【連載】診療報酬2018をおさらい!

2018年度診療報酬改定のポイント

執筆 濱中 洋平(はまなか ようへい)

メディキャスト株式会社 NKアカデミー事業部 統括マネージャー


目次


2018年度診療報酬改定3つのポイント

 2018年4月1日に診療報酬改定が施行され、皆さんが勤務する医療機関でも、改定に対応するための取り組みがなされているのではないでしょうか。これまで説明してきたように、診療報酬改定の背景には、大きな医療政策の流れがあり、現在は2025年問題に対応していくための改革が行われています。また、診療報酬を適切に算定することが病院経営において重要であることも、十分認識してもらえたと思います。
 
 ここからは、2018年度診療報酬改定に焦点を当てます。2018年度の診療報酬改定は、介護報酬改定との同時改定でもありました。そのため、医療と介護の連携も重要なテーマの1つでした。今回の診療報酬改定のポイントを3つにまとめました。
 

1.アウトカム評価の導入推進

 医療の質の評価で有名なドナベディアンモデル(構造〔structure〕、プロセス〔process〕、アウトカム〔outcome〕の3つの側面から評価される)は、診療報酬の評価にも当てはまります。診療報酬は、医療の質を経済的に評価するための手段でもあるからです。診療報酬における構造評価は、人員配置基準や施設基準などです。プロセス評価には、治療行為や多職種会議の実施、包括支払制度(DPC)も該当するでしょう。アウトカム評価には、平均在院日数や在宅復帰率などの要件が該当します。
 
 一昔前の診療報酬の評価は、その多くが構造評価でした。それは、プロセスやアウトカムを評価するための根拠(診療データなど)が圧倒的に不足していたためです。近年は、DPC制度の普及拡大やIT化の進展に伴い、評価の根拠となるデータが国に集まるようになってきました。そこで、徐々にプロセス評価が主軸になってきており、それに伴い、アウトカム評価も拡大している傾向にあります。
 
 2018年度診療報酬改定では、アウトカム評価がさまざまな診療報酬項目で求められることとなりました。特に、今回の改定では、入院料の再編・統合がなされるとともに、各入院料においてアウトカム評価が導入されました。導入されたアウトカム評価は、表1のとおりです。今回の改定で入院料に導入されたアウトカム評価は、今後、病院にとっても大きな意味をもつと考えられます。
 
表1:入院料に導入されたアウトカム評価
表1:入院料に導入されたアウトカム評価
 
 全国の病院が、このアウトカム評価基準に則って取り組みを推進していくと、どのようなことが起こってくるのでしょうか。予想されることは、平均在院日数の短縮です。重症度、医療・看護必要度の高い患者を集め続けるためには、それらが低下した患者については早期に退院支援を行い、退院や転院を促す必要があります。また、療養病棟における医療区分2・3の患者割合も同じことがいえます。医療区分の高い患者を集め続けるということは、医療区分の低くなった患者には、早期に退院支援を行う必要が生じます。さらに、回復期リハビリテーション病棟でリハビリテーションアウトカム実績に取り組むことは、早期にリハビリテーションの介入を行い、早期に退院させるということなのです。
 
 このように、今回の改定で導入された入院料におけるアウトカム実績の評価は、これからの病院にとって非常に重要な意味をもつことが想定されます。
 

2.地域での徹底的な連携体制の構築

 診療報酬改定のポイントの2つ目は、地域連携です。入院料におけるアウトカム評価の導入によって平均在院が短縮する可能性があるということは、病床の回転率が向上し、病床稼働率の低下につながることを意味します。そうなると、地域連携によって新規の入院患者(新入院患者)を集めてこなければなりません。
 
 しかし、地域の新たな入院患者を意図的に増やすことなどできません。そのため、アウトカム評価の導入により全国的に同じような状況が発生すると、多くの病院が、地域連携を必死に頑張り、なんとか新しい入院患者を確保しようとすることになります。地域連携は、これからの病院の最重要テーマともいえるかもしれません。
 
 現在でも、入院した患者に対し早期にスクリーニングを行い、退院困難な要因を有する患者には退院支援の介入がなされていると思います。早期に退院することは、患者にとっても望ましいことです。その一方で、平均在院日数が短くなればなるほど、病院は、新たな入院患者を地域から集めてこなければならなくなるという、ジレンマに陥ってしまうことになります。
 
 看護師としては、患者(家族)に対する適切な医療を提供していくことはもちろんのこと、地域連携の重要性を理解し、病棟に来るケースワーカーや地域の医師、看護師、そのほかの医療・介護従事者と密に接点をもつことが大切です。
 

3.“かかりつけ医機能”の評価

 入院医療に関する機能分化と連携は、これまで説明してきた通りですが、これは外来医療でも同様です。外来医療の機能分化は、地域の拠点となるような病院と診療所等とで役割分担をするイメージです(図1)。この「地域の拠点となるような病院」と「診療所等」との分岐ラインは、病床数200床を目安と捉えてよいでしょう。すなわち、200床以上の病院は、入院医療に資源を集中させ外来は専門化させていく方向となり、200床未満の病院および診療所等は、一般外来を中心とした“かかりつけ医機能”を担っていくことになります。
 
図1:外来医療の機能分化と連携
図1:外来医療の機能分化と連携
 
 診療報酬において“かかりつけ医機能”を評価する主な項目として、「地域包括診療料(同加算)」があります。この項目を算定できるのは200床未満の医療機関となっています。このことからも、200床のラインを境として、その役割の違いが示唆されていることを読み取ることができます。
 
 今回の改定では、“かかりつけ医”機能が重点的に評価されました。前述した地域包括診療料(同加算)の施設基準要件が緩和され取得しやすくなったとともに、“かかりつけ医機能”を評価する診療報酬項目を算定している医療機関だけが算定できる項目〔初診料の加算(初診料機能強化加算)〕が創設され、非常に手厚い評価となりました。
 
 一方で、外来医療の機能分化の名のもとに、大病院における外来評価は一層厳しい改定となりました。前回の2016年度改定では、大病院において紹介状のない初診患者が受診した場合、選定療養費(自費)として5,000円以上の患者負担となる制度が導入されました。この大病院の定義は、2016年度改定では500床以上でしたが、2018年度改定では400床まで引き下げられることとなりました。
 
 このように、入院医療だけではなく外来医療においても、さまざまな施策を通じて機能分化が図られていくことになります。
 

看護師にかかわる主な診療報酬項目

 診療報酬項目は、非常に多種多様で、看護師が関係する項目だけでも膨大にあります。おそらく、すべての診療報酬項目を理解できている人はいないといっても過言ではないかもしれません。また、前述したように、診療報酬は難解で、とっつきにくいと感じている方は非常に多いのです。
 
 表2に2018年度改定において看護師にかかわる主な診療報酬項目を、それぞれの機能ごとに抜粋して簡単にまとめました(一部は、看護師とは直接関係ありませんが、知っておいたほうがよいと思うものも含めています)。約30項目を掲載していますが、これだけでも診療報酬に看護師が幅広く関与していることがわかるのではないでしょうか。看護師が評価されている項目で目につくのは、「研修を修了した看護師の配置」や「●年以上の経験を有する看護師の配置」といった内容です。
 
表2:看護師に関係する主な2018年度診療報酬改定項目
表2:看護師に関係する主な2018年度診療報酬改定項目
 
 これからのキャリアアップとして、専門看護師や認定看護師、2015年10月にスタートした「特定行為に係る看護師(以下、特定看護師)」を視野に入れている人も多いでしょう。キャリアアップのために、これから資格取得を検討したいが、まだ具体化していないという人は、診療報酬項目で評価されている資格などを参考としてみてもよいかもしれません。診療報酬で評価されているということは、その診療報酬項目を算定したい医療機関にとっては、是が非でもほしい人材になり得る可能性があるということなのです。
 

新たに評価される4つの項目

 前述したように、診療報酬の施設基準のなかには、看護師にかかわる人的要件が含まれていることが多々あります。これまでは、主に専門看護師や認定看護師を評価する内容となっていましたが、2018年度診療報酬改定では、これらに加えて特定行為研修を修了した特定看護師が、いくつかの診療報酬項目で追加されることとなりました。
 
 まずは、今回の改定で特定看護師が評価された診療報酬項目をみてみましょう。今回の改定で新たに評価された項目は、次の4つです。
 

1.特定集中治療室管理料

 今回の改定により、特定集中治療室管理料施設基準に、「集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師が週20時間以上配置する」が、新たな要件として定められました。これによって、特定集中治療室管理料を算定する病院では、研修を受講し修了した看護師の配置義務が課せられたことになります。
 
 それでは、要件である「集中治療を必要する患者の看護に係る適切な研修」とは何を指すのでしょうか?診療報酬では、表3のように定められています。
 
表3:集中治療を必要とする患者の看護にかかわる適切な研修例
表3:集中治療を必要とする患者の看護にかかわる適切な研修例
 
 これらの研修のうち、①~④は認定看護師、⑤は専門看護師、⑥は特定看護師の評価です。診療報酬改定の議論が行われた際には、認定看護師、専門看護師は評価されるだろうとの見方が一般的でしたが、特定看護師も施設基準の評価として組み込まれることになりました。
 

2.糖尿病合併症管理料

 糖尿病合併症管理料では、「糖尿病足病変患者の看護に従事した経験を5年以上有する専任の常勤看護師であって、糖尿病足病変の指導に係る適切な研修を修了した者が1名以上配置」という施設基準要件があります。
 
 「適切な研修」は、表4のように定められています。
 
 今回の改定では、表4の研修に特定行為にかかわる看護師の研修も該当することが明確化されました。具体的には、「特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる『創傷管理関連』及び『血糖コントロールに係る薬剤投与関連』の区分の研修が該当し、両区分とも修了した場合に該当する」1)と示されました。
 
表4:糖尿病合併症管理料に係る適切な研修
表4:糖尿病合併症管理料に係る適切な研修

3.糖尿病透析予防指導管理料

 糖尿病透析予防指導管理料では、「糖尿病指導の経験を有する専任の看護師又は保健師」であって、表5のいずれかを満たした看護師が配置されている必要があります。

表5:配置要件
表5:配置要件

 今回の改定により、上記の研修に特定行為に係る看護師の研修も該当することが明確化されました。具体的には、「特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる『血糖コントロールに係る薬剤投与関連』の区分の研修は該当する」1)と示されました。
 

4.在宅患者訪問褥瘡管理指導料

 在宅患者訪問褥瘡管理指導料では、「在宅褥瘡ケアに係る所定の研修を修了している者」の配置が施設基準として定められています。
 
 在宅褥瘡ケアにかかわる所定の研修とは、「学会等が実施する在宅褥瘡管理のための専門的な知識、技術を有する医師、看護師等の養成を目的とした6時間以上を要する講義及び褥瘡予防・管理ガイドラインに準拠した予防、治療、ケアの実施に関する症例報告5事例以上の演習を含む研修であり、当該学会等より修了証が交付される研修であること。なお、当該学会等においては、症例報告について適切な予防対策・治療であったことを審査する体制が整備されていること」2)とされ、研修の講義にかかわる内容は、表6の内容を含むものとされています。
 
表6:研修の講義にかかわる内容
表6:研修の講義にかかわる内容
 
 今回の改定により、上記の研修に「特定行為に係る看護師」の研修も該当することが明確化されました。具体的には、「特定行為に係る看護師の研修制度により厚生労働大臣が指定する指定研修機関において行われる『創傷管理関連』の区分の研修は該当する」1)と示されました。
 
 このように、2015年10月にスタートした特定行為研修制度が、わずか2年半で診療報酬のなかで評価されるようになったことは、非常にスピーディな展開といえます。おそらく、今後も診療報酬改定のたびに、特定行為研修を修了した看護師の評価が拡大していくことが推察できます。
 
 表7は、2018年度診療報酬改定時点で評価されている認定看護師と専門看護師の一覧です。こちらも参考としてください。
 
表7:2018年度改定時点における認定看護師と専門看護師の診療報酬評価
表7:2018年度改定時点における認定看護師と専門看護師の診療報酬評価
表7:2018年度改定時点における認定看護師と専門看護師の診療報酬評価

引用文献

1)厚生労働省:平成30年3月30日事務連絡 疑義解釈資料の送付について(その1). (平成30年6月6日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000202132.pdf
2)厚生労働省:特掲診療料の施設基準等. (平成30年6月6日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000041272.pdf

(ナース専科2018年8月号より転載)

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