【連載】なぜ? どうして? 22問でわかる 最新 感染対策

第16回【空気・飛沫・接触編】空気感染する疾患、そして予防策は?

監修 藤田昌久

日本医科大学付属病院 医療安全管理部 感染制御室 看護師長 感染管理認定看護師

執筆 藤田昌久

日本医科大学付属病院 医療安全管理部 感染制御室 看護師長 感染管理認定看護師

感染経路には、空気、飛沫、接触といった種類がありますが、これらの違いを知っておくことが、正しい予防策の第一歩となります。今回は、空気感染で感染する疾患、予防策について学んでいきましょう。


Q 空気感染する疾患はどれですか? 3つ選択してください。

(1)水痘
(2)流行性耳下腺炎
(3)結核
(4)風疹
(5)インフルエンザ
(6)麻疹
(7)ノロウイルス感染症

※A (答え):(1)(3)(6)

ノロウイルスは基本的には接触感染

麻疹は空気感染、風疹は飛沫感染

(4)の風疹は飛沫感染の疾患です。

(7)のノロウイルスは嘔吐物や便などの排泄物が速やかに処理されないと、飛散することにより接触感染以外の感染経路も認められます。しかし、基本的には接触感染としての対応を重視します。

また、肺および気管・気管支結核、喉頭結核以外の結核の場合は、呼吸器からの排菌が否定できれば必ずしも空気感染予防策の対象とはならないことも覚えておきましょう。

Q 空気感染の予防策の対応として正しいものはどれですか? 2つ選択してください。

(1)N95微粒子用マスク使用時は、最初の装着時のみフィットチェックを行えばよい。
(2)患者さん、家族、医療従事者は常時N95微粒子用マスクを使用する。
(3)医療従事者に十分なウイルス疾患への抗体価を認める場合は、患者対応時にN95微粒子用マスクを使用する必要はない。
(4)患者さんがマスクを使用していれば病室内外の移動は制限しないでよい。
(5)検査を行う場合、対応者や周囲の患者さんへの配慮が必要である。

※A(答え): (3)(5)

空気感染の予防策を知っておく

マスクのフィットテストは定期的に実施する

(1)「N95微粒子用マスク使用時は、最初の装着時のみフィットチェックを行えばよい」は誤りです。N95微粒子用マスク着用時は、初回だけではなく、使用のたびにマスク全体を両手で覆い、強く息を吐き出して鼻や顎の下などに空気の漏れる隙間がないことを確認するフィットチェック(シールチェック)を実施する必要があります。
フィットテストはマスクの正しい着用方法、自分に合ったサイズの確認のために定期的に実施するものです(マスクについては第6回を参照)。

(2)「患者さん、家族、医療従事者は常時N95微粒子用マスクを使用する」は誤りで、N95微粒子用マスクを常時着用する必要はありません。ただし、肺または咽頭結核患者さんと接触する場合や、気管支鏡などエアロゾルが発生する場合などでは着用する必要があります。

(3)「医療従事者に十分なウイルス疾患への抗体価を認める場合は、患者対応時にN95微粒子用マスクを使用する必要はない」は正解ですが、麻疹、水痘、風疹、ムンプスに対する有効な抗体価がある場合でも標準予防策の視点からスタッフはサージカルマスクの着用が必要です。

(4)「患者さんがマスクを使用していれば病室内外の移動は制限しないでよい」は誤りです。空気感染の疾患をもつ患者さんへは、人への感染性が高い時期には陰圧室または陰圧に管理された病室などへ移動することを了承してもらいましょう。
さらに、マスク使用の有無にかかわらず移動は必要最低限にしてもらう必要があります。検査など移動がやむを得ない場合は、事前に検査部門への情報提供、優先対応、検査時間の確認などを行い、対応方法を十分整えてから行うようにします。よって(5)「検査を行う場合、対応者や周囲の患者さんへの配慮が必要である」は正解です。

(『ナース専科マガジン』2011年1月号より転載)

※次回も「経路別予防策(空気・飛沫・接触感染予防策)編」です。飛沫感染と接触感染の予防策について解説します。

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