【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

K式スケール、在宅版K式スケール(在宅版褥瘡発生リスクアセスメント・スケール)

解説 丹波光子

杏林大学医学部付属病院 皮膚・排泄ケア認定看護師

1.K式スケール、在宅版K式スケールは何を判断するもの?

 K式スケールは、前段階要因と引き金要因を、Yes、Noの2択式で評価します。

 「金沢大学式褥瘡発生予測尺度」とも呼ばれ、当時金沢大学医学部保健学科教授(現・東京大学大学院医学系研究科教授)の真田弘美先生が開発した、高齢者のための褥瘡のリスクセスメント・スケール(図1)で、主に病院で使われています。

図1 K式スケール
K式スケール
大桑真由美,他:K式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測スケール)の信頼性と妥当性の検討―高齢者を対象にしてー.日本褥瘡学会誌 2001;3(1):7-13.より引用

 褥瘡のリスクアセスメント・スケールとして、日本の臨床現場に最初に導入されたのはブレーデンスケールでした。ブレーデンスケールは6項目で評価します。項目ごとの2点と3点の間の評価の解釈が難しく、看護師の経験年数や評価する人によって点数が分かれてしまうというデメリットがありました。そこで日本人の高齢者に特有な骨突出を取り入れ、信頼性と予測妥当性が高いK式スケールが開発されました。

 日本褥瘡学会の『褥瘡予防・管理ガイドライン』によれば、寝たきり入院高齢患者さんのリスクアセスメント・スケールとして、週1回の評価を行うことが「推奨度C1」とされています。

 在宅版K式スケールは「在宅版褥瘡発生リスクアセスメント・スケール」とも呼ばれ、在宅高齢療養者のために、K式スケールの前段階要因に「介護知識がない」、引き金要因に栄養が追加され、在宅版として活用されている褥瘡予防のアセスメント・スケールです(図2)。

図2 在宅版K式スケール
在宅版K式スケール
村山志津子,他:褥瘡発生に関連する看護力評価スケールの作成と信頼性の検討.日本褥瘡学会誌 2008;6(4):647-650.より引用

2.K式スケール、在宅版K式スケールはこう使う!

 K式スケールは患者さんの身体の状態や、普段からもっている要因である「前段階要因」と、ケアの問題を示す「引き金要因」の2段階で評価します。何らかの理由により、床上生活を余儀なくされている時期から評価の対象となります。

 前段階要因には①自力体位変換不可、②骨突出、③栄養状態が悪い、の3項目があり、それぞれに詳しいアセスメントのポイント、観察方法が書かれています。

 例えば、「自力体位変換不可」かどうかは、「自分で体位変換できない」、「体位変換の意思を伝えられない」「得手体位がある」で評価します。「骨突出」については、仙骨部体圧を測りますが、体圧計がなくて測定できない場合は、「仙骨、尾骨、座骨結節、大転子、腸骨稜」の骨突出があるか、「上肢・下肢の拘縮、円背があるか」を見ます。「栄養状態が悪い」かどうかは、Alb(血清アルブミン)かTP(総蛋白)を測定しますが、測定できない場合は腸骨突出を測り、それもできない場合は「浮腫・貧血、自分で食事を摂取しない、必要カロリーを摂取していない」で評価します。
「YES」の場合は1点で、合計点を「前段階スコア」で表します。スケール開始時点から2週間ごとに採点します。

 スコアが1点以上あれば、次に引き金要因の①体圧、②湿潤、③ずれの、3項目をアセスメントします。「YES」の場合は1点として、引き金スコアを出します。合計点が高いほど、褥瘡発生のリスクが高いといえます。

 在宅版K式スケールも、K式スケールと使い方は基本的に同じですが、注意しなければならないのは「介護知識がない」の項目です。褥瘡予防のポイントである①除圧・減圧、②栄養改善、③皮膚の清潔保持の3点について、全て述べることができなければ、つまり1つでも述べられないことがあれば「知識がない」と判定し、「YES」として1点をして加算します。

 在宅版K式スケールの場合は、前段階要因はあまり変わらないので、こちらの評価は1カ月に1回程度、引き金要因については週1回の評価を行います。

3.K式スケール、在宅版K式スケールを看護に活かす!

 K式スケールは褥瘡発生に関する短期予測に有用であり、引き金要因にチェックが1つでも入れば1週間以内に褥瘡発生の可能性があるとされています3)。K式スケールの引き金要因はケアの、在宅版K式スケールの引き金要因は介護力の評価なので、褥瘡発生リスクを捉えたら、それぞれの項目に書かれた内容を改善し褥瘡予防に努めましょう。

 例えば「体圧」が変化しているのであれば、体位変換ケアが不十分であったことが考えられるので、それを改善します。

 また、「湿潤」の変化は下痢便失禁の有無、膀胱内留置バルーン抜去後の尿失禁の有無、発熱38℃以上などによる発汗(多汗)の有無のいずれかが該当するかをみて、皮膚の浸軟回避と保護に努めます。「ずれ」についてはギャッチアップ座位などの、ADL拡大による摩擦とずれの増加があったかを確認します。

 在宅版K式スケールの「栄養」については、1日3食を提供できているかどうか、または食事のバランスに偏りがあるが、おやつや栄養補助食品などを提供し、補えているかどうかを確認し、介護者の負担が増すことがないよう、栄養改善を行います。

引用・参考文献

1) 大桑真由美,他:K式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測スケール)の信頼性と妥当性の検討―高齢者を対象にしてー.日本褥瘡学会誌 2001;3(1):7-13.
2) 村山志津子,他:褥瘡発生に関連する看護力評価スケールの作成と信頼性の検討.日本褥瘡学会誌 2008;6(4):647-650.
3) 岡田克之:特集高齢者の褥瘡1.褥瘡のリスクアセスメントと予防対策.日本老年医学会雑誌 2013;50(5):583-91.

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