お気に入りに登録

感染症の検査の概要|B型・C型肝炎、梅毒、HIV、インフルエンザ、敗血症

解説 山崎悦子

横浜市立大学附属病院 臨床検査部部長・准教授

目次

感染症の検査

ここでは細菌感染症以外の、代表的な感染症検査の概要を確認しておきましょう。

● B型肝炎ウイルス(HBV)検査

肝炎症状や肝機能障害がある場合にHBVによるものかどうかを調べる検査です。HBVの外殻にあるHBs抗原と、その抗体であるHBs抗体、ウイルスの芯であるHBc抗原とそれに対するHBc抗体、ウイルスが増殖するときにつくられるHBe抗原とそれに対するHBe抗体などを調べます。基本的にHBs抗原が陽性であればHBVに感染していると考えられます。劇症肝炎の70%が、HBVの感染によるものであるといわれています。

● C型肝炎ウイルス(HCV)検査

HCVに感染しているか、もしくはキャリアか既往があるかを調べます。HCVはRNAウイルスであるため、HCV抗体とHCV-RNAでHCVに感染しているかどうかを調べます。ほかの肝炎と比べ、C型肝炎はがんになる確率が高く、その確率はB型肝炎の約5倍という報告もあります。

● 梅毒血清反応

梅毒は細菌の一種であるTreponema pallidum(TP)に感染することで発病します。検査は通常、TP抗原を使用するTP法と、脂質抗原を使用するSTS法の2種類の検査を行います。

● HIV(ヒト免疫不全ウイルス)抗体検査

HIV感染の有無を調べ、AIDS(後天性免疫不全症候群)を発症しているかどうかをみる検査です。まず、スクリーニング検査としてEIA法(酵素免疫抗体法)やPA法(粒子凝集法)などを行い、WB法(ウェスタンブロット法)やRT-PCR法(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法)などで確定診断を行います。

● インフルエンザ迅速検査

インフルエンザウイルスへの感染が疑われる場合に、迅速に感染の有無を確認するために行います。喉や鼻の粘膜を綿棒でぬぐって検体を採取し、検査専用のキットを用いることで、約15分で結果が得られます。ただし、A型、B型、C型の3種類あるインフルエンザウイルスのうち、多くのキットで調べられるのはA型かB型です。

敗血症

敗血症とは、細菌感染症が血流内で進展し、血管内炎症が加わった病態です。感染症や熱傷、外傷などの身体への侵襲で過剰に産生されたサイトカインが、全身に多様で重篤な影響を及ぼす全身性炎症反応症候群(SIRS)の1種で、このSIRSに基づく考え方が、早期発見に重要となります。また、DICの代表的な原因の1つでもあります。多臓器不全(MOF)から死へと進行する死亡率の高い疾患なので、早期に治療を開始する必要があります。

検査としては、まずはSIRSの診断基準(表2-1)で2項目以上を満たすかどうかをみます。SIRSであれば白血球分画で感染症によるものかを判断します。そのほか、血糖値(Glu)、Plt、FIBの上昇・低下なども合わせて確認します。

表 SIRSの診断項目
体温   >38℃または<36℃
心拍数  >90回/分
呼吸数  >20回/分またはPaCO>2<32Torr
白血球数 >12,000/μLまたは<4,000/μLまたは未熟型顆粒球>10%
*このうち2項目以上が該当する場合SIRSとする

(ナース専科マガジン2016年7月号より転載)

ページトップへ