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【連載】ナースのための認知症ケア

第4回 これってもの忘れ?認知症?

監修 三宅貴夫

社団法人 認知症の人と家族の会 顧問 京都保健会盛林診療所 所長

健康な記憶障害

認知症の最も基本的な状態はもの忘れ、記憶障害であることは前回述べました。しかし記憶障害はあるが認知症でない状態について知っておくことは認知症の理解や判断により役立つと思います。

高齢者に最も多いもの忘れは、加齢にともなう年相応な記憶障害です。健康な記憶障害と変な呼び名ですが、良性健忘ということもあります。 このタイプの記憶障害は、新しいことが覚えにくいことは認知症と同様ですが、新しくて且つ大切なことは忘れることがあまりありません。朝食に何を食べかは忘れても食べたこと自体を忘れることはありません。デイサービスの職員の名前を忘れてもデイサービスに行ったことを忘れることはありません。

さらに聞いたことで大切なことと判断した場合、忘れてしまうかもしれないと注意が向いて、頭で覚えるのではなく、紙に書いて残しておこうします。自分の記憶障害を補う能力(これは前回の認知症の判断基準で述べた「実行機能」にあたります)を持ち備えています。こうして、多くの高齢者は自分ではもの忘れがひどいと思っていても、身の回りのことは一応できており、大きな混乱もなく一人暮らしができるのです。これも認知症とは違います。

軽度認知障害

最近、進行性の認知症であるアルツハイマー病を早期に発見し早期に対応することの重要性が認識されるようになりました。さらにアルツハイマー病を発病してはいるが症状が出る前に病気を確かめ発症を予防できないかということに研究が進められています。こうしたなかで認知症でもない正常なでもないという状態、軽度認知障害の関心が高まっています。

これはアルツハイマー病になり自ら公表し一昨年93歳で亡くなったアメリカ元大統領のレーガンの主治医だったと言われているピーターソン医師が提唱したものです。この医師の基準では次の5つを満たす状態を軽度認知障害と言います。

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