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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Surgical Staging System

執筆 成田亜希子

医師

1.この分類は何を判断するもの?

 Surgical Staging Systemとは、脂肪や筋肉などにできる軟部腫瘍のステージを分類するスケールの一つで、主に原発巣の切除を行うのに適した時期を判断するために用いられます。このスケールの特徴は、腫瘍の大きさにかかわらず、組織学的悪性度・腫瘍の部位・遠隔転移の有無によってステージを分類することです。

 軟部腫瘍は治療の必要がないものも少なくありません。このため、腫瘍の大きさだけではなく、組織学的に悪性か悪性ではないか、腫瘍の浸潤性、転移の有無などを評価することで手術による摘出の必要性を判断することができるのです。
軟部腫瘍の病期分類法としては、Surgical Staging System以外にも「AJCC system」、「UICC system」などが用いられています。これらの分類法は腫瘍の大きさや深度も重要な評価項目となりますが、悪性軟部腫瘍は軟部組織内に迷入して正確に大きさを判断できないことも少なくありません。このため、腫瘍の大きさに関係なく病期分類できるSurgical Staging Systemが用いられることも多いのが現状です。

2.スケールはこう使う!

 Surgical Staging Systemでは、組織学的悪性度、腫瘍局在(腫瘍が同一区画内にあるか否か)、遠隔転移の有無によって軟部腫瘍を5つのステージに分類します。なお、「区画内」とは筋肉にできた軟部腫瘍であれば筋肉内、骨にできた軟部腫瘍であれば骨内に収まっていること、「区画外」とは原発巣とは別の器官に及んでいることを指します。
具体的なステージは、以下の通りです。


ⅠA期:組織学的に低悪性度の腫瘍が区画内にあり、遠隔転移がないもの
ⅠB期:低悪性度の腫瘍が区画外に広がり、遠隔転移がないもの
ⅡA期:高悪性度の腫瘍が区画内にあり、遠隔転移がないもの
ⅡB期:高悪性度の腫瘍が区画外に広がり、遠隔転移がないもの
Ⅲ期:遠隔転移があるもの


 手術の適応はそれぞれの状態によって決まりますが、一般的にはⅠB~ⅡB期の段階で手術に踏み切ることが多く、ステージが進行するほど予後が悪い傾向です。

 このスケールは手術の実施時期にも影響するため、評価を行う際にはCTやMRIなどの画像検査を詳しく読影して慎重に判断する必要があります。また、評価は一度だけでなく、定期的に繰り返して病状の変化を把握することも大切です。

3.スケールを看護に活かす!

 Surgical Staging Systemは手術時期の決定にかかわるステージ分類方法です。手術が決定した場合、同じ部位でもステージに応じて切除する範囲が異なってくるため、患者さんが術後の状態をきちんと受け入れられるようにケアする必要があります。また、軟部腫瘍は進行すると骨折や出血などの合併症を引き起こすことがあります。これらの合併症はステージが進むほどリスクが高くなりますので、患者さんのステージを正しく把握することで個々の患者さんに適した看護を行うことができます。

 また、ステージ上は手術の必要がないとされた患者さんであっても状態の把握をしっかり行い、病状に変化が見られた場合はできるだけ早く医師に報告するようにしましょう。

参考文献

日本整形外科学会:軟部腫瘍診療ガイドライン2012.公益財団法人日本医療機能評価機構Mindsガイドラインライブラリ(2019年12月13日閲覧)https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0035/G0000421/0013/0026

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