【連載】エキスパートが教える! 知っておきたい看護技術

ストーマ(コロストミー・イレオストミー・ウロストミー)の術前のケア

解説 永野みどり

東京慈恵会医科大学 医学部 看護学科 成人看護学領域 教授

ここでは、ストーマ造設前のケアについて解説します。

術前の説明

 在院日数が短縮している現在、術前に患者さんがストーマについて十分に理解する機会を設けることは、なかなか難しいかもしれません。施設によっては、皮膚・排泄ケア認定看護師など専門知識のある看護師が、外来、もしくはストーマサイトマーキング(後述)を行う際に説明を行っているところもあるでしょう。

 そうした機会だけではなく、病棟の看護師も、患者さんとその家族に術後の生活のイメージができるような説明をすることが理想的です。

表1 術前の説明項目の例
ストーマ造設術前の説明項目の例

セルフケア能力のアセスメント

 高齢の患者さんでは、セルフケアができるかどうかのアセスメントが重要です。認知機能や視力、手指の動きなどを確認しましょう。

 また、高齢になるほど手術による侵襲の影響は大きく、術後の回復に時間がかかります。術前は元気なようでも、術後は体力、気力ともに低下し、入院中にセルフケアを習得することが難しいケースも少なくありません。

 セルフケアが難しい、もしくは習得に時間がかかる場合、家族など介護者のケアが必要となります。退院後の家族の支援体制などを確認し、必要であれば訪問看護の導入や療養型病院の転院などを検討するように働きかけます。

ストーマサイトマーキング

 ストーマサイトマーキングとは、術前(ストーマを造設する前)に、ストーマを作る場所を選定して、体表上に印をつけることをいいます。

 ストーマサイトマーキングの目的は、ストーマを管理しやすい、適切な位置につくることで、患者さんのQOLを維持、合併症を予防することです。

 皮膚・排泄ケア認定看護師がいる施設では、ストーマサイトマーキングを皮膚・排泄ケア認定看護師が行うケースがほとんどです。また、緊急手術の場合や皮膚・排泄ケア認定看護師が不在の施設では、医師が行うことが多く、病棟の看護師が行うことはあまりないかもしれません。

 しかし、実際にストーマサイトマーキングをしないまでも患者さんが管理しやすいか、その後の生活動作を妨げないかなど、マーキングの位置を確認することは大切です。問題がありそうであれば、医師に報告しましょう。


ストーマサイトマーキングの重要性

 かつては、ストーママーキングを行わずに手術をし、のちに患者さんがストーマ管理に難渋する例が多くありました。

 現在では、ストーマサイトマーキングを実施した際に加算される「人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算」が設けられたこともあり、そういった例は少なくなったものの、術前にはストーマサイトマーキングを行うことが必要だということをまずは知っておきましょう。
※2012年の診療報酬改定で、「人工肛門・人工膀胱造設術前処置加算」が新設された。


造設する腸管による位置

*消化管ストーマ(図1)
 造設する腸管によって、ストーマサイトマーキングの範囲が異なることを知っておきましょう。
(赤丸:ストーマ造設位置の例 青色斜線部:ストーマ造設が可能な範囲)

図1
S状結腸ストーマと横行結腸ストーマ

回腸ストーマ

尿路ストーマ(ウロストミー)(図2)

 回腸導管造設術は右側の下腹部、尿管皮膚瘻造設術は、両側に造る場合、左右の下腹部右、片側の場合、右あるいは左の下腹部です。

 尿管は腸に比べて短いため、尿管皮膚瘻の場合、患者さんがケアしやすい部位にストーマをつくることができるとは限りません。

 一方の回腸導管は小腸の一部(導管)をつないで排泄口とするため、ストーマを造設する範囲がある程度広くなり、位置を考慮することができます。

図2
尿路ストーマ

尿管皮膚瘻

マーキングの基本

 基本的な条件として、クリーブランドクリニックの5原則(表2)、および大村らのストーマサイトマーキングの原則がよく使われています(表3)。

表2 クリーブランドクリニックの5原則
クリーブランドクリニックの5原則


表3 修正ストーマサイトマーキングの原則
ストーマサイトマーキングの原則
大村裕子:ストーマサイトマーキングの現状と再評価.日本創傷オストミー失禁ケア研究会誌 2003;6(2):1-6.より引用

 患者さんがストーマを確認でき、装具の交換や排泄物の管理がしやすい、排泄物の漏れがないように、ストーマ装具をしっかりと装着できる位置にストーマをつくる必要があります(表4)。

表4 マーキングのポイント
マーキングのポイント

 特に、腹部に脂肪が多い、皮膚のたるみがある場合、ストーマが埋もれてしまう位置にならないように注意しましょう。その際は、仰臥位だけではなく、立位や座位などさまざまな体位を考慮します。生活動作の妨げにならないことも重要です。働いている人の場合、勤務中の動作なども確認しましょう。

 また、放射線治療が予定されている場合、その部位を避けます。

引用・参考文献

●大村裕子:ストーマサイトマーキングの現状と再評価.日本創傷オストミー失禁ケア研究会誌 2003;6(2):p1-6.
●宮嶋正子,監:はじめてでもやさしいストーマ・排泄ケア 基礎知識とケアの実践.学研メディカル秀潤社,2018.
●大村裕子,他:クリーブランドクリニックのストーマサイトマーキングの原則の妥当性.日本ストーマ学会誌 1998;14(2):33-41.

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