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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

CCS分類(Canadian Cardiovascular Society functional classification)

執筆 成田亜希子

医師

1.この分類は何を判断するもの?

 CCS分類とは、自覚症状に基づいて狭心症の重症度を評価するためのスケールです。このスケールは狭心症状の有無だけでなく、歩行や階段昇降など日常生活上の労作が可能かどうかも評価項目であるため、狭心症による日常生活への支障なども把握することが可能となります。

 CCS分類はカナダ心臓血管協会(Canadian Cardiovascular Society)によって作成され、現在では日本をはじめ多くの国で広く用いられているスケールの一つとなっています。

 この分類による重症度判定は治療効果の評価や合併症のリスクを把握するため、一回のみではなく繰り返し行うことが大切です。狭心症の経過を追う中で重症度が低くなっていく場合は、生活改善や治療の効果が表れていることを意味し、狭心症に引き続いて起こりやすい心筋梗塞や心不全のリスクが低い状態にあると考えます。一方、重症度が高くなる場合は治療や生活改善の効果が十分ではなく、合併症を引き起こすリスクがより高いことが示唆されるのです。

2.スケールはこう使う!

 CCS分類は狭心症の重症度を自覚症状に基づいてⅠ度~Ⅳ度の4段階に分類します。


0度:自覚症状なし
Ⅰ度:日常の身体活動(歩行や階段歩行など)では狭心症が起きない。(仕事、レクリエーション等の激しい、急なまたは持続的な運動を行ったときのみに狭心発作を生じる)
Ⅱ度:日常的な活動は軽く制限される。(急いで歩く、階段や坂道を上るなどの労作、食後、寒さ、ストレスのある状況では起床後2時間以内の歩行、階段上昇によって発作が起こる。また、2ブロックを越える平地歩行や1階を越える階段上昇によっても発作を生じる)
Ⅲ度:日常生活は制限される(普通の速さ・状態で行う1~2ブロックの平地歩行、1階分の階段上昇によって発作が生じる)
Ⅳ度:いかなる動作も苦痛なしにはできず、安静時にも発作が起こる
このスケールは検査所見などの客観的データを必要とせず、患者さんの自覚症状のみで分類を行うのが特徴です。患者さんの訴えをよく把握した上で分類を行うようにしましょう。


3.スケールの結果を看護に活かす!

 このスケールの分類結果は、合併症の発症リスクの推測に役立ちます。また、日常生活の制限の程度が把握できるため、患者さんのQOLを考える際にも有効な指標となります。

 例えば、Ⅲ~Ⅳ度に分類された患者さんの日常生活に大きな支障をきたす恐れがあるため、慎重な見守りと経過観察、そしてセルフケア不足を補う介入が重要になってきます。また、合併症として心不全を引き起こすリスクも高いため、息切れや呼吸苦などの症状には注意が必要です。一方、Ⅰ~Ⅱ度と分類された患者さんに対しても定期的に評価を行い、重症度が進行している場合はできるだけ早く医師に報告し、検査や治療法の再検討を促すことが大切です。

参考文献

1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2000-2001年度合同研究班報告)急性冠症候群の診療に関するガイドライン.一般社団法人日本循環器学会(2019年12月12日閲覧)http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2002yamaguchih.pdf

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