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神経障害性疼痛(しびれ、電気が走るといった異常感覚と伴う)はどのようにアセスメントするのですか?

  • 公開日: 2013/11/13

もともと痛みはその人自身にしか分からない主観的な感覚で、患者自身が「痛い」ということを信じることが必要です。疼痛の評価は、患者自身が痛みをどのように感じているかを評価することがゴールドスタンダードです。特に新しく出現した痛みについては、その原因が何かを考えることが重要になります。 がんの痛みはその性質によって、体性痛、内臓痛、神経障害性疼痛の三つに分類されます。痛みの性質によって治療が違ってくるので、痛みの性質を分類する必要があるのです。痛みをアセスメントすることは、疼痛治療の第一歩で、看護師の重要な役割です。


Q. 神経障害性疼痛は、どのように観察すればよいですか?

A. 患者さんに起こる痛みとして、しびれや電気が走るといった異常感覚を伴う神経障害性疼痛があります。「痛いですか?」という質問だけではなく、「しびれはありませんか?」「どのような痛みですか?」と痛みの性質を聞くこと、病気のある場所と違う場所にしびれなどの症状がないか確認します。

デルマトーム(皮膚分節)で痛みの部位を確認する必要

デルマトームは、脊髄後根の皮膚に対する支配領域・知覚図になるからです。たとえば椎体に転移したがんによって、脊髄や脊髄神経根が圧迫あるいは直接刺激を受けると、神経支配領域に一致した知覚・運動障害とともに、神経障害性疼痛が発生します。

アセスメントをしっかりと行い、医療チームで痛みを和らげる支援を

神経障害性疼痛は、末梢・中枢神経の直接的損傷によって発生する痛みです。なぜ、神経障害性疼痛を見逃さないことが必要かというと、使用する治療戦略が違ってくるからです。神経障害性疼痛は、末梢・中枢神経の直接的損傷によって発生する痛みです。「びりびり電気が走るような・しびれる・じんじんする痛み」などが特徴です。皮膚・骨・粘膜などの侵害受容器に機械的刺激、温度刺激、化学刺激が加わることによって起こる体性痛・内臓痛は、NSAIDs、アセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬の効果が期待できますが、神経障害性疼痛の緩和にはそれだけでは不十分で、鎮痛補助薬を併用する必要があります。
なぜ、神経障害性疼痛にオピオイド系鎮痛薬は効きにくいのですか? 脊髄後角細胞の過敏化を示すwind-up現象におけるオピオイド系鎮痛薬の無効性、神経損傷後の脊髄後角におけるオピオイド受容体数の減少、Aβ繊維を介した疼痛である可能性などがいわれています。 同様の症状であっても同じ治療法が有効であるとはかぎらず、有効性を予測することが難しい痛みです。看護師は、神経障害性疼痛の存在を認め、適切な薬物療法をチームで話し合いながら選択し、繰り返し評価し、温罨法、リラクセーション、衣類の工夫などの看護ケアを取り入れ、早期に介入することが大切です。

国立がん研究センター東病院 最良のがん診療の提供とともに、新しいがん医療を創出する役割を担い、手術・化学療法・放射線治療など、最先端医療を行うがん専門病院。チーム医療を重視し、がんと診断されたときから、患者さんが自ら意思決定できるような看護体制を整備。患者さん自らの生活や生き方を大切にした安らぎのある看護が特徴。 詳細はこちら

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