【連載】なぜ? どうして? 22問でわかる 最新 感染対策

【中心静脈カテーテル】消毒方法とドレッシング材の使い方・交換手順

監修 藤田昌久

日本医科大学付属病院 医療安全管理部 感染制御室 看護師長 感染管理認定看護師

執筆 藤田昌久

日本医科大学付属病院 医療安全管理部 感染制御室 看護師長 感染管理認定看護師

中心静脈ルートにおける感染は、致死的な敗血症の原因となる場合もあり、ドレッシング材などの管理は大切です。ドレッシング材の交換とその手順について、正しい知識を学んでいきましょう。


Q 留置部位のドレッシング材交換は、定期的に行うべきですか?

※A NO

よく観察し、必要に応じて交換を

実施担当者、実施日、実施時刻を記録

定期的に交換する必要はなく、カテーテル留置部位のドレッシング材が湿った場合や緩んだ場合、目に見えて汚れた場合に交換します。

しかし、前記のような状態になっていなくても、成人においては個々の患者さんの状況に応じて、最低週に1回の頻度でドレッシング材を交換することがGuidelines for the Prevention of IntravascularCatheter-Related Infectionsの中では示されています。

定期交換を業務の一環としてとらえるとカテーテル管理が形骸化してしまい、観察がおろそかになる可能性があります。カテーテル留置部位を日々よく観察をし、交換時期を見極めることが大切です。

また、カテーテルの挿入と抜去ならびにドレッシング材の交換は、実施担当者、実施日、実施時刻を記録するなど、標準化した手順のもとで管理することがガイドラインにおいても推奨されています。

中心静脈カテーテルのドレッシング材の交換の手順

(1)手指衛生を行い、手袋を着用します

(2)ドレッシング材を剥がします

皮膚を損傷すると、そこに細菌が付着し感染源となることもあるので、皮膚の確認をしながら静かに剥がします

(3)カテーテル挿入部と剥がしたドレッシング材を確認します

挿入部に発赤、腫瘍出血、浸出液、排膿等がないか、またドレッシング材に付着している場合もあるのでドレッシング材も確認します

(4)カテーテル挿入部を消毒します

(5)カテーテル挿入部の周囲も消毒します

ドレッシング材貼付範囲を目安に消毒します

(6)消毒薬の乾燥を確認した後、ドレッシング材を貼ります

屈曲しないように適度にループを作り、ドレッシング材で固定します(ループを作ることで、患者さんの体動や突発的な引っ張りによりカテーテルの抜去や接続が外れることを防ぎます)

(7)手袋を外し、アルコール擦式消毒剤で手指衛生を行います

Q 中心静脈カテーテル留置部位の消毒と固定方法で誤っているものはどれですか?

(1)カテーテル挿入部のみを十分に消毒する。
(2)カテーテル挿入部を被覆し滅菌を保つために、透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する。
(3)カテーテル挿入部局所への抗菌薬軟膏の使用は、感染防止に効果があるという根拠はないので行わない。
(4)患者さんが発汗または留置部位に出血、浸出液またはスキントラブルがある場合は清潔なガーゼを選択してもよい。
(5)カテーテル挿入前、挿入部位の消毒効果を補完するためには清拭またはシャワー浴を行い、有機溶剤(アセトン、エーテル等)を用いた皮膚のケアは行わない。

※A (答え):(1)

消毒が必要なのは、挿入部のみではありません

透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する

消毒は挿入部のみならず、縫合部分を含めた広範囲(ドレッシング材貼付範囲)に行わなければなりません。よって(1)「カテーテル挿入部のみを十分に消毒する」は誤りです。

(2)「カテーテル挿入部を被覆し滅菌を保つために、透明、半透過性のドレッシング材は大きめの物を選択する」は正解で、使用するドレッシング材は器具の固定、広範囲の消毒部分を覆う目的から大きいものを選択します。

また、(3)「カテーテル挿入部局所への抗菌薬軟膏の使用は、感染防止に効果があるという根拠はないので行わない」に関しては、局所への抗菌薬軟膏の使用は血液浄化用のカテーテルの場合には使用効果を認めるという報告があります。
しかし、中心静脈カテーテルの場合は真菌の定着、細菌の耐性化、カテーテルの素材(ポリウレタン製カテーテル)品質の劣化があるとされていることから、行いません。
ガーゼドレッシングについては、透明なドレッシング材を使用したグループとガーゼによるドレッシング材を使用したグループとで、感染のリスクを比較した研究があります。それによると両グループ間でカテーテル関連血流感染のリスクに差は認めなかったという結果が出ています。

患者さんの状況を観察して判断し、どちらを用いるか検討すればよいので、(4)「患者さんが発汗または留置部位に出血、浸出液またはスキントラブルがある場合は清潔なガーゼを選択してもよい」は正解です。

(5)「カテーテル挿入前、挿入部位の消毒効果を補完するためには清拭またはシャワー浴を行い、有機溶剤(アセトン、エーテル等)を用いた皮膚のケアは行わない」は正解で、有機溶剤の使用による皮膚の有機物除去は、皮膚の脱脂や過敏反応によるスキントラブルの原因となり皮膚の細菌定着を高めることにつながるため、行いません。

Q カテーテル挿入中、ドレッシング交換時の皮膚消毒に最も効果的なのはポビドンヨードって本当?

※A NO

それぞれの特性を知り、使い分けましょう

米国では10%ポビドンヨードや70%アルコールに比べて、2%グルコン酸クロルヘキシジンを使用したほうが血流感染の発生率を低下させることができるという報告がありますが、日本では2%グルコン酸クロルヘキシジン液は販売されていません。10%ポビドンヨードや70%アルコールの消毒効果が2%グルコン酸クロルヘキシジンより劣るという意味ではないので、日本では中心静脈カテーテルの消毒には、10%ポビドンヨードまたは70%アルコールを使用しています。
また、10%ポビドンヨードと70%アルコールのどちらを使用するのがよりよいという推奨はされていません。大切なのは、広範囲に正しく消毒することと、10%ポビドンヨードおよび70%アルコールの利点を考慮して使用することです。
10%ポビドンヨードは皮膚に対して低刺激で副作用も少ないのですが、有効な消毒効果を得るためには2分程度の接触時間が必要となります。一方、70%アルコールは即効性のため消毒にかかる時間が短くてすみます。しかしアルコールは消毒の持続効果、細菌芽胞への効果はありません。これらのことを考慮し、選択することが必要です。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

※次回は経路別予防策について解説します。

ページトップへ