【連載】看護師のための経腸栄養講座

第7回 PTEGと手術的空腸瘻造設術

監修 日本コヴィディエン株式会社

シングルユース医療機器の製造及び販売、並びにこれらに関連する一切の事業

【目次】


▼経腸栄養について まとめて読むならコチラ
経腸栄養(経管栄養)とは|種類・手順・看護のポイント


ポイント

1.PTEGはX線透視下で超音波ガイド下に頚部食道瘻を簡便に作る手技で、造設された頚部食道瘻から留置カテーテルを挿入し、先端を経食道的に胃、十二指腸もしくは空腸に留置する。栄養補給や消化管ドレナージに使用する。
2.PTEGは、胃切除後や腹水貯留などでPEGが困難な症例にも経腸栄養カテーテルが留置が可能である。
3.手術的空腸瘻の作成法にはStamm式、Wizel式、針付きカテーテル法(Needle Catheter Jejunostomy、NCJ)などがある。
4.空腸瘻の管理はPEGの胃瘻の管理と同様、浸出液がなくなれば、入浴、シャワーもOKである。
5.空腸瘻のカテーテルは比較的細い(8Frから12Fr)ので、栄養剤が詰まりやすい。半消化態栄養剤、人工濃厚流動食を使用する場合は、4-6時間ごとにフラッシュの必要がある。

図1
PTEG説明図


はじめに

 経腸栄養を行うためには、消化管アクセスルートが必要となります。このアクセスルートには経鼻、胃瘻(内視鏡的、手術的)、経胃瘻的空腸瘻、PTEG、手術的空腸瘻などがあげられます。シリーズNo.5ではPEG,No.6では経鼻ルートと経胃瘻的空腸瘻を取り上げました。今回はPTEGと手術的に造設する空腸瘻に関してまとめてみます。

PTEG(Percutaneous Transesophageal Gastrotubing:経皮経食道胃管挿入術)

PTEGの概要

 PTEG(ピーテグと呼ぶ)はX線透視下で超音波ガイド下に頚部食道瘻を簡便に作る手技で、日本の消化器外科医である大石英人先生により開発されました1,2)(図1)。造設された頚部食道瘻から留置カテーテルを挿入し、先端を経食道的に胃、十二指腸もしくは空腸にまで誘導します。経鼻カテーテルやPEGと同様に、経腸栄養や消化管の減圧に用いられます。胃切除後や腹水貯留などでPEGが困難な症例にも経腸栄養カテーテルが留置できることが最大の特徴です。

PTEGの適応

 PTEGを開発した大石によると、「胃管留置を必要とするすべての症例に適応がある」としています。しかし、一般的にはPEGが施行可能な患者にはPEGが施行され、胃瘻が造設されます。PTEGは多くの場合、PEGが施行できない症例に行われているのが現状です。


 PEGが困難と考えられる例でPTEGの適応があると考えられるのは、(1)胃壁が腹壁に近接できない状況、(2)胃切除術後、(3)腹水貯留例、(4)高度進行胃がん症例などです3)。胃壁と腹壁の間に肝臓や大腸などの介在物があり、内視鏡で胃を膨らましても、介在物が移動せず、胃の前壁と腹壁が近接できない状況はPEGの適応はありません。また、胃手術やその他の上腹部手術の既往例はPEGが困難なことも多く、栄養補給目的のPTEGに関して最も頻度の高い適応となっています。

 ドレナージ目的のPTEGは、手術不能ながん性腹膜炎によるイレウスや癌性狭窄による通過障害などがよい適応です。PTEGの禁忌にはPEGの禁忌と共通の、(1)出血傾向、(2)易感染状態などで、PTEG特有の禁忌は、(1)頸動脈・静脈が解剖学的に穿刺時に避けることができない場合、(2)甲状腺腫大やリンパ節転移など、頸部食道やその周辺に病変を有する場合、(3)頸部放射線治療後や気管切開症例、(4)食道静脈瘤症例、などです。

造設法

 経鼻的に非破裂型穿刺用バルーンを食道内に挿入し、透視下にて頚部食道でバルーンを拡張させます。頸動脈・静脈を回避して、超音波下にバルーンを穿刺して、頚部食道にアクセスし、穿刺孔を拡張してカテーテルを挿入、留置します2)(図1)。

管理

 造設後は直後から栄養補給は可能です。胃切除後の患者の場合は、空腸に栄養剤がすぐに流入するので、PEGのような間欠的大量栄養剤注入では下痢を起こします。原則的には注入ポンプを用いて、少量持続投与とし、慣れてくれば、ゆっくり回数を分けて投与が可能となります(図2a,b)。

 合併症としては、瘻孔感染とカテーテル閉塞が最も多いといわれます。PTEGでは留置カテーテルが細く長いため、カテーテルの内腔が汚染され、閉塞しやくなります。栄養剤投与後は十分なカテーテルフラッシュを励行することと、10%酢水でカテーテル内を満たしてカテーテル汚染を防ぐことが勧められます。

 カテーテル交換は瘻孔が完成する造設後2週間以後が望ましい。交換時期に関して決まりはないが1-6か月ごとに交換が行われています。

図2a
胃全摘術後症例のPTEG施行後の経腸栄養療法

図2b
胃切除術後症例のPTEG、実際の写真

 PTEGカテーテルにはチューブ型とボタン型があり、事故抜去の危険が高い場合や、首からカテーテルが出ている外見が気になる場合はボタン型に変更することができます(図3)。

図3
PTEGチューブとボタン実際の写真

手術的空腸瘻造設術

手術的空腸瘻用のカテーテル

 空腸瘻に使用されるカテーテルは、胃瘻カテーテルと異なり、小腸の口径を考慮し、小腸に負担にならず、かつ詰まりが生じないようになるべくカテーテル口径を大きくという配慮が必要です。実際には8Frから12Frが使用されています。

 空腸瘻カテーテルは主として空腸上部に留置され、長期間に及ぶ場合が多いため、腸管壁に傷害を与えないよう硬すぎず、消化液や温度変化に対しても変性せず、耐久性のあるものが望まれます。素材としては、ポリウレタン製、シリコン製、塩化ビニル製があります4)

 カテーテル先端は複数の側孔があるものが多く見られますが、先端部分の汚染物質の詰まりやカテーテルフラッシュを有効にする目的で、先端孔が望ましいと考えられます5)

手術的空腸瘻造設の方法

 空腸瘻は主として手術的につくられます。最近、従来の手術によらず、内視鏡的に腸瘻を造設するDirect PEJが開発され、臨床応用がはじまりつつあります。

 消化器外科領域では手術時に手術後の栄養管理目的に空腸瘻が造設されます(図4)。とくに上部消化管手術や膵臓の手術時に行われるケースが多いです。

 空腸瘻造設法には、(1)腸管をカテーテルが貫く部位が直接腹壁に開口した直接瘻(Stamm式)(図5)、(2)腸管をカテーテルが貫く部位と腹壁を貫く部位との間に一定の長さの瘻管を有する間接瘻(Wizel式)(図6)、(3)キットを使う針付きカテーテル法(Needle Catheter Jejunostomy、NCJ)などの方法があります7)(図7,8)。カテーテルの留置に関しては、手術時には食物の通過しない空腸から挿入し、カテーテル先端部を食物が通過する空腸に置くことが望ましいと考えられます。

図4
腸瘻留置法

図5
Stamm式空腸瘻造設法

図6
Wizel式空腸瘻造設法

図7
針付きカテーテル法

図8
NCJキットと実際の症例

瘻孔の管理

 空腸瘻からの経腸栄養剤の注入は、原則的に注入ポンプを用いて、少量持続から開始します。その後徐々に速度を上げていきます。胃瘻のように、いっぺんに栄養剤を注入すると浸透圧性下痢の原因になります。そのため、注入量を制限する意味でも、ポンプの使用が推奨されます6)

 術後、瘻孔部からの浸出液がある間は、毎日消毒、ガーゼ交換をおこないます。浸出液がなくなり、瘻孔部の発赤もなくなれば、シャワー、入浴は可能となります(術後1~2週間後)7)。シャワー、入浴時には、カバーしているドレッシングをはずし、石鹸を用いて瘻孔部周囲を洗浄するよう心掛けます。浸出液がなければ、ドレッシングの必要もありません。

 瘻孔部の浸出がある時は、消毒、ドレッシングをおこないます。肉芽形成がある時には、リンデロンVG軟膏などが有用です。ときに、瘻孔部の痛みを訴えることがありますが、カテーテルの体位によるズレ等で誘発される為、疼痛時は固定をしっかり行います。多くの場合は、経過観察で軽快します。

経腸栄養カテーテルの管理

 腸瘻カテーテルは8Fr-12Frと細く、詰まりやすい。カテーテルの詰まりを防止するため、定期的なカテーテルのフラッシュが必要です7)。注射器を用い20-30ml水道水でフラッシュします。半消化態栄養剤、濃厚流動食は1日4-6回、成分栄養剤、消化態栄養剤の場合は1日1-2回を原則とします8)。カテーテル閉塞をさける目的で、内服薬の注入はできるだけ避けます。

 閉塞をきたした場合は、ガイドワイヤーで開通を計る、小さなシリンジで圧をかけてフラッシュする、などを試みます。開通しない場合にはカテーテル交換が必要になります。

 不用意に自己抜去、自然抜去された場合は、すぐにカテーテルの再挿入を行う必要があります。レントゲン透視下で、チューブ先端が腸管内にあることを確かめる必要があります。細い腸瘻はすぐに塞がってしまうため、抜去時は緊急を要するのです7)

文献

1)大石英人:経皮経食道胃管挿入術、丸山道生編、経腸栄養バイブル、p128-133, 日本医事新報社、東京、2007
2)大石英人:PTEGの造設手技、定型的造設法、大石英人編集、経皮経食道胃管挿入術、p45-p68、永井書店、大阪、2008
3)丸山道生:ガイドラインから見たPEG禁忌症例に対するPTEGの適応、大石英人編集、経皮経食道胃管挿入術、p31-p37、永井書店、大阪、2008
4)日本静脈経腸栄養学会:コメディカルのための静脈経腸栄養手技マニュアル、1版、南江堂、2003; p159-172
5)丸山道生ら:手術的空腸瘻造設用カテーテルキットの開発と臨床応用、手術59: 1331-1334, 2005
6)丸山道生:腸瘻からの経腸栄養。臨床栄養 102: 273-280, 2003
7)丸山道生:空腸瘻、丸山道生編、経腸栄養バイブル、p134-137, 日本医事新報社、東京、2007
8)丸山道生;経腸栄養療法の管理、東海林徹ら編、Q&Aで学ぶ栄養療法と薬学管理(薬局臨時増刊号)、p109-p119、南山堂、東京、2008

ページトップへ