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【連載】山内先生の公開カンファランス

第45回 夜勤時にトイレで転倒した患者さん【解説編】

解説 山内豊明

放送大学大学院 文化科学研究科 生活健康科学 教授 医学博士/看護学博士/医師/看護師/保健師/米国・登録看護師、診療看護師

前回、みなさんに考えてもらった事例について山内先生に解説してもらいます。


【事例】
クロイツフェルト・ヤコブ病の70歳代の患者さん。車椅子移乗軽介助の状況で、食欲不振で入院してきました。
ある日の夜中、身障者トイレまで介助し、終わったらナースコール押すよう説明して退出。物音がして行くと顔面から倒れていました。腫脹が強くあり、内出血もしていますが、バイタルに大きな変化はありませんでした。


申し送り内容に気をつける

このような状況のとき、医師(主治医・当直医)にどのようなタイミングで報告しますか?n=43
結果

 みなさんの回答について、順番に見ていきましょう。どのようなタイミングで報告するか、という質問には、ほとんどの人がすぐに当直医に報告すると答えています。ですが、今回の事例ではバイタルも変化がなかったということですし、その場ですぐに当直医や主治医にコールしないで、様子を見るという選択肢もあるかなと思います。

 どちらにしても経過観察は必要です。特に、顔面から倒れているということから頭部を打っている可能性がある。これが原因で急変する可能性がある、ということは念頭に置いておいたほうがいいでしょう。さらに、長期的に考えると慢性硬膜外血腫なども引き起こす可能性があるかもしれません。

 経過観察する期間は、自分の勤務時間内だけでよいということはなく、翌日の朝に申し送りで伝えておく必要があります。その際に気をつけたいのが、伝え方です。

 「夜中にトイレで転倒し、顔面を打ち、腫脹と内出血がある」という事実は必ず伝えます。さらに「考えられるリスク」について伝えておいてもいいかもしれません。そのほかには、誰に報告したのかも忘れずに伝えておきましょう。当直医のみなのか、主治医も知っているのかは、しっかりと伝える必要があります。当直医だけが知っている場合、主治医には誰が報告するのかも明確にしておいたほうがよいでしょう。患者さんが急変した際に、主治医が夜中の転倒について把握していない、という事態は避けましょう。

 報告をする際にはSBARを念頭に置いておくと、無駄なく漏れなく伝えることができます。

報告の際の『SBAR』
SBAR

 この事例をSBARで報告するとしたら、下記のように報告できると完璧ですね。

報告例


 アンケートでは実際に報告する場合は、どのように伝えるのかも聞きました。いくつか紹介しますので、参考にしてみてください。

●転倒した時刻、どの医師に報告をし、指示をもらい何か検査をしたのか、経過観察なのか処置をしたのか、本人から聞いた転倒時の状況、その後の朝までの経過を伝える。(SSさん)

●Sが○時にトイレ歩行にて転倒した。直後のバイタルと外傷や疼痛の程度などの状態の報告をし、当直医にコールして、どういう指示をもらったか。また朝方の状態に変化はあったかを報告する。(Kさん)

●転倒され、顔面を打撲している、当直医に報告し、検査などなく経過観察中。打撲による腫脹・熱感はなし、意識障害はなし。再度の転倒リスクがあるため、歩行時は看護師を呼び、付き添ってもらうようにしている。(K.Sさん)

●転倒したので、バイタルの変化や状態にいつも以上に注意して。移動、トイレなどの際の転倒に気をつけて。(はっちさん)

●事実→当直への報告したこと→当直からの指示受け→朝1で主治医に報告する旨を伝え状態変わりないかや主治医からの指示で検査等あればフォローをお願いすること。(ゆーさん)

●バイタルサインに変化はなかったが、当直医に報告し診察依頼。頭部打撲している可能性があり、急な意識レベルの変化やバイタルサインの変化に注意が必要。 主治医への報告をお願いします。(3匹の子豚さん)

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