【連載】腎不全看護

第1回 腎不全看護における看護師の役割

1 CKD対策と透析医療の現在

腎不全医療は、診療科や治療の場を選ばず、多くの専門職が協働するチーム医療です。最近の傾向としてあげられるのが、透析患者さんの高齢化や糖尿病透析患者さんの増加です。

末期腎不全の治療の選択では、血液透析療法、腹膜透析療法、腎移植の3つの方法の他に、「何もしない」という選択肢も考えられるようになり、チームとしてのあり方も拡大し、さまざまに検討されています。

看護師は新たな治療法や生活としての透析療法を考えた患者さんの支援、そして安全・安楽な統制維持などに関連した知識、技術、経験が必要です。そのポイントについてお示しします。

近年CKD(慢性腎臓病)という疾患概念が提唱され、有効で持続的な対策を講じる必要性が認識されてきました。CKDの発症頻度の高さや心血管疾患(CVD)などを引き起こすリスクの高さ、早期発見と積極的な治療による腎機能障害の進行抑制や心血管系疾患の予防など、症状の進行に応じた適切な医療ができるようにさまざまな医療間連携を取りながら対策を進めていく活動が進められています。

看護も、治療の初期からの継続的支援、生活指導や調整などその役割は大きく、腎不全のみならず腎臓病全体のケアも必要となりつつあります。透析導入患者さんは高齢化、合併症による重症化という特性があります。導入される患者さんの平均年齢は66.2歳で、糖尿病や腎硬化症を原疾患として透析導入となった人が増えています。

そして、日本の高齢化社会に伴い、今後もますます患者さんの高齢化が進むと予測されます。 また、透析治療の長期化よって、心血管合併症や透析アミノロイドーシスなどにより、生活制限を余儀なくされています。

透析歴15年以上では、72%の患者さんが骨、間節、神経系および心・血管系の合併症を有し、半数近くが骨・関節痛により、日常動作の入浴、更衣、移動で介助を要するとも報告されており、高齢者医療そのものともいえます。

2 腎不全看護の基本理念

透析療法は腎の一部代行療法です。とくに血液透析療法では2~3日間の体の変化を数時間で補正し是正するわけですから、身体状況の把握や安全で安楽な透析維持、あるいは日常の食事や水分管理、薬物などと併用される治療といえます。

腹膜透析でも同様のことがいえます。 透析は終生、続けるという点では延命治療ともいえますが、長期に継続が可能です。機械を用いるため、臨床工学技士が必要であり、生活を支えるという点では介護や福祉も含めてさらに多くの職種が必要です。

つまり、多職種で構成されるチームの中心に患者さんを据えて、生涯かかわっていくという永続的な「患者―医療者関係」が存在します。 このような状況下での看護は、職種間での仕事の重なりも大きく、連携がとても重要になります。そして、主治医や受け持ち看護師との関係が長く続きますので、その関係が患者さんとご家族に及ぼす影響は大きいでしょう。

患者さんに寄り添い、いろいろな状況を共有することもあります。看護師に求められる資質はチームスタッフや患者さん、そしてご家族とも良好な対人関係を維持できること、状況を客観的に捉え対応できることなどが役割遂行能力となります。

そのためには信頼関係の成立、人間関係の構築のための学習が必要です。目的のために意識的に行動し、自らが使うことのできる能力をもつことが重要です。

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