お気に入りに登録

【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

DAS、SDAI、CDAI|関節リウマチの疾患活動性評価指標

解説 小野澤 恵

丸の内病院 リウマチ膠原病センター 看護部外来/日本リウマチ財団登録リウマチケア看護師

目次

1.DAS、SDAI、CDAIは何を判断するもの?

DASとは

 Disease Activity Score(疾患活動性スコア)の略で「ダス」と呼びます。DAS は患者さんによる患者疼痛評価(PainVAS)と患者全般評価(PtGA)に加え、圧痛関節数、腫脹関節数、CRP(C反応性タンパク)またはESR(血沈値)を独自の計算式に入力して数値化し、疾患の活動性を総合的に評価する指標です。

 DAS28(ESR)= 0.56×√(圧痛関節数)+ 0.28×√(腫脹関節数)+ 0.70×Ln(ESR)+0.014 ×患者による全般評価(100mmVAS)
 
 DAS28(CRP)= 0.56×√(圧痛関節数)+ 0.28×√(腫脹関節数)+ 0.36×Ln((CRP)×10+1)+0.014 ×患者による全般評価(100mmVAS)+0.96

 DASには44関節を調べる「DAS44」と、28関節を調べる「DAS28」(図1)がありますが、一般的には「DAS28」がよく使われています。

図1 DASで調べる28関節
DAS28

 DAS28(CRP)では数値により、4.1を超えると「高疾患活動性」、2.7以上4.1以下が「中疾患活動性」、2.3以上 2.7以下が「低疾患活動性」、2.3未満を「寛解」に分類しています(図2)。

図2 DAS28、SDAI、CDAIの活動性の分類

木村万希子:日常外来での初期評価および活動性モニタリング.すぐに使えるリウマチ・膠原病診療マニュアル改訂版 第2版.岸本暢将,編.羊土社,2015,p.213をもとに作成

 DAS28のメリットは、現在の病状がどれくらいの程度なのかが客観的に評価できることと、経時的に数値を追っていくことで、治療の効果が評価できることです。

 デメリットは関節リウマチの症状や変化が多く見受けられる足趾の関節が入っていないため、足の症状がメインのリウマチ患者さんを過少評価しやすいことと、患者疼痛評価や患者全般評価は患者さん自身に行ってもらうため、患者さんが正しく理解し評価しないと正しい数値が算出されないことです。

 当院では図3の問診票を患者さんに渡し、診察の前に患者疼痛評価と患者全般評価を記入し、痛い関節と腫脹関節に印をつけてもらいます。次に医師が関節を触診し、圧痛や腫れを評価します。さらに血液検査CRPまたはESRの結果を加えDAS28の数値を算出します。

 患者さんによる全般評価は体調のほか、精神面の影響を受けることが多いため、心配事などがないかも聞きとるとよいでしょう。関節症状も活動性滑膜炎症によるものと、動かしたときに生じる変形性関節症などの非炎症性によるものと、区別したうえのアセスメントが必要です。

SDAIとは

 Simplified Disease Activity Indexの略で「エスダイ」と呼びます。DAS28より簡便な評価方法で、圧痛関節数と腫脹関節数、患者さんによる疼痛評価(VAS)、医師による全般評価(VAS)、CRPで算出します。

SDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 +患者による全般的評価(10cmVAS)+医師による全般的評価(10cmのVAS)+CRP(mg/dl)

CDAIとは

 Clinical Disease Activity Indexの略で「シーダイ」と呼びます。SDAIをさらに簡便にしたもので、圧痛関節数と腫脹関節数、患者さんによる疼痛評価(VAS)、医師による全般評価(VAS)で算出します。

CDAI=圧痛関節数 + 腫脹関節数 +患者による全般的評価(10cmのVAS)+医師による全般的評価(10cmのVAS)

 採血結果を除いているため、日常の臨床で使いやすくなっていますが、当院では現在CDAIはほとんど使われていません。

 DAS28、SDAI、CDAIの疾患活動性の分類は図2のようになり、いずれも数値が高いほうが疾患活動性が高く、数値が低いほうが疾患活動性も低くなります。

2.DAS28はこう使う!

 DAS28の疼痛評価と全般評価は100mmVASを用いていますが、それは患者さんの自己評価によるので、まずは患者さんがこの評価方法をしっかり理解できるような指導が必要です。患者さんに理解してもらいやすくするため、当院では図3のように補足の言葉や表情スケールを追加した問診票の見本を作成しました。

 また、疼痛評価が大きくなった場合は本当に関節の痛みなのか、例えば頭痛や腰痛などリウマチに関連しない痛みの評価が混同していないかを確認する必要があります。そして、前回と比べなぜ痛みが強くなったのか、その背景をアセスメントします。前回から今回の受診までの間に起こったこと、行ったことを聞き出します。例えば、「旅行に出かけてたくさん歩いた」という話を聞き出すことができれば、「使い過ぎや無理をした」という理由が推測できます。

 さらに患者さんの痛みのカウントが少ないのに、CRPが高い場合は、「風邪などひいていませんか」など体調の変化がないか、何か感染徴候がないかをアセスメントすることが大切です。患者さんの中には、風邪とリウマチは関係ないからと、遠慮して言わない人もいるため、疼痛評価とCRP値を照らし合わせて注意してみるようにしましょう。

 全般評価についても、前回と比べ数値が高い(印が右のほうにつけられている)場合は、体調がなぜ悪くなったのかを確認します。

 例えば他に数値が高くなった理由として、在宅自己注射を正しく行えていない場合や処方薬をきちんと指示通りに飲めていないことも考えられます。特に高齢患者さんの場合、加齢により細かいところが見えにくくなったり、巧緻性や認知機能が衰えてきたことも考えられるので、看護師の視点からもSDAIなど疾患活動性の数値の変化から自己注射や内服治療が正しくできているのかアセスメントに使うこともあります。

図3 丸の内病院の問診票の記入例(見本)
丸の内病院の問診票

3.DAS28やSDAIなど疾患活動整性数値を看護に活かす!

 疾患活動性の数値は経時的に見ることが大切です。そのため前回の受診のときと比較し、特に前回よりも著しく数値が高くなった場合は、この間にどのようなことがあったかを確認します。

 例えば、仕事や家事、育児、介護などで、無理をしていないかなどを確認することも必要です。女性の患者さんが多いことから、どうしても無理をして家事や育児(孫の面倒)をしてしまうという話も多く聞きます。そのような患者さんには、家族の理解を得て、協力してもらうように声かけをしたり、ご家族が通院に付き添っている場合には看護師よりお願いをすることもあります。リウマチの症状はストレスも反映されるため、無理をして心身のストレスがたまっていないかも聞きましょう。

 また、日常生活では風邪やインフルエンザなどの感染症に注意してもらう必要があり、血液検査でのCRP値と体調の変化にも気をつけて見ていきます。

 その上で日常生活の指導として、治療薬によっては免疫が抑制されるため易感染や帯状疱疹の心配もあり、その点でも無理をしないことや、手洗い、マスクの着用などの清潔習慣、関節に負担をかけて使いすぎないこと、十分な休息を取り身体を休めることも伝えます。

 関節を使い過ぎて痛みが強くなった場合、慌てて受診する必要はないため、座薬などの痛み止めを使う、シップを貼るなど患者さんがご自分でできる対処法も伝えておくとよいでしょう。痛みのほかに感染症や全身状態が悪くなり緊急性が高い場合は、すぐに連絡できるように緊急時の連絡方法も伝えています。

 疾患活動性の数値が以前に比べ高くなっている場合、先に述べたように内服がきちんと行えているか、自己注射の患者さんには注射がしっかり自分でできてているのか、忘れることが続いていないか、手技が困難になってきていないかを確認させてもらうこともあります。注射ができていない場合は、注射手技の再指導を行い、引き続き注射が継続できるのか、家族の協力が必要なのかを確認します。

 また、自己注射は体調管理をした上での治療なので、認知面の低下から体調管理や判断ができなくなってきた患者さんは、通院で投与するか点滴製剤に変更するかを検討する必要があるため、医師との定期カンファレンスのときなどに相談します。内服や薬剤全般に関しては、院内に登録リウマチ薬剤師がいれば介入を依頼してもよいでしょう。

ページトップへ