【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

執筆 成田亜希子

医師

1.このスケールは何を判断するもの?

 「改訂 長谷川式簡易知能評価スケール」は簡易的に認知機能を評価するために用いられるスケールです。見当識・記銘力・計算・逆唱・物品再生・言語の流暢性など9つの項目から構成され、被験者に質問を繰り返す方法で評価を行います。被験者の認知機能にもよりますが、検査にかかる時間は10~15分程度であり、外来や病棟などさまざまな場面で広く行われています。

 主な検査対象は認知機能の低下が疑われる患者さんです。症状がない場合でも、認知機能障害のスクリーニング目的で高齢の患者さんに行われるケースも少なくありません。また、頭蓋内病変や外傷などの後遺症で認知機能低下が生じる可能性のある患者さんに対して、病状を把握するため定期的に検査を行うこともあります。

 このスケールは短時間で認知機能を大まかに評価できる反面、被験者の理解や協力が得られるかどうかが影響するため、認知機能低下が重度な患者さんや認知症だと認めたくない軽度な患者さんはでは正しい評価がしにくいといった問題点もあります。

2.スケールはこう使う!

 このスケールには、全国共通の検査用紙があります。検査では9項目それぞれに定められた点数を合計して得点を算出します。9項目すべての質問に正答した場合は30点で、20点以下では認知機能の低下があることを疑い(認知症疑い)、20点を「軽度」、11~19点を「中等度」な低下、10点以下を「高度」な低下と考えます。

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール・HDS-R
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加藤伸司,他:改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の作成.老年精神医学会雑誌 1991;2:1342.より引用

 検査は看護師が行うことも可能です。検査の際には、検査用紙の順に質問を行い、回答に詰まるような場合には無理に時間をかけずに次の質問に進みましょう。また、認知機能の経過観察のために繰り返し検査を行う場合は、「物品再生」の項目で使用される物品を覚えてしまっている可能性があるため、その都度身の回りのものを使って質問を変えるようにしましょう。

3.スケールの結果を看護に活かす!

 このスケールは患者さんの認知機能を簡易的に評価するために行われます。このため、認知機能が低下している患者さんに対しては服薬管理の徹底、誤飲や徘徊による転倒などを防止するため周辺環境を整えるなどの配慮が必要となります。

 しかし、このスケールは認知症の初期段階では検査結果に異常が見られないこともあります。スケール上では認知機能が正常と評価される場合でも、高齢者に対しては同様の配慮が必要と考えましょう。

 また、定期的に検査を行う場合、それ以前の検査よりもスケール上で認知機能が悪化しているときは、適切な検査や治療が必要になることがあります。そのため、速やかに医師に報告することも大切です。

引用・参考文献

●加藤伸司,他:改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の作成.老年精神医学会雑誌 1991;2:1339-47.

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