看護用語集

フェンタニル

ふぇんたにる

フェンタニルとは、医療用麻薬のこと。一般名はフェンタニルクエン酸塩。持続的な痛みが一定程度取れることが特徴で、全身麻酔全身麻酔における鎮痛、局所麻酔における鎮痛の補助、激しい疼痛(術後疼痛、がん疼痛など)に対する鎮痛薬として使用される。投与経路は、静内、硬膜外腔、くも膜下腔、舌下、バッカル錠(頬と歯茎の間に挟み、唾液で徐々に溶解させ、口腔粘膜から吸収させる)、貼付などがある。

例えば、がん疼痛をコントロールする場合、非オピオイド鎮痛薬〔アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)〕、オピオイド(コデイン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドン、フェンタニル、メサドンなど)、鎮痛補助薬(抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不整薬など)が主に用いられ、痛みの強さに応じて薬剤が選択される。

オピオイドは、弱オピオイドと強オピオイドの2つに分類され、フェンタニルは強オピオイドに属する。便秘、悪心・嘔吐、眠気といった副作用が起こりやすく、これらに対するケアが必要となる。また、「寿命が縮まる」「中毒になる」など、オピオイドに対する誤った認識から使用に抵抗を示す患者も少なくないため、丁寧な説明と支援が求められる。

■参考文献
●特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 ガイドライン統括委員会,編:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版).金原出版,2020.(2023年10月24日閲覧)
https://www.jspm.ne.jp/publication/guidelines/individual.html?entry_id=85
フェンタニル注射液0.1mg「テルモ」/ *フェンタニル注射液0.25mg「テルモ」/ *フェンタニル注射液0.5mg「テルモ」.(2023年10月24日閲覧)
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/8219400A1071_1_02/


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:岸本智砂子(有明医療大学看護学部看護学科 助教)

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