【連載】看護師のための経腸栄養講座

第8回 経腸栄養に必要な器具とその管理 ~ボトル、チューブ、注入ポンプなど~

監修 日本コヴィディエン株式会社

シングルユース医療機器の製造及び販売、並びにこれらに関連する一切の事業

【目次】


▼経腸栄養について まとめて読むならコチラ
経腸栄養(経管栄養)とは|種類・手順・看護のポイント


1、経腸栄養療法を行うために必要な器具

 経腸栄養を行うために必要となる器具は、

(1)栄養剤を体内に送り込むアクセスルートとしての経腸栄養カテーテル(経鼻栄養カテーテルやPEGの胃瘻カテーテルなど)
(2)経腸栄養剤を入れる容器、コンテナ(ボトル、バッグ、イルリガートルなど)
(3)カテーテルと栄養剤をいれたコンテナをつなぐ接続チューブ
(4)経腸栄養用の注入ポンプ
(5)経腸栄養用のシリンジ

などがあります(図1)。

 経腸栄養カテーテルに関してはそれぞれの項目を参照していただきます。

経腸栄養を行うために必要となる器具

2、経腸栄養器具の接続部(コネクター)

 経腸栄養用のカテーテルや接続チューブ、シリンジなどの接続部は、静脈ラインとの誤接続防止のために、カテーテルチップ型となっています(図2,4)1)

経腸栄養器具の接続部(コネクター)

 また、接続部に黄色などのカラーリングを施し、輸液ラインとの識別を可能にしています。もし、従来型の接続部のものが経腸栄養に使用されているようなら、輸液ラインと接続が可能ですから、事故防止のために、誤接続防止用のカテーテルチップ型に変更する必要があります。

 経腸栄養ルートのコネクターはシングルタイプとダブルタイプのものがあります。ダブルタイプの接続部はYポートコネクターとも呼ばれ、主なルートを外すことなく水によるフラッシュや薬剤投与を行うことが可能です(図3)2)

テーテルチップタイプの誤接続防止用コネクターの紹介

3、 コンテナ(ボトル、バッグ、イルリガートルなど)

 栄養剤を入れる容器のコンテナには、ボトルやイルリガートルなどの硬質のコンテナと、バッグなどの柔軟性のコンテナがあります(図4)。

 硬質コンテナはプラスチック製のものが多く、重くて割れやすいガラス製のものはほとんど使われなくなっています。柔軟性コンテナはビニル製のバッグ型のものです。落下する雑菌の混入を防ぐために、いずれにも蓋が付いています。接続チューブとの接続に関しては、コンテナの下の突起と接続チューブのゴム管をつなげる場合や、専用のスクリューキャップ付きの接続チューブをつなぐ場合があります2)

 コンテナは原則的にはディスポーザブルとされていますが、実際は洗浄、消毒を繰り返して使用される場合がほとんどです。正しい洗浄法に従い、経腸栄養の細菌性の合併症を起こさないことに心がける必要があります。

コンテナの種類

 最近は、滅菌された経腸栄養のバック製剤で、そのまま専用のラインに接続して投与できるRTH(ready-to-hang)製剤も普及してきています(図5)。これであれば、細菌汚染を最小限にすることができ、1バックを24時間で投与しても細菌性の合併症の危険が少くなります。この方法をクローズドシステムと呼ばれることもあります。

RTHの経腸栄養剤

4、 コンテナ・ルートの洗浄法

 経腸栄養剤の細菌汚染を予防する為には、経腸栄養のコンテナと接続チューブの器具の洗浄、管理が重要となります。水洗いだけのボトルを用いていた場合に、ボトル内の経腸栄養剤の細菌数を測定したところ、ある例では経腸栄養剤を入れ替えた時点で、すでに104個/mlの細菌が認められ、6時間後には106個/ml以上に達していました。

 細菌の増殖を基準としたボトルの洗浄法に関して、大久保病院ナースであった朝倉の実験報告では、水洗浄、熱湯洗浄、中性洗剤による洗浄、それぞれ単独では不十分で、中性洗剤で洗浄の後、次亜塩素酸ナトリウム(ミルトン)にボトルを漬け、その後自然乾燥させる、もしくは、中性洗剤で洗浄の後、熱湯に通す方法が推奨されると結論づけています(表1)3)

経腸栄養のコンテナの洗浄法の検討

 注入ポンプを用いるなどして行う持続の経腸栄養の場合は、長時間栄養剤がコンテナ内にあり、細菌増殖がおこりやすいため、とくに洗浄法には注意を払う必要があります。コンテナとルートの洗浄法は下記の手順に従います4)

1)中性洗剤を用いて、水道水で付着した汚れを落とす
2)0.01%次亜塩素酸ナトリウム(ミルトン、ピューラックスなど)を入れた大きな容器に、コンテナ、ルート内部を満たして、全体も約1時間浸す。
3)コンテナ、ルートを引き上げて、次亜塩素酸ナトリウム溶液を落とし、水道水で洗い流す。
4)自然乾燥させる。

5、 経腸栄養用注入ポンプ

 経腸栄養剤の注入は、重力式の自然滴下法でも可能ですが、より正確な注入量が要求される場合には注入ポンプを用います。注入ポンプを使用することで、経腸栄養の合併症である下痢や嘔吐、誤嚥、および誤嚥性肺炎発症の頻度を低下させることができると考えられます。

 経腸栄養用の注入ポンプは、本邦では数種類市販されています。それぞれの特徴をまとめた表を示しておきます(表2)。最近、定期的に水でチューブを自動的にフラッシュする機能がついたポンプも発売されました。

経腸栄養用注入ポンプ

経腸栄養用注入ポンプ②

 とくに腸瘻や幽門後の経腸栄養の場合には、注入ポンプを使用します。空腸への経腸栄養は少量持続が原則で、重力式ではいっぺんに大量の栄養剤が入って下痢を起こす可能性があるからです1)

 また誤嚥の危険性のある患者には、ボーラス投与ではなく栄養剤を少量持続で投与することが望ましく、注入ポンプの適応になります。水分量の制限や、術後などの厳重な投与量の管理が必要な場合も、注入ポンプを用います。注入ポンプを使うと、体動や体位による注入速度の変化をきたしにくいため、注入量が多い場合や夜間就眠時に注入する場合、あるいは重力式では注入が困難なジャケットやショルダバックを使用する在宅経腸栄養などの場合にも、注入ポンプが使用されます。

 注入ポンプの適応をまとめると、(1)下痢の回避(消化管機能低下時や腸瘻からの経腸栄養時)、(2)嘔吐の回避(消化管運動低下など)、(3)持続投与が必要な場合(腸瘻など)、(4)手術侵襲の大きい術後の経腸栄養、(5)腸瘻からの在宅経腸栄養、(6)意識障害や嚥下反射の低下がある場合、などが挙げられます5)

文献

1)丸山道生:腸瘻からの経腸栄養、医歯薬出版編、目でみる臨床栄養学update、p284-289、医歯薬出版、東京、2007年
2)鷲沢尚宏:投与システム:チューブ、ボトル、ポンプなど、丸山道生編、経腸栄養バイブル、p145-150、日本医事新報社、東京、2007年
3)丸山道生:腸管アクセスおよび経腸栄養剤の汚染、医歯薬出版編、目でみる臨床栄養学update、p300-307、医歯薬出版、東京、2007年
4)丸山道生:経腸栄養療法の管理、東海林徹編、Q&Aで学ぶ栄養療法と薬学管理、p99-109、南山堂、東京、2008年
5)大谷幸子:経腸栄養ポンプの使い方、東口高志編、NST完全ガイド改訂版、p108-109、照林社、2009年

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