBさんの生活の質を下げてしまったかもしれない。どのように支えていけばよいのか」と考えていました。
 
 また、看護師は「酸素をしてくださいね」という声かけだけでは、行動変容は起こらないことに気がついており、「現状をどのように捉えて、どう援助をすればよいのか」と考えていました。
 
 そこで、まず日常のHOTの使用状況を把握するために、在宅酸素濃縮器の遠隔モニタリングデータを再度確認することにしました。このデータから、おおよその生活行動が、いつ行われているのかが推測され、入浴や食事、排泄、睡眠などでは、指示流量よりも少ない流量で酸素を吸入する傾向がみられました。また、徐々に酸素吸入時間が延長していることから、生活行動での呼吸困難感の悪化も推測されました。
 

行動変容を促すための取り組み

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