【連載】褥瘡ケア 創の見方と適切なドレッシング材

【写真解説】ドレッシング材の交換と洗浄の手順

解説 加瀬昌子

総合病院国保旭中央病院 スキンケア指導室 看護師長 皮膚・排泄ケア認定看護師

ドレッシング材を交換するときに、必ず創の洗浄と観察を行います。
ここでは、ドレッシング材と二次ドレッシング材の貼付を行う場合を紹介します。

【目次】


▼褥瘡ケアについてまとめて読むならコチラ
褥瘡とは?褥瘡の看護ケア|原因と分類、評価・予防・治療など


ドレッシング材(外側)の観察と剥がし方

 1.仙骨部褥瘡のドレッシング材交換と洗浄を行うときは、患者さんに側臥位になってもらい、お尻の下に吸水パッドなどを敷きます
 2.ドレッシング材を剥がす前に、ドレッシング材のずれやよれ、滲出液の漏れなどがないか観察して、ドレッシング材の貼り方や選択に生かします
 3.二次ドレッシング材の端の一部を少しめくってきっかけをつくり、そこから皮膚と平行に、創から外に向かって引っ張りながら、少しずつ剥がしていきます。新生した組織を剥がしたり、表面の組織を傷つけないためにも、皮膚と垂直に上方向に剥がしてはいけません

ドレッシング材(外側)の観察と剥がし方

ケアのコツ

剥がれにくい場合は、少しめくった部分からリムーバーや洗浄剤を含ませて、剥がしていきます。

ドレッシング材(内側)の観察

 1.剥がしたドレッシング材に付着した滲出液の性状や量、出血の有無などを観察し、薬剤やドレッシング材の選択に生かします
 2.周囲の皮膚にかぶれなどの皮膚障害や、便などによる汚染がないかも併せて観察します。皮膚障害がみられた場合は、医師に報告します。また、便による汚染がある場合は、排泄物が創を汚染しないように工夫します

ドレッシング材(内側)の観察

MEMO 医療機器や処置による褥瘡

 人工呼吸器のマスクや気管内挿管チューブ、弾性ストッキングなどによって褥瘡が発生することがあります。弾性ストッキングは適正な圧を保てるように作られますが、糖尿病や閉塞性動脈硬化症、末梢循環障害などがあると、持続的な圧迫によって生じた小さな病変が、気付かないまま重症化することがあります。清拭のときに、褥瘡がかなり重症化してから発見されるケースもあります。

 また、手術中の頭部固定のために発生した褥瘡の発見が、髪の毛にかくれていて遅くなることもありますので、十分な注意が必要です。

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創周囲の洗浄

 1.皮膚を洗浄器の微温湯(水道水でよい)で少し濡らし、洗浄剤(リモイス(R)クレンズなど)を1プッシュ程度手にとります
創周囲の洗浄

 2.創周囲の皮膚の二次ドレッシング材を貼る範囲全体に、洗浄剤を摩擦しないように優しく塗り広げます
創周囲の洗浄②

 3.次に洗浄器の微温湯で洗浄剤を流し、ガーゼで軽く水分を拭き取ります
創周囲の洗浄③

ケアのコツ

 リモイス(R)クレンズは、泡立てずに塗って流すだけで洗浄できるので簡便です。保湿成分を含んでいるので皮膚に優しく、水をたくさん使わずにすむ利点があります。また、洗い流さず、拭き取りだけでも汚れを除去することができます。

ポケットの深さの計測

 1.ポケットメジャーを、ポケットの中を傷つけないように優しく入れながら、直接皮膚にマジックで深さをマークしていきます。水でマークが消えないように、油性マジックを使用します
ポケットの深さの計測

ポケットの深さの計測②

ポケット・創の洗浄の準備

 1.ポケット、創を洗浄するためグローブを交換し、洗浄器の先端をポケット洗浄用のチューブに替えます。ポケットの洗浄には、ほかにシリンジ等を使います

ポケット・創の洗浄の準備

ポケット・創の洗浄の準備②

ケアのコツ

 褥瘡ケア時は感染面への配慮が必要です。そこで、創周囲の洗浄、またポケットの洗浄が終了したら、グローブを交換します。

ポケット・創の洗浄

 1.チューブの先を保持しながら、創とポケットの中に微温湯を流します。ポケットの中を傷つけないように、チューブの先端は深く入れすぎないようにします

ポケット・創の洗浄

ポケット・創の洗浄②

 2.続いて、創表面も洗浄します。次に、清潔なガーゼで軽く押さえるようにして創の水分を拭き取ります

ポケット・創の洗浄③

ポケット・創の洗浄④

 3.ポケットの中の水分は、ガーゼでふちを優しく押さえて吸い取るようにして拭き取ります

ポケット・創の洗浄⑤

体圧測定をルーチン化

 患者さんが自力で体位変換ができない場合、体圧分散を優先させた高機能マットレスを使用して、体圧管理を行います。

 高機能エアマットレスを使用している患者さん全例に、毎日の清拭時に体圧測定を行うとルーチンワークになって定着します。体圧測定器で測定するときには、その患者さんがとりやすい体位、また、褥瘡の危険因子である骨突出の有無、拘縮の有無などを考慮し、数値を記録します。

 手で患者さんの体がエアマットレスの底まで沈みこんでいないか、底つきを確認する方法もありますが、体圧を測定して数値を記録に残せば、マットレスの圧調整などのケアにつなげるための客観的な情報として共有できます。また褥瘡が発生した場合には、発生時やその前の体圧はどうだったのか、振り返ることも可能になります。

創の大きさの測定と撮影

 1.メジャーを使い褥瘡のサイズを測り、メジャーを横に置いて写真を撮り、記録します

創の大きさの測定と撮影

創の大きさの測定と撮影②

 2.撮影の際は、アセスメントの材料として比較できるように、毎回体位や創の位置、カメラとの距離を同じにします

創の大きさの測定と撮影③

 3.カメラによる撮影が終わったら、薬剤を塗布し、新しいドレッシング材を貼ります。その前に、清潔操作のためにグローブを交換します

創の大きさの測定と撮影④

褥瘡治療の評価

 ドレッシング材を交換するときにDESIGN-Rによって創の評価を行い、写真を撮っておきます。数値や画像は病棟で電子カルテに入力しましょう。また、医師と皮膚・排泄ケア認定看護師、リンクナース、管理栄養士による褥瘡回診の際にも評価し、回診記録にデータを入力します。

 日々のケアの中で創を評価するのは病棟看護師です。病棟看護師の場合、必ずしも全員が褥瘡に関して専門的な知識をもっているわけではありませんが、DESIGN-Rを使うことやリンクナースのフォローによって、日頃の評価は十分に可能です。そのためにも、勉強会で褥瘡ケアに関する知識と経験を積んだり、病棟看護師もリンクナースもスキルを上げることが望まれます。

薬剤とドレッシング材の選択

 1.黄色壊死組織と滲出液があるので、薬剤としてはポビドンヨードを含み殺菌と創傷治癒作用をもつユーパスタコーワ軟膏を選択しました。黒色壊死組織がある場合はゲーベン(R)クリームが適しています

 2.ドレッシング材は、滲出液を吸収する力があり、かつ非固着性の創傷用吸収パッド、デルマエイドを使います

薬剤とドレッシング材の選択

ドレッシング材選択の重要性

 ドレッシング材は、滲出液が染みてくる状況を見て交換します。交換が頻繁になると患者さんの全身と局所の負担が大きくなるので、適切なドレッシング材を選択することが大切です。

 例えばII度の褥瘡には、ガイドラインに従って薄型のハイドロサイト◇やハイドロコロイドのデュオアクティブ(R)ETなども使います。ガーゼだと、吸った滲出液が保持されず創やまわりの皮膚が浸軟したり、創に貼り付いて交換時に新生した組織を剥がして出血したりしてしまうので不適です。また、高吸収のドレッシング材は、滲出液を吸いすぎて創を乾燥させ、治癒を遅らせることがあるので注意が必要です。

 皮膚が弱い人には、シリコン製テープのドレッシング材を使うこともあります。

薬剤の塗布

 1.ユーパスタコーワ軟膏を舌圧子にとり、創の中に塗り広げます

 2.創の面積の8割程度に塗り広げれば、薬剤が体温で溶けてポケットの中まで入っていくので、ポケットの中まで薬剤を押し込む必要はありません

薬剤の塗布

薬剤の塗布②

ドレッシング材の貼付

 1.ドレッシング材は創全体を覆うため、創より3cm程度大きいものを選びましょう

ドレッシング材の貼付

 2.ドレッシング材は、最初に殿裂の部分に隙間ができないように指でしっかり押さえてから、全体を貼ります

ドレッシング材の貼付②

 3.さらにデルマエイドは非固着性のため、その上からポリウレタンフィルムの[優肌]パーミロール(R)を適当な大きさに切り、貼ります

 4.二次ドレッジング材も、殿裂の部分に隙間ができないように指でしっかり押さえてから、全体を貼ります

ドレッシング材の貼付③

ケアのコツ

 ポリウレタンフィルムの[優肌]パーミロール(R)は、角を丸く落としておきます。そうすることにより、剥がれにくくなります。

ドレッシング材の貼付④

MEMO 褥瘡ケアにおける排泄物の管理

 褥瘡を悪化させる要因の一つに排泄物があります。(1)ドレッシング材の隙間から排泄物の侵入を防ぐこと、(2)ドレッシング材のずれから褥瘡部分が直接排泄物に触れないようにすること、(3)排泄物でドレッシング材が汚染されないことでその影響を最小限にすることができます。工夫次第で改善できることがあるので、参考にしてみてください。

(1)排泄物の侵入を防ぐ:仙骨部の骨突出などによりドレッシング材と皮膚の間に隙間ができやすい場合は、殿裂の部分に綿球をつけ、その上から二次ドレッシング材を貼っておくと、便の侵入を防ぐことができます

褥瘡ケアにおける排泄物の管理

(2)ドレッシング材のずれを防ぐ:体がずれてドレッシング材が剥がれてしまいやすいときは、ドレッシング材の上と周囲の皮膚にストーマ用皮膚保護材のバリケア(R)パウダーをかけておきます。摩擦抵抗が減り体を動かしてもよく滑るので、ドレッシング材の端が剥がれにくい上、皮膚を保護する効果もあるので便利です

褥瘡ケアにおける排泄物の管理②

(3)ドレッシング材の汚染を防ぐ:失禁があり排泄物で汚染されることが懸念される場合は、撥水性クリームのリモイス(R)バリアなどをドレッシング材の上や肛門周囲に塗っておくとよいでしょう

褥瘡ケアにおける排泄物の管理③

(ナース専科「マガジン」2010年6月号より転載)

※次回はドレッシング材の剥がし方と在宅ケアにおける注意点について解説します

イラスト/東 いずみ

褥瘡のまとめ記事
* 褥瘡とは?褥瘡の看護ケア|原因と分類、評価・予防・治療など

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