お気に入りに登録

【連載】知っておきたい!肝胆膵疾患

胆道がん患者さんのケア|外科的治療と化学療法のケアの注意点

執筆 吉田一枝

岡山済生会総合病院 外科病棟 看護師

監修 犬飼道雄

岡山済生会総合病院 内科 主任医長

目次


胆道がんの外科的治療とケアの注意点

術前のケア

 胆道がんは発生部により、(肝外)胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんに区別されます。術式は幅広く、身体的侵襲も大きいため、看護のポイントも多くあります。

 当院では、消化器系や呼吸器系のがんで手術を受ける患者さんに、「術前サポート外来」で麻酔科、リハビリ科、薬剤科、看護外来、栄養科などをあらかじめ受診してもらいます。周術期を万全な態勢で迎えられるようにさまざまな職種間で連携を図り、細やかなサポートを行っていきます。

 患者さんに術前から術後の状態をイメージしてもらうことは大切です。医師からも説明はありますが、それだけでは十分理解することが難しい場合もあります。口頭や活字による説明のみでなく、視覚的な情報があると術後のイメージがよりしやすいと考えられるため、留置される点滴や腹腔内ドレーンなどについて、図を用いて説明します(図)。

 病棟看護師は、外来からの情報を活かして早期からせん妄対策に取り組んだり、患者さんの個別性を踏まえた細やかなかかわりを図ります。手術を受ける患者さんには高齢者も多く、認知症状がみられる場合も少なくありません。
 
 入院時にせん妄リスク評価を行い、せん妄リスクの高い患者さんについては医師と情報の共有を行い、必要時には術前から心療内科にコンサルテーションを行います。また、せん妄発症予防や発症時の対応については、家族も含めてあらかじめ伝えておくことも重要です。

図 術後のイメージ説明図(岡山済生会総合病院の例)
zu_jutugo

術後のケア

◆術後合併症の予防
 胆道がんの手術は肝葉切除、膵頭十二指腸切除など、術後の身体的侵襲が大きい手術がよく行われます。術後合併症の予防には、まずは早期離床が重要になるため、創痛が離床の妨げにならないようにしっかり除痛を図ることが必要です。

 術後の合併症は多岐にわたりますが、重要なのは肝不全と縫合不全です。膵空腸吻合部(術後ドレナージは主に胆管空腸吻合部と膵空腸吻合部にされる)の縫合不全から起こる膵液漏には特に注意が必要です。
 
 術後3日目以降のドレナージされている排液のアミラーゼ値が、血清アミラーゼ値の3倍以上を認める場合は膵液漏が疑われます。膵液漏が発生した場合、漏れた膵液が血管に接触すると血管壁を溶かし、仮性動脈瘤をつくることがあります。
 
 仮性動脈瘤は破裂しやすく、破裂した場合は腹腔内に大量出血を起こし、緊急処置や緊急手術を要する生命にかかわる合併症となります。仮性動脈瘤の破裂は術後約7~21日目に多いとされているため、時期を把握して観察することが大切です。
 
 排液の色調がワインレッド色や血性に変化したり、性状が膿性や粘稠性に変化したり、甘酸っぱい臭いがするときは、直ちに医師へ報告します。バイタルサインの変化に早期に気づき、腹痛などの患者さんの訴えも大切な変化の指標となりますので注意します。
 
 膵液漏など合併症を併発すると入院が長期化する場合もあり、患者さんは「よくなるのだろうか」と不安を抱えやすくなります。医師からの治療経過の説明とともに看護師も患者さんの思いを傾聴し、不安の表出や軽減ができるような家族も含めた精神面でのかかわりが求められます。

◆術後出血の早期発見
 肝臓は血流の多い臓器であるため、術中の出血量が多いと凝固機能低下から術後出血しやすくなります。重症化を防ぐために術後出血を早期に発見し、急激な血圧の低下や頻脈といったバイタルサインに注意します。また、患者さんが腹痛を強く訴えるなど、いつもと様子が違う場合は見過ごさず、必要であれば医師に診察を依頼することが大切です。

◆低栄養の予防
 胆道がんの患者さんの中には、肝硬変を合併するなど、元々の肝機能が悪い場合もあり、低栄養に陥りやすい状態です。
 
 特に術後は、蛋白合成機能が一時的に低下するため、低アルブミン血症となってさらに低栄養が進み、尿量が減少したり、合併症が増えることが知られています。アルブミン値は低栄養の程度を確認する指標の一つとなるため、電解質異常に注意し、低栄養を来たさないようにします。

胆道がんの化学療法とケアの注意点

 がん化学療法では多岐にわたる副作用がみられることから、多様な看護が求められます。
 
 切除不能もしくは再発の胆道がん患者さんに対しては、ゲムシタビンとシスプラチンを併用した化学療法が行われることがあります。ゲムシタビン、シスプラチンの副作用には個人差がありますが、嘔気、食欲不振や発熱、骨髄抑制や肝機能障害がみられます。腎機能低下も生じることがあるため、尿量や体重に注意します。
 
 嘔気に対しては多くの制吐剤があるため、積極的に支持療法を行うことで改善が期待できます。
 
 食欲が低下している場合は脱水症を引き起こしていることが多く、こまめな水分補給を促すことが大切です。また、体重が減少する前から、患者さんの嗜好を取り入れた食事や栄養補助食品の摂取を勧めます。最近の栄養補助食品はかなり改良されています。管理栄養士につなぐなどして、患者さんが栄養補助食品について誤ったイメージをもたないようにします。体重の減少がみられるようであれば、点滴も考慮したほうがよい場合があります。ほかに、口内炎が生じると痛みで食事が取りにくくなります。口腔ケアをしっかり行い、口内炎が起きにくい状態に保っておくことが重要です。
 
 骨髄抑制は治療後14~21日目に出現しやすいといわれます。38℃以上の発熱が生じた場合の対応をあらかじめ伝えるとともに、外出後の手洗い・うがいといった一般的な感染対策を促します。
 
 がん化学療法を受ける患者さんには、起こりやすい副作用を理解してかかわり、副作用の出現を最小限に抑えることが大切です。

ページトップへ