【連載】吸引困難5大ケースを攻略する!

第4回 鼻腔吸引の手順を確認しよう!

解説 小林恵子

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

解説 石山 都

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

今回は困難ケースの解説をお休みして、ここで経鼻吸引の手順について解説します。 感染対策に十分注意しながら、患者さんの苦痛に配慮して手早く行いましょう。


鼻腔吸引の準備

(1)吸引の必要性をアセスメント

バイタルサインや呼吸状態、呼吸音、SpO2、咳嗽の有無、咳嗽反射の有無などからアセスメントします。

(2)必要な物品の準備

吸引装置、吸引用チューブセット、ディスポーザブル手袋、サージカルマスク、ビニールエプロン。必要に応じてゴーグル、キャップ、アルコール綿、新鮮な水道水、ジャクソンリースなどを準備します。吸引チューブの太さは10Frで長さは40cmにします。吸引装置の吸引圧を設定します。

(3)患者さんに説明

吸引の方法と目的を説明して患者さんの不安を軽減し、協力を求めます。また、鼻血が出やすくないか出血傾向を確認し、鼻腔内に分泌物が貯まっていたら除去します。また、吸引しやすいように必要に応じて体位排痰法を実施します。

鼻腔吸引の実施

(1)感染対策

擦式手指消毒薬での手指消毒、または衛生学的手洗いを行い、スタンダードプリコーションによる感染防止をします。装着は、サージカルマスク(必要に応じてゴーグル、キャップ)、ビニールエプロンまたはガウン、ディスポーザブル手袋の順番に行います。

(2)吸引チューブの開封

吸引チューブの袋を開けたら、チューブが不潔にならないよう取り出さずに台などに置きます。この操作は無菌操作で行う必要があり、チューブに手や周辺の物が触れて不潔にならないように注意します。

吸引チューブの開封実践写真

(3)吸引用チューブの接続

利き手で吸引チューブを取り出し、吸引器のホースに接続します。このとき、吸引チューブがブラブラしていると、周辺の台などに触れて不潔になることもあるので、十分注意します。

吸引用チューブの接続実践写真

×やってはいけない

吸引チューブの端が不潔野に触れてしまう!

やってはいけないこと

(4)吸引圧・吸引状態の確認

吸引チューブで万能つぼに入れた新鮮な水道水を吸引し、吸引圧と吸引状態を確認します。吸引圧は、吸引チューブの吸着による粘膜損傷を防ぐために20kPa以下に設定することが原則となります。圧が高すぎると、気道粘膜を傷つけることになります。

吸引圧・吸引状態の確認

(5)患者さんへの説明

吸引直前にもう一度、患者さんに吸引することを説明します。

(6)吸引チューブの挿入

圧をかけないで吸引チューブを鼻腔に挿入します。吸引チューブの先端が鼻腔壁の上部に当たったように感じたら、そこでチューブを少したるませるようにすると、スムーズに気道に入ります。目安として鼻腔入り口から15~20cmほど、先端が気管分岐部に当たらない位置まで挿入します。

奥まで入れても痰が引きやすくなるわけではなく、むしろ深く入れ過ぎると右気管支に入りやすく、無気肺や虚脱肺を招くことがあるので、注意します。

コツ

チューブ先端が鼻腔壁の上部に当たった感覚がしたら……

吸引チューブの挿入

たるませるようにすると、気管分岐部の手前まで、チューブが導かれていきやすい

(7)吸引する

吸引圧をかけて痰を吸引します。このとき、吸引チューブを指先でクルクルと擦り合わせるようにして回すと、吸引圧が一カ所に集中することによる粘膜への吸着を防ぐことができます。

また、吸引時間は1回7~10秒程度を目安に行います。酸素化が悪い人の場合は、7秒以内にします。吸引チューブを引き抜くときは、酸素化が低下していないかを確認します。

酸素化が悪い人の吸引の場合は、吸引によりさらに悪化する可能性があります。医師に相談して、吸引前後に酸素吸入量を一時的に上げる方法などを確認します。また、吸引の際は、患者さんの表情やチアノーゼの有無、経皮的酸素飽和度モニターや心電図を確認しながら行います。

(8)吸引後の状態の評価

吸引チューブを抜去したら、患者さんの呼吸状態や吸引物、鼻血の有無などを観察します。吸引が終了したことを患者さんに伝え、吸引前の状態と吸引後の状態の変化から、気道の確保を確認します。

(9)終了後のチューブの取り扱い

使用済みのチューブをまるめて片手に持ち、手袋を裏返しながらチューブを包み込み、さらに反対側の手袋も裏返して脱ぎながらコンパクトに包み込み、感染性廃棄物の容器に廃棄します。

(ナース専科マガジン2012年12月増刊号『一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

※次回は、「吸引困難ケース(3)」について解説します。

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