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【連載】達人のコツとワザ

保湿剤の選択はどうする? 適切な量はどれくらい?

解説 谷 明美

国立病院機構千葉医療センター 皮膚・排泄ケア認定看護師 特定行為研修修了

目次

保湿剤の使い分け

 保湿剤は成分によって、大きくモイスチャライザー(水結合性)とエモリエント(脂性)に分類されます。

 モイスチャライザーは、皮膚の角質層に浸透して水分を保持し、エモリエントは、皮膚の表面に油膜を形成して、角質中の水分を維持する作用があります。こうした特性を知って、患者さんの皮膚の状態に合わせて、保湿剤を使い分けるとよいでしょう。

 例えば乾燥が強い患者さんに、ワセリンなどのエモリエントの保湿剤を塗っても、もともとの水分が少ないため、乾燥は改善されません。モイスチャライザーの保湿剤で皮膚に水分を浸透させたうえで、エモリエントの保湿剤で水分が蒸発しないようにカバーする使い方が理想的です。

 一般的に、固いクリーム系のものはエモリエント、ローションタイプはモイスチャライザーの成分を含むことが多く、両方の成分が配合されたミルクタイプもあります。

 実際の臨床現場では、水分の浸透力とカバー力があり、しかも伸びがよく広い範囲に塗りやすいミルクタイプがおすすめです。

 とはいえ、保湿剤は個々の好みもあるため、持参している場合は患者さんが使い慣れているものを使用しましょう。また、抗がん剤治療の副作用による皮膚障害、重度の乾燥で保湿剤が処方されているときには、その薬剤を使うようにします。

保湿剤の分類と成分
保湿剤の分類と成分
*1 皮脂:トリグリセリド、ワックスエステル、脂肪酸エステル、コレステロール、スクワラン
*2 細胞間脂質:セラミド、コレステロール、脂肪酸
中村晃一郎:保湿剤の種類と特徴.WOC Nursing 2018;6(8):19.より転載

保湿剤の適切な量

 保湿剤は、手のひら2 枚分の範囲を塗布するのに、ローションやミルクタイプでは手のひらに1円玉大、チューブタイプ(クリームタイプ)の場合は、人差し指の第一関節分の量(フィンガーチップユニット)が目安となります(写真)。

ローション、ミルクタイプ目安
ローション、ミルクタイプ目安

チューブタイプ(クリームタイプ)目安
FTU

塗布する際のコツ・注意点

準備

 保湿剤を塗布するときは、まず手のひらでよく温めます。特にクリームタイプは固いので、やわらかくしてから使いましょう。

塗り方

 保湿剤の成分が浸透するように、保湿剤をやさしく押さえるように、塗布していきます。洗浄と同じようにゴシゴシと擦らないように注意しましょう。特に、高齢者ではちょっとした摩擦で、スキンテア(皮膚裂傷)が生じる可能性があります。

保湿の目安

 皮膚がしっとりとするまで、保湿剤を塗布します。ただし、塗りすぎは不快感につながるため注意します。目安は、塗布した後に、ティッシュをあてると、一瞬張り付いてから落ちる程度です。

保湿する部位

 保湿は全身に行います。ただし、陰部および臀部は尿・便失禁から皮膚を保護するために、撥水効果のあるクリームを塗布するとよいでしょう。

 指の間や関節、足の裏や踵、手足のくるぶしや肘などは、塗り忘れの多い部位です。特に肘やくるぶしなど、皮膚が伸縮する部分や出っ張っている部分は乾燥しやすいので、意識して塗布するようにします。

保湿のタイミングと回数

 清拭や入浴後など、皮膚が清潔で水分が残っている間に行いましょう。十分に保湿しても乾燥が強い場合は、1回の塗布する量を増やすのではなく、入浴後、翌日の朝や外出前に塗布するなど、回数を増やすようにします。


【引用・参考文献】

大谷道輝,編:丈夫な皮膚をつくる 正しい保湿剤の使い方.WOC Nursing 2018;6(8).

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