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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)

執筆 成田亜希子

医師

1.このスケールは何を判断するもの?

 NIHSSは「National Institutes of Health Stroke Scale」の略称で、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など脳卒中の神経学的重症度を評価するスケールの一つです。「意識」・「運動」・「感覚」・「発語」などの全11項目を判定表に従って評価し、点数化します。

 脳卒中は緊急的な治療を要することが多く、治療の遅れが生命予後や後遺症の発現を左右することも少なくありません。このため、とくに発症初期の段階で的確に重症度を把握できるよう国際的に標準化されたスケールがNIHSSなのです。

 また、脳卒中は発症後も時間が経過するにつれ症状が変動しやすいため、経過観察のためにNIHSSによる評価が用いられることも少なくありません。脳梗塞の治療法の一つであるrt-PA静注療法では投与開始から1時間は15分ごと、1~7時間は30分ごと、その後24時間までは1時間ごとにNHISSによる評価を行うよう指針が示されています。

2.スケールはこう使う!

 NIHSSは世界共通の判定表を用いて評価を実施します。判定表には、意識水準・意識障害(見当識と記憶)・注視・視野・顔面神経麻痺・両上下肢運動・運動失調・感覚・発語・消去現象と注意障害など11項目のチェック項目が記載されています。注意すべき点は、必ず判定表に書かれた順番通りに評価を行い、一度評価したものは修正しないことです。また、特に指示がないかぎり患者さんを誘導してはなりません。もし患者さんが答えを言い直したとしても、評点は最初の答えについて行うようにしましょう。

NIHSS

 それぞれのチェック項目には決められた点数が記載されており、全ての評価が終了したらそれぞれの点数を合算します。NIHSSでは、「0点」が正常で、最大の「42点」に近づくほど神経学的重症度が高いと考えます。

 ただし、NIHSSは脳神経障害を評価する項目が少なく、言語障害に対する配点が高いため、意識障害や運動神経麻痺などよりも脳神経障害が目立ちやすい椎骨動脈系の障害、言語中枢が優位でない半球のみの障害では点数が低めに評価される傾向があります。このため、同じ点数でも実際の重症度は異なることがあるのです。患者観察の際にはNIHSSの点数だけでなく全身状態を把握した上で、総合的な重症度に適した対応を行うようにしましょう。

3.スケールの結果を看護にこう活かす!

 NIHSSは脳卒中の重症度を把握する上で非常に有用なスケールです。搬送時や初診時などはできるだけ速やかに評価を行い、緊急性の有無を判断できるようになりましょう。また、rt-PA静注療法を行う際など経過観察のために評価するケースでは、重症度の明らかな上昇が見られたときは速やかに医師に報告し、緊急の処置ができる体制を調えることが大切です。

参考文献

●脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017].一般社団法人日本脳卒中学会(2019年10月10日閲覧)http://www.jsts.gr.jp/img/guideline2015_tuiho2017.pdf
●rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針.一般社団法人日本脳卒中学会(2019年10月10日閲覧)http://www.jsts.gr.jp/img/rt-PA02.pdf

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