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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

フレイルの評価基準(J-CHS基準)

執筆 成田亜希子

医師

1.このスケールは何を判断するもの?

 「Friedらのフレイルの評価基準(以下CHS基準)」は、高齢者のフレイルの程度を評価するためのスケールです。日本においては、CHS基準をより簡便にした「J-CHS基準」が作成されています。

 フレイルとは、加齢によって心身が衰えた状態のことをいいます。要支援や要介護の一歩手前の状態と捉えられていて、進行すると高齢者のQOLが低下するだけでなく、誤嚥性肺炎や尿路感染症などのさまざまな合併症のリスク上昇につながります。一方で、適切な介入を行えば健康な状態に回復する可能性があるともされています。このため、このスケールは主に高齢者のフレイルを早期に発見して進行を予防すること、フレイルに伴うさまざまな危険を回避する予防策を行うことを目的に外来、病棟、介護施設などで広く使用されています。

 このスケールの評価項目は、体重減少の有無、疲労感、身体活動量、歩行速度、握力の5つです。フレイルになると「身体の縮み」・「疲れやすさ」・「活動性の低下」・「動作の緩慢化」・「弱弱々しさ」が生じるとの考えに基づいて、設定しています。

表 フレイルの評価基準(J-CHS基準)
J-CHS基準
Fried LP, et al: Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001;56(3): M146-156.、野藤 悠,他:フレイルとは:概念や評価法について.地域医学 2018;32(4):314を元に作成

 評価を行う際の注意点としては、加齢とは関係なく手や足に障害を抱えた患者さんに対する評価難しいことです。また、疲労感の程度も受被験者の主観に左右されることを念頭に置いておく必要があります。

2.スケールはこう使う!

 このスケールでは、体重、主観的な疲労感、日常生活活動量に対する聴取、握力や歩行速度の計測を行い、フレイルによって引き起こされる上記5つの項目を評価します。5項目のうち3項目以上に当てはまるケースを「フレイル」とし、1~2項目に該当するものは「プレフレイル」、いずれも該当しないものを「健常」と判断します。

 このスケールでフレイルと評価された患者さんに対しては、要介護となるリスクを回避するためにも転倒防止策などを徹底して管理していく必要があります。また、フレイルに伴う合併症も起こりやすいため、日ごろからバイタルサインや顔色、発汗状態、尿量などの変化に注意することが大切です。また、プレフレイルに該当する患者さんはリハビリを強化してフレイルの進行を抑える必要がありますが、フレイルに該当する患者さんと同様に転倒などには十分注意しなければなりません。そして、健常と評価された患者さんも入院中などにさまざまな機能が衰える可能性がありますので、注意しましょう。

3.スケールの結果を看護に活かす!

 看護の現場でこのスケールを用いる最大のメリットは、患者さんのフレイルの状況を把握できることです。高齢者は原疾患以外にも要介護状態となるさまざまなリスクを抱えています。そのため、フレイルの程度を把握して適切な管理につなげていくことが必要です。

 また、このスケールを用いた評価を繰り返し行うことで、状態の変化を継続的に把握するようにしましょう。その際、明らかにフレイルが進行している場合には医師や理学療法士に報告し、食事内容やリハビリの方法を再検討する必要があります。そして、その都度管理の方法を見直していくようにしましょう。

参考文献

●Fried LP, et al: Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001;56(3): M146-156.
●野藤 悠,他:フレイルとは:概念や評価法について.地域医学 2018;32(4):314.

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