1. トップ
  2. 看護記事
  3. 医療・看護技術から探す
  4. 介助
  5. 食事介助の看護|観察項目・注意点・手順

【連載】今さら聞けない! 基礎看護技術をおさらい

食事介助の看護|観察項目・注意点・手順

  • 公開日: 2020/4/23

【関連記事】
図解】誤嚥を防ぐポジショニング
ベッドアップ時に起きた下方へのずれを引き上げる!



看護師が食事介助を行う意義

 私たちが食事を摂る意義は、栄養摂取だけではありません。好きなものを食べられる喜びが得られ、コミュニケーションを円滑にするための場でもあります。おいしい食事を楽しく食べたいという患者さんのニーズを理解し、個々の障害に応じた食事介助をすることが、看護師が食事介助をする意義だといえます。

 自分で食事を摂ることができない状況は、配膳されている食事がわからない、自力で食事を口元まで運べない、姿勢保持が困難、嚥下障害のために誤嚥の危険性があるなど、さまざまな状況が考えられます。患者さんのニーズと障害の程度に合わせて、できるだけ自分で食事を摂れるよう食事介助することも求められます。

食事介助の目的

 さまざまな障害によって自分の力で食事を摂取できない患者さんの障害の程度に応じて、必要な量を誤嚥せずに摂取できるようにします。また、食事を通して得られる楽しみや喜びも得られるようにします。

食事介助が必要な患者さんの例
・視覚障害のため食事内容がわからない
・脳卒中による麻痺があり姿勢の保持ができない
・治療や検査によりベッド上安静を強いられている、体力の低下のため座位が取れない
・脳卒中による嚥下障害、高齢による嚥下機能の低下がある
・脳卒中による麻痺や関節リウマチのため、箸やスプーンを握ることができない

食事介助の手順

1.患者さんの準備

①患者さんに手洗いを促します。
★POINT:手洗いに行けない場合は、おしぼりを配布します。

②誤嚥を防ぐために、頸部を前屈させ、足底をしっかり床につけた状態にして姿勢を保持します。

誤嚥防止の姿勢の図

★POINT1:ベッド上で食事をする場合は、膝を軽く屈曲させ、膝下に枕やクッションを当てることで、安定した姿勢を維持します。

ベッド上で食事をする際の姿勢の図

★POINT2:頭部に枕を当て頸部前屈位を保持し、誤嚥を予防します。

嚥下に関する解剖図

★POINT3:できる限り座位での食事介助が望ましいですが、上体が起こせない患者さんの場合、ファーラー位(半座位)で食事をすることもあります。座位と同様に、頸部が後屈しないように注意します。

③必要に応じて、うがいなどで口腔内を清潔にします。義歯の患者さんには、義歯の装着を促します。

④嚥下機能障害がある場合は、食事前に嚥下訓練(頸部、肩の運動、口唇の周りの運動、舌の運動)をします。

2.配膳

①テーブルの位置を調整します。
★POINT:患者さんが食事内容を見ることができて、食事を口元に運ぶために上肢を動かしやすい高さにします。

②配膳します。
★POINT1:視覚障害のある患者さんでは、トレーを時計の文字盤に見立てて食事を配置します。

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

寝衣交換の目的・手順・観察項目~根拠がわかる看護技術

【関連記事】 ● 寝衣交換の手順・コツ~負担なくできる方法 ● 清拭の目的と看護師が行う意義、手順 ● 【特集】知っておきたい! 基礎看護技術の根拠・手順・コツ 看護師が寝衣交換を行う意義  患者さんに合わせて苦痛を最小限にして着替えを手伝えると

2020/5/3

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
4位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは?基準は?

*この記事は2016年7月4日に更新しました。 SIRS(全身性炎症反応症候群)について解説します。 SIRS(全身性炎症反応症候群)とは? SIRS(全身性炎症反応...

250839
8位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
9位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949