【連載】看護師のための輸液講座

第2回 closed systemについて

監修 日本コヴィディエン株式会社

シングルユース医療機器の製造及び販売、並びにこれらに関連する一切の事業

執筆 井上善文

医療法人川崎病院 外科 統括部長

第1回の『カテーテルの分類』はいかがでしたか?

知識としては必要ではあっても、カテーテルを選択するのはドクターですから、あまり興味のわかない内容であったかとも思います。 しかし、今回の内容は、ナースとして絶対に知っておきたい内容ですし、実際にその理解が現場で生かされる内容だと思います。 
さて、輸液管理においては、適切にカテーテルを選択し、適切にカテーテルを留置することができたら、適切な輸液ラインの管理をしなければなりません。
実は、カテーテル管理と表現される内容の大部分は、輸液ラインの管理です。 そもそも、カテーテル管理という表現がおかしいのかもしれません。 カテーテルさえ無菌的に挿入できたら、『あとは大丈夫』、みたいな感じになってしまいますので。 カテーテル感染を起こさずに輸液管理を行うためには、とにかく重要なのは、輸液ラインの無菌的管理です。 もちろん、カテーテルを無菌的に挿入することは、その前提条件ということです。
今回は、closed systemについて、解説させていただきます。

輸液ラインの接続方式

基本的な輸液ラインの接続方式は2種類です。 ルアーロック型(Luer-Lock)とフリクション型(Friction)です。
簡単に説明すると、フリクション型は差し込むだけで、オスとメスの間の摩擦で抜けないようになっているものです。 ルアーロック型は、ネジをひねって固定するようになっているものです。
安全面から言うと、すべての接続部はルアーロック型にするべきです。 フリクション型では知らない間に接続が外れていた、という問題が起こる可能性があります。 これまで報告された、カテーテルの接続部がはずれて大量出血となった、という医療事故では、すべて、フリクション型接続ラインが使われていました。

輸液ラインの接続方式

従いまして、中心静脈カテーテルの輸液ラインにはフリクション型は使うべきではありません

輸液ラインの接続方式と感染率

それでは、ルアーロック型を使っておけば問題ないのでしょうか。

そこで問題となってくるのが感染です。
ルアーロック型の場合は、輸液ラインを交換する場合、接続部が大気に曝されます。

ルアーロック型の場合

特にカテーテルと輸液ラインの接続を交換する場合、カテーテルの接続部(ハブ)が解放され、新しい輸液ラインを接続する時、空気を入れないように輸液を滴下しながら行います。
そうすると輸液がハブの外にあふれることになり、その部分に細菌や真菌が付着することになります。 
しかし、一般的に、カテーテル感染の原因として最も注目されているのが、三方活栓を使った側注です。

三方活栓を使った側注

三方活栓を使うから感染する、三方活栓さえなくせば感染率は大幅に低下する、しかし、多種類の輸液や薬剤を投与するには三方活栓はどうしても必要である、感染しても仕方ない・・・と考えられています。
そこで登場したのが、closed systemです。

closed systemとは?

実は、closed systemとneedleless systemは混同されて使われています。 closed system とneedleless systemのどちらが先に出てきたのかは知りません。 Needleless systemは、とにかく、針刺し事故を予防する目的で開発されたものです。
おそらく、側注用Y字管を使って薬剤を投与する時に用いる注射針をなくすという目的で、インターリンクがneedleless systemとして開発されたのでしょう。
これが日本にも導入され、その後、シュアプラグ、プラネクタ、セイフアクセスなど、さまざまなneedleless system が輸入、あるいは日本で開発されました。

closed systemとneedleless systemの実物写真

そうして、このneedleless system自体、実は、感染予防という面から考えると、接続部の片方を閉鎖しているのだからclosed systemだ、ということになったものと理解しています。
ということで、針刺し事故防止対策としてneedleless systemが開発され、それは、感染予防の面からはclosed systemでもある、というように考えられるようになった、ということです。

closed systemの利点は?

多少の誤解があることは後で説明しますが、一般的には、closed system を用いると、接続部のメス側が閉鎖されているので感染しにくい、ということが言えます。
さまざまな構造のものが使用可能となっていますが、とにかく、メス側の接続部には触れないという意味では有用である、と考えられます。 さらに、こういう風にclosed systemを導入して感染予防対策を講じようとする姿勢が出てきたとすれば、それは、積極的な感染予防対策の第一歩ですので、大きな意義があると思います。
しかし、これらの器具の利点や欠点を理解して使わないと大きな落とし穴があります。これがきわめて重要な点です。

closed systemの問題点

ポイントは、closed systemと言うからには、接続部のオス側もメス側もclosedでなければならない、ということです。
現在の製品は、メス側は closedにすることができるが、オス側はclosedではない、ということです。 単純に考えると、オス側は汚染する可能性がある、ということです。
また、メス側も、実は、きちんと消毒操作をしなければ細菌や真菌が付着し、それが体内に押し込まれる危険性があります。  また、このclosed systemは、本邦では、カテーテルと輸液ラインの接続部ではなく、三方活栓の部分に用いられていることが多いのです。
安心して、感染させることなく、側注を行いたい、という考えでclosed systemが使われています。 ということは、側注の回数が増えている、ということになります。 後で説明しますが、このclosed system が適切に使用されなければ、感染の可能性はありますし、側注の回数が増えることによって、逆に感染の危険性を高めることになる、ということを考える必要があります。

closed systemの問題点

closed systemのもう一つの問題点

輸液ラインは、一体型を使うべきであるということが言われています。 その理由は、接続部から細菌が侵入するからです。 ですから接続部がない輸液ラインを使えばいい、ということになります。
一番良いのは、一体型輸液ラインで、片方を輸液に接続し、もう一方をカテーテルに接続するだけ、というものです。 現在、日本では8種類以上のさまざまなclosed systemを用いることができます。

8種類以上のさまざまなclosed system

それぞれに特徴ある構造となっています。
『もう一つの問題点』としてまず挙げたいのは、closed systemという部品を輸液ラインに組み込むために接続部が増える、ということになれば、汚染の機会は増えることになります。
できたら、closed system自体が、あらかじめ輸液ラインに組み込まれているものを使う必要があります。
輸液ラインの先端にclosed systemの部品を接続する必要がある、という場合、その部品を接続することは、これまでの、closed systemを使用しない場合と同じ状況になる、ということをご理解ください。 器具によっては、接続するためのさまざまな部品が必要なものがあります。
これは、接続部を増やすことになる、という意味でclosed systemの利点が損なわれている可能性があります。

closed systemでもオス側、あるいはメス側が汚染していたら感染するのでは?

確かにそうなのです。
複雑な構造の接続部であれば、メス側あるいはオス側が汚染する可能性がありますし、それが汚染していれば、感染する可能性おおいにあります。
また、アメリカでは、複雑な構造になっている、いわゆるmechanical valveという方式のclosed systemでは、きちんと消毒しなければ細菌の侵入を防げない、ということが問題となっており、データとしても報告されています。いくらclosed systemというものを使っても、メス側は厳重に消毒する必要がある、ということです。

closed systemの正しい使い方

closed systemを三方活栓の部分に用いて、安易に側注が行えるという考え方で管理すれば、逆に感染率が高まるということはご理解いただけたと思います。
私は、カテーテルの接続部(ハブ)にゴム栓(I-plug)で蓋をしてclosedな状態としておき、輸液ラインは、その先端に針をつけて(I-set)ゴムを穿刺して接続するというI-systemを開発しました。
この製品は、とにかくカテーテルの接続部に蓋をしてしまおう、接続は、ゴム栓への針の穿刺、という方法で行おう、というコンセプトで生まれました。
オス側をclosed にしてしまっては輸液を接続することができない、オス側で最も細い形態は何か、それを考えた時、針で接続すればいい、という考えになった、ということです。

closed systemの正しい使い方

Closed systemを使っている施設が多くなっていますが、大部分の方の考え方と私の考え方には差があります。 私は、カテーテルと輸液ラインの接続こそclosed systemでなければならない、と思っています。 カテーテルはある程度長期間留置されるものです。
ということは、そのカテーテルの内腔を無菌的に保つ必要がある、ということです。
多くの方は、カテーテルの内腔には、それほど注目していない、と思います。 それはなぜか、というと、いくらclosed systemを使っていても、接続部のメス側、すなわちカテーテルのハブとの接続を週1縲怩Q回、交換しているからです。
メス側を交換すれば、そのたびにカテーテルの内腔は大気に曝されます。 メス側を交換するということは、ルアーロックの輸液ラインを週1縲怩Q回交換することと同じ状況になっているということですので、汚染の機会は決して減っているのではありません。
ここの理解が重要です。 I- system を使用している私の施設では、I-plugはCVC留置期間中交換しません(3ヶ月以上の留置の場合は交換します)。
だからCVCの内腔を大気に曝すことはありません。
CVCの内腔はclosedの状態を保つことができます。ここが一番重要なポイントです。

結論

Closed systemを導入することは、カテーテル感染症予防対策として、有用であると思います。 これを導入するだけでカテーテル管理に対する認識が高まることが予想されます。 側注に関しても、三方活栓を用いるよりも無菌的管理という点では有効です。 しかし、側注は安易に行うべきではない、という認識を保つ必要があります。 側注ラインや側注用に用いるシリンジ自体の無菌性はclosed systemを用いても変わらないからです。 安易に側注を行うことにより、輸液ラインの汚染率は逆に高くなる危険性があるということは考えておくべきです。

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