お気に入りに登録

【連載】達人のコツとワザ

洗浄に適した泡ってどんなもの?|良い泡と悪い泡の違いを知ろう

解説 谷 明美

国立病院機構千葉医療センター 皮膚・排泄ケア認定看護師 特定行為研修修了

目次

洗浄では泡が重要!

 洗浄剤の主な成分は、界面活性剤という物質です。界面活性剤の分子は、親水基と疎水基からなっています(図左)。洗浄剤は一定以上の濃度で使用することにより、界面活性剤分子の集合体であるミセルを形成します。ミセルは汚れを吸着し、内側に取り込む作用があるため、ミセルを形成することで汚れを落とすことができます。

 洗浄剤が洗浄力を発揮する濃度(ミセルを形成する濃度)と泡が立つ濃度が近いため、泡が立っている=洗浄力があると考えられます。また、泡がクッションの役割をし、摩擦が軽減されます。

 なお、洗浄剤の中には、特殊な方法で界面活性剤が活発になった状態を保つことで、泡立てなくても洗浄効果を発揮する製品もあります。

界面活性剤
界面活性剤の分子構造は、親水基という水になじみやすい部分と、疎水基という油になじみやすい部分からなっています。
日本石鹸洗剤工業会:石けん洗剤知識,石けん洗剤の化学,界面活性剤メモ知識①その原理はどんなもの.より転載(2019年6月4日閲覧)https://jsda.org/w/06clage/4clean187_k.html#anchor

どういう状態が良い泡?

 泡を手のひらにすくい、逆さにしてもポタポタと落ちてこない状態が良い泡です(写真)。泡の角が立つ状態と表現されることもあります。

良い泡
良い泡

悪い泡
悪い泡

 洗浄剤には、アルカリ性と弱酸性のものがあります。アルカリ性の洗浄剤のほうが、弱酸性の洗浄剤に比べて、よく泡立ち、きめ細やかな泡になるため、洗浄効果も高くなります。そのため、子どもや成人期など皮脂の分泌が活発な時期で、汚れをしっかりと落としたい場合は、アルカリ性の洗浄剤のほうが適しています。皮脂の分泌が低下する高齢者では皮膚に必要な油分までも落としてしまい、乾燥を助長させる原因になるため、アルカリ性の洗浄剤を使用する場合は、保湿にいっそう配慮する必要があります。

 一方の弱酸性の洗浄剤は、アルカリ性の洗浄剤に比べて洗浄力は落ちますが、皮膚にやさしいというメリットがあります。そのため、皮膚トラブルがある人、高齢者には弱酸性の洗浄剤を使うとよいでしょう。

良い泡の作り方

 ビニール袋を使うと簡単に泡を立てることができます。陰部洗浄の場合は、その後、使用済みのおむつ入れとして活用できます。

 まず、清潔なビニール袋に、洗浄剤と水を入れます。液体の場合は、洗浄剤と水を1:2の割合にするとよいでしょう(写真)。ただし、洗浄剤によって泡立ち方は異なるので、実際に作ってみて泡の状態をみながら調整してください。

水_洗浄

 固形石鹸の場合は、石鹸の下の部分がつかる程度に水を入れます(写真)。

固形石鹸

 ビニール袋に十分に空気を含ませ、袋の口をしぼり、しっかりと口を手で押さえます(写真)。

泡だて前

 このとき、袋を全体的に大きく膨らますと、泡が立つまでに時間がかかってしまいます。袋の用量を小さめにし、十分に空気を入れることが短時間でよい泡を作るコツです。

 ビニール袋を振り、袋の中の水がなくなるまで泡を立てます(写真)。泡の状態を確認し、必要に応じて洗浄剤や水の量を調整していきましょう。

泡だて終了

 作り置きはせず、使用前に泡立てるようにします。また、感染予防の観点からも、複数の患者さんに使い回しをすることは避けましょう。

 なお、最近では簡便な泡タイプの洗浄剤もあります。

洗浄の際の注意点

洗浄時

 泡を皮膚の上にのせ、泡のクッションでなでるように洗います。これだけでも、泡が汚れを包み込み、十分に汚れを落とすことができます。できる限り、ナイロンタオルは使わず、ゴシゴシと擦らないように注意しましょう。汚れが落ちていないようなら、2度洗いを行うことを考慮します。

 患者さんの中には、ゴシゴシと擦らないと満足感を得られないという人もいます。説明をしても理解が得られない場合は、皮膚へのダメージができるだけ軽減されるように、体毛の流れに沿って洗うとよいでしょう。

洗い流すとき

 洗い流すときには、38から40℃の微温湯を使用し、低めの水圧で流すようにします。熱いお湯や高い水圧は、皮脂を落としすぎる原因となるからです。

 洗浄剤の成分が残っていると、乾燥やアレルギーなどの皮膚トラブルの原因になるため、多めのお湯で、洗浄剤をしっかりと落とすようにします。

 陰部洗浄のときは、泡にお湯をかけると泡立ってしまうため、あらかじめペーパータオルなどで泡を拭き取ってから洗い流します。

洗浄後

 身体を拭くときにも、タオルで擦らないように注意しましょう。タオルをやさしく押し当てて、水分を拭きとるようにします。

ページトップへ