【連載】ナースのための認知症ケア

第8回 認知症はどのように検査・診断するのか

監修 三宅貴夫

社団法人 認知症の人と家族の会 顧問 京都保健会盛林診療所 所長


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問診が最も大切

 問診が最も大切。認知症でないかと心配な人、あるいは認知症の人自身が診断を求めて受診することはありますが、多くは家族が親や配偶者の症状を心配し、あるいは生活上の問題が生じて初めて受診させます。

 認知症の診断は外来診療で行われます。この診察のなかで「問診」が最も大切で基本です。

 何時ごろから、どのように生活上の変化があったのか、それが徐々なのか急なのか、またもの忘れはいつからどのようなことで目立つようになったのか、今の日々の生活はどのように送っているか、これまで脳血管障害になったり交通事故にあったことはないか、現在高血圧の治療を受けてはいないか、またどのような薬をのんでいるか、家族や親戚に認知症に人はいないかなどを聞きます。これだけでもおおよそ認知症かどうかの判断ができることもあります。

どのような検査をするか

 通常の高齢者の外来診療と同様に、身体面の診察をしますが、特に手の動き、腱反射など神経系統の診察は重要です。脳血管性認知症の診断の参考になるからです。次に一般的な尿、血液、胸部レントゲン、心電図の検査を行います。血液検査では、甲状腺ホルモンとビタミンB12や葉酸の濃度も調べます。

 検査のなかで最も重要で不可欠なのが頭部CTの検査です。これらの検査はどれも高齢者にもあまり負担をかけないで短時間にできる検査です。

 心理テストですが、長谷川式スケールやMMSEなどは私はあまり行っていません。このテストは、いかにも高齢者を能力を試しているという印象を与え、心理的負担になることを心配するからです。テストをする場合は高齢者に断って無理のないように慎重に行っています。

 私が必ず行っているあまりに簡単なテストとして年齢を聞いています。カルテで年齢を知っていても、「失礼ですが、おいくつですか」と聞きます。これが正確に言えないと認知症と判断してほぼ間違いありません。

 正確に言えると認知症でないことが多いのですが、DSM-IV(コラム第3回参照)の認知症の診断基準に該当することがあります。この方法がよいのは初診でもおおよそ認知症の有無が判断できることと高齢者の感情に配慮したテストであると考えるからです。

認知症の原因まで診断する

 こうした診察や検査から、認知症の有無を診断しますが、これだけでは不十分です。認知症高齢者の原因がアルツハイマー病なのか、脳血管障害なのかあるいはそれ以外の疾患によるものかまで判断しなければなりません。治る認知症と診断すれば早急に治療を始めなければなりません。

 また認知症でない場合は、うつ状態など他の心の病気(コラム第5回参照)か、認知症ではない他の記憶障害(コラム第4回参照)ではないかと診断します。 しかし多くの認知症はアルツハイマー病や脳血管性認知症ですが、このどちらであるかの判断は大切です。二つの病気は経過も治療も異なるからです。しかし75歳以降の後期高齢者ではこの二つの区別は簡単ではありません。両者が併存している場合、混合型認知症があるからです。

 このように判断が難しい場合、急いで診断する必要はありません。初診だけでアルツハイマー病か脳血管性認知症かの判断は避けています。また認知症の疑いがある人についても、1月後あるいは3月後に再度、診察を受けてもらい最終的な判断をするようにしています。

もの忘れ外来

 ところで認知症が疑われたときにどこで診てもらうのがよいのでしょうか。神経内科、精神科、老年科あるいは脳神経外科で認知症は診ていますが、最近、全国各地に「もの忘れ外来」という専門外来が病院や診療所で行われるようになっています。この外来で診てもらうのがよいでしょう。予約制のところが多いので前以って受診の方法を聞いておきましょう。

 また受診の際には、ご本人のそれまでの状態について簡単にメモしておくと診察に役立ちます。全国にある「もの忘れ外来」一覧は私が調べた範囲ですが、「認知症なんでもサイト」に掲載しているので参考にしてください。

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