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【連載】看護師のための口腔ケア

第3回 口を開けてくれない患者さんへの口腔ケア

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なぜ患者さんは口を開けてくれないのでしょうか

看護師さんが臨床で口腔ケアを行う際、一番の障害ともいえるのが、患者さんの「開口障害」「開口拒否」です。口を開けてくれないといった困った状況は、あなたにも経験があるのでは? それでは一体、なぜ患者さんは口を開けてくれないのでしょうか。その原因は大きく2つ、病的原因と心的原因に分けられます。

病的原因による開口障害

病的原因による開口障害は、「口が開けられない」という状態。おもな原因として、中枢神経障害の後遺症など認知障害、意識障害、口腔周囲筋などの機能低下や廃用、顎関節の脱臼などの顎関節異常などがあげられます。

《認知障害のある患者さんへの口腔ケアはあせらずに》

認知障害の場合、基本的に意思の疎通が困難になっています。何をされているのかが理解できない、何を指示されているのかがわからない、あるいは何をして欲しいかを表現することができなくなっていることもあります。こういった状態で無理矢理ケアを行っても、結果的に開口拒否につながります。

大事なのは、あせらずに患者さんへアプローチすることです。具体的な方法としては、後述する心的原因による開口障害ある患者さんへのケアとほぼ同じとなります。

《意識障害のある患者さんへの口腔ケアは誤嚥に気をつけて》

意識障害といってもその程度も様々ですが、昏迷、半昏睡、昏睡状態では、口頭での応答は不可能です。また、せん妄や錯乱がある場合には、意思疎通が困難なだけでなく、口腔内に歯ブラシなどを入れると反射的に噛んでしまう場合もありますので、術者の指を守るための対策・器具も必要となります。更に、嚥下が自分で制御できないことが多いので、誤嚥のリスクは高くなります。

口腔状態が悪化しているということは、口腔内には通常よりも細菌が繁殖していますから、唾などを誤嚥すると、難治な誤嚥性肺炎を誘発する原因となります。吸引をしながらの口腔ケアや、誤嚥をしないような体位の工夫が必要になります。

《顎関節異常のある患者さんや口腔機能低下を起こしている患者さんへは機能向上をめざしたリハビリから》

顎関節異常の場合は、口を大きく開けられなくなるとともに、口を開け続けることができなくなります。その場合、開口補助具などを使って開口を保持してケアを行いますが、根本的な原因は解決されません。

身体を動かしていないと筋肉の伸びや動きが悪くなるのと同様に、長期間にわたる経管摂取や胃ろうにより口腔機能が低下していたり廃用に近い状態になっている場合は、当然ながら開口や閉口に関係する筋肉の動きが悪くなり、口の開け閉めが難しくなっています。ですから、まずは機能を回復させてあげることからはじめましょう。口腔の外側からは、ストレッチをはじめとする可動域訓練などを行います。

少しでも口が開くようであれば内側からは口腔内や舌のマッサージを行い、口腔機能を向上させるような機能的口腔ケア、つまり口腔リハビリを行うことが重要になります。