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【連載】Nursing 最前線 ―看護の現場をリポート―

より確実な技術と知識を 患者さんに届けるため 実践力を備えた看護師を 医療安全技術研修で育成<厚生連高岡病院>

提供 ニプロ株式会社

https://www.nipro.co.jp/

富山県西部地区の医療を80余年にわたり支えてきた厚生連高岡病院。33の診療科を有し、救急医療やがん医療、周産期医療など高度医療に取り組む一方で、総合診療科や緩和ケア病棟を新設するなど、より地域に求められる病院を目指し歩んでいます。そして、このような幅広い医療を支えていくために、能力の高い看護師の育成を目的とした「医療安全技術研修」を展開しています。


臨床現場でも現れている「医療安全技術研修」の成果

「『医療安全技術研修(以下、技術研修)』で実際に体験しながら手技を身につけられたことが、いまとても役に立っています」。2019年度に入職し、技術研修を受けた杉野晴菜さんはこのように話します。

 消化器内科と泌尿器科の患者さんがいる病棟に所属していますが、ベッドサイドで落ち着いて採血をする姿がみられました。「初めての採血でも、患者さんへの声かけから、実施、後始末まで、思ったよりスムーズにできました。うれしかったですね。研修中から、自分がどのように手技を実施すればよいか、イメージできたことが大きかったと思います」(杉野さん)。
 
 自分の安全を守りながら行う確実な手技が獲得できたと杉野さん。このように、技術研修の成果は目に見えて現れているようです。

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2019年度の技術研修を受けた杉野晴菜さん

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研修で得た確実な手技で自信をもって採血を行う杉野さん

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実施前の手指消毒もしっかりと

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胸の新人マークは実技研修を受けている証しでもある

演習を中心にプログラムを構成 確実な技術・知識の獲得を目指す

 2016年から行われている技術研修は、医療安全対策室によって計画・立案されてスタート。看護部の新人教育プログラムと併せて行われています。

 「特に注射や採血など、患者さんに侵襲を与える手技は、新人であっても確実に行わなければなりません。でも、血管の捉え方や陽圧ロックなど実際にやってみなければ理解・習得しにくいものも多い。ですから、安全を守るためには演習を中心にした研修が必要だと考えました」と話すのは、医療安全管理部管理者部長の赤江郁子さん。同室で共に院内の医療安全を支える医療関連感染管理部看護師長の澤野博美さん(感染管理認定看護師)と話し合ううちに、研修の構想がまとまったといいます。

 技術研修は、毎年4月後半に2日間で実施されます。プログラムは、救急対応、手指衛生、個人防護具着脱、吸引、採血、針刺し・切創・体液曝露対応、輸液確認、留置針穿刺、輸液ラインの準備・輸液ルートの管理、末梢静脈ロック、陽圧ロックなど33項目(2019年度)。1項目あたり20~30分刻みのタイムスジュールで、講義と演習が行われます。
 
 「研修冒頭に配布した『確認テスト』を最後に提出しなければならないので、慌ただしいスケジュールでも、参加者は一所懸命技術や知識を得ようとします。それが、杉野さんのように実臨床での確実な手技に結びついていると思います」(澤野さん)
 
 当初は新人看護師を対象としていましたが、研修の成果が評価され、2018年からは、新人研修医とリハビリや検査の新人職員、感染防止対策加算を算定する地域連携病院の看護職も参加するようになりました。以後参加者は毎年50~60名を数えます。

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医療安全管理部管理者部長の赤江郁子さん(左)と医療関連感染管理部看護師長の澤野博美さん(右)

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技術研修の様子。救急対応のなかでも重要な心配蘇生法を学ぶ

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吸引は2018年度から研修項目に加えられた

研修によって先輩看護師も変化 見直すことが進化につながる

 技術研修には、看護部医療安全教育連絡会の推進メンバーや認定看護師など多くの看護師が、グループリーダーや講師として指導・運営にかかわっています。回を重ねるごとに皆の主体性が増し、いろいろなアイデアが出されるようになっているとか。
 
 一方で、実践力をつけた新人看護師の存在が病棟の刺激になり、自らの手技を見直す先輩看護師が多くなったといいます。赤江さんは「新人看護師がせっかく身につけた技術が、現場で崩れてしまってはいけない。そういう意味でも、全看護師に自身の技術を見直してもらい、ひいてはそれが手技の標準化につながればいいと思います」と話します。自身も研修参加者の姿から学ぶ大切さを痛感し、2019年に認定看護管理者*の資格を取得したそうです。
 
 今後の技術研修については「同じ研修であっても、毎年同じ内容であってはいけないと考えています。それでは今以上の成果が得られないことになってしまう。今後も、効果を見極め、評価し、見直しながら、発展させていきたいと思います」と澤野さん。着実な積み重ねの結果、病院長や臨床指導医はじめ院内全体の協力が得られるようになった技術研修。これからますますの進化が期待できそうです。
 
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参加者は研修終了後に確認テストを提出し、その採点結果と共に医療安全技術研修修了証が手渡される

DATA

厚生連高岡病院
富山県高岡市永楽町5-10
開設1936年
病床数533床
職員数971名(うち看護職549名)※2019年10月現在
看護体制一般病棟7:1
日本医療機能評価機構認定病院/富山県地域医療支援病院/地域がん診療連携拠点病院/災害拠点病院/地域周産期母子医療センター

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ニプロ株式会社発行:看護情報誌「ティアラ」2019年11月(no.125)より転載

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