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【連載】看護部長インタビュー

第6回 看護の根底、それはズバリ“愛”【医療法人社団青葉会 牧野記念病院 看護部長】

取材 長谷川美枝子

医療法人社団青葉会 牧野記念病院 看護部長

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看護師を志したきっかけ

「何かの資格を持って、ずっと仕事をしていたい」という思いがいつもありました。そうして働ける職業の選択肢として、学校の先生か看護師さんになれたらな、と思っていたんです。最初は、小さい頃から憧れていた小学校の先生への道を志しました。

だけど…私が就職する頃って、子どもたちを取り巻く社会環境がものすごく荒れてきた時期で。子ども同士のいじめや自殺、児童犯罪や学級崩壊が爆発的に増えてきた時代だったんですね。そんな社会環境のなかで徐々に、先生になる自信がなくなっていってしまって…。

どうしようかな、と悩んでいるうちに、もう一つの夢であった看護師になろうと思うようになりました。これには、看護師だった私の叔母の存在が大きな決め手になったように思いますね。叔母はずっと働き続けていましたから、「長く仕事を続けられるんだな」ということを、身近な部分で実感できていたんです。また、私の通学路に看護学校がありましたので、今思えば、看護師を目指す学生さんたちの様子を毎日目にする環境も影響していたのかと思います。

「ずっと仕事をする」というお手本にあふれた環境があったからこそ、看護師という仕事を、自然と自分の中で受け入れていたのかもしれませんね。

自身の看護観

私は看護の根底は、“愛”だと思っているんです。“愛”なんて、口に出して言うのは少し照れてしまうけれど、でも本当にそうだと思うんです。究極をつきつめていくと、看護の根底は“愛”、“人間愛”なんだって。

それに気付けたきっかけは、ある患者さんとの出会いなんです。乳ガンを患って入院した彼女はひどく悲嘆していて、病気と向き合うことができなかった。私は、その人との対話をどんな風に持っていって、どうしたら受け入れてもらえるのか?と考え、看護の理論を利用して、交換日記(ポートフォリオ技法)を始めました。

それも、みんな(24時間、色々な看護師)で書く交換日記です。「みんなが、あなたを思っているし、元気になってもらいたい。お家に帰って、できることを増やして欲しい」と精いっぱい伝えたんですね。

そうして、本当に彼女が抱えている悩みを伝えてもらって、私たち看護師が「あなたを思っています」という”愛”を込めるようにした結果、治療に参加もできなかった彼女が、退院して、外来治療ができるようになったんです。看護の実践に理論や技法は必要です。だけど、それを使って患者さんに対応していく時の根っこの部分は、”愛”。愛があってこそ看護が成り立つんだと気付いたんです。

看護師は”愛”を届けるために様々な理論や技法を用い、患者さんの求めるもの(ニード)に応じた行動をとっていくべきだと思っています。