• 公開日: 2009/9/22
  • 更新日: 2020/3/26

【連載】知っておきたい お金のはなし

vol.1 消費税増税を知ってポイント還元を活用しよう!

 2019年の大きな話題の1つ「消費税増税」が10月にスタートしましたが、みなさんは戸惑ったり、疑問を感じたりしていませんか。なかでもキャッシュレス決済時のポイント還元については、制度が複雑でわかりにくいと感じている方は少なくないかもしれません。

 また、看護師にとって身近な医療費でも、病院など施設経営への影響から一部診療報酬の引き上げが行われています。しかし、あまり報道されておらず、何が変わったのか具体的にはわからないという方も多いのではないでしょうか。

 今回は、そんな消費税増税とキャッシュレス決済について、医療業界への影響や家計に取り入れた場合のメリット・デメリットなどを含め、簡単に整理することにしましょう。

消費税増税とキャッシュレス決済のおさらい

 消費税増税は、少子高齢化社会が進んでいることによる社会保障費の財源確保のため取られた対策です。今まで8%だった消費税が10%に引き上げられただけならシンプルなのですが、「軽減税率」と「キャッシュレス決済時のポイント還元」いう制度があることによって多くの混乱を招いています。

①消費税増税と軽減税率

 基本的にはアルコール類以外のテイクアウトの飲食料品が8%のままという軽減税率が導入されています。しかし、その区分にはわかりづらい点も多く、テイクアウトで購入した商品を店内のイートインコーナーで飲食する「イートイン脱税」などという現象も問題になっています。

図1 軽減税率(8%)が適用になる飲食料品
軽減税率(8%)が適用になる飲食料品
全国商工会連合会資料(2019年11月27日閲覧)https://www.shokoren-toyama.or.jp/kenren/upload/file/一目でわかる軽減税率制度.pdfをもとに筆者作成

②医療費と消費税 

 もともと非課税のものは、増税後も金額は変わりません。主に、医療費(処方薬)や介護保険サービスの提供、助産、学校教育費、家賃、土地の購入費や貸付け、生命保険などがそれにあたります。

 しかし医療機関の場合、医薬品や検査器具、資材などの仕入れに関しては増税となるため、それが経営に大きな影響を与えることになります。そのため、医療機関によっては、一部診療報酬の引き上げが行われており、医療費が実質アップしている場合もあります。また、美容整形などの保険適応外診療や差額ベッド代、文書料などについては非課税の対象ではないため、増税となっている場合があります。

③キャッシュレス決済

「キャッシュレス・ポイント還元事業」は、増税による消費の冷え込みを軽減する方策の一つとして実施されることになりました。同時に、キャッシュレスによる生産性の向上や消費者の利便性の向上も目的としています。

 制度の仕組みとしては、中小企業の特定のサービスを利用した際、現金以外での支払いをすると、国から利用者にポイントが2%もしくは5%還元されるという仕組みです。そのほか、各決済会社やカード会社によるポイント還元サービスもあるため、2重3重でポイントがもらえる場合もあります。

 医療業界分野については、国の事業においては対象外です。しかし、各決済会社によるポイント還元は適応となります。

図2 キャッシュレス決済とポイント還元のイメージ
キャッシュレス 決済とポイント還元のイメージ
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収入が増やせる!? キャッシュレス決済の賢い使い方

①キャッシュレス化によるメリットとデメリット

 キャッシュレス決済は、支払いを現金以外にするだけでポイントが還元され、お得といえる決済方法ですが、メリットだけではありません。使いすぎたり、停電時には使えないなどのデメリットもあるため、それらを把握することでリスクを回避することができます。

図3 キャッシュレスと現金のメリットとデメリット
キャッシュレスと現金のメリットとデメリット

②キャッシュレス決済はどう使えばいい?

 例えば、固定費をカード決済に変更したり、ほしいと思ったものをネットショッピング利用に変更するだけでも、ポイント還元が上乗せされます。ネットショッピング内でも、商品の販売元がキャッシュレス・ポイント還元事業者であれば、国からのポイント還元もあるため、よりお得に購入できる場合があります。

 あるショッピングサイトを例にすると、サイトオリジナルクレジットカードで支払うとポイント還元率が最大3%になり、さらにゴールドカードであれば、ポイント還元率が最大5%にアップしてよりお得になります。そして、同サイトによるキャッシュレス決済サービス(○○ペイなどQRコードによる決済)とクレジットカードを紐づけすると、QRコード決済で0.5%、そのうえカードでの1.0%のポイントも還元されるという2重取りができるようになっています。

③実際に家計はどう変わる?

 それでは、キャッシュレス決済を利用した場合、家計はどう変わるか具体例をみてみましょう。固定費について、カード払いにできるものはカード払いに変更し、ネットショッピングとQRコード決済も導入してみました。

[ある独身看護師の場合:手取り月収30万円、賃貸で一人暮らし、車所有]
*楽天カード、楽天Pay、ネットショッピングは楽天市場を利用(すべて通常の還元率によって算出)

ポイント還元率
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 この方の場合、25万円/月の支出に対し、ポイント還元は8,495円分になりました。1年間にするとポイントだけで10万1,940円になります。
 家賃や駐車場などでもクレジットカード決済ができるところが増えてきています。入居時には口座引き落としだけだったとしても決済できるよう変更になる場合もあるので、固定費については積極的に支払い方法を見直していくといいでしょう。

 ポイントの活用方法は、商品を買う以外にもあります。筆者はマイルを集めて、無料で飛行機に乗っています。さらに、ポイントを使って投資することもできるようになっており、活用方法は広がっています。


☆vol.1のまとめ☆ 消費税増税は、社会保障費、特に高齢化社会により不足している年金や医療費を確保するための政策です。少子高齢社会はこれからも進んでいくことから、医療費の負担は今後も増えることが予測されます。看護師は医療に携わるものとして、これからの医療の在り方について、人々にどのようにアプローチしていくかを考えていかなければならない時代であると感じます。

 お金の使い方においても同様で、「今の生活」だけではなく、「将来」どんなことが起こり得るのか、さまざまなリスクを考え、対策を考えていくことがカギとなってきます。今回述べてきたキャッシュレス決済で大きなデメリットとなるのは、使ったお金が目に見えないという点です。忙しくストレスの多い看護師は、つい無頓着にお金を使ってしまうことがあります。家計簿アプリを連動させ決済履歴を家計簿としてうまく活用するなどして、お金の使い方を簡単に振り返れるようにしてはいかがでしょう。

参考資料

●全国商工会連合会:一目でわかる!消費税軽減税率制度(2019年11月27日閲覧)https://www.shokoren-toyama.or.jp/kenren/upload/file/一目でわかる軽減税率制度.pdf
●厚生労働省:消費税と診療報酬について(2019年11月27日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken14/index.html
●全国保険医団体連合会: 2019年消費増税に伴う10月からの診療報酬改定について(2019年11月27日閲覧)
https://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/19kaitei/ika/index.html
●経済産業省:キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)消費者向け説明資料(2019年11月27日閲覧)
https://cashless.go.jp/assets/doc/consumer_introduction.pdf
●一般社団法人キャッシュレス推進協議会:キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要(2019年11月27日閲覧)
https://cashless.go.jp/assets/doc/gaiyoucashlesskessai.pdf
●全国柔整鍼灸協同組合:接骨院・整骨院における「キャッシュレス・消費者還元事業」について(2019年11月27日閲覧)
https://www.zenjukyo.gr.jp/news/shohizeicashlesskangen/

イラスト/ふるやますみ

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