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【連載】ナースのための認知症ケア

第9回 認知症患者へはどのように薬を利用すればよいか

監修 三宅貴夫

社団法人 認知症の人と家族の会 顧問 京都保健会盛林診療所 所長

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認知症と薬の関係は新しい時代に入りつつあります。薬の効果、限界、副作用について知っておくことは認知症ケアのなかで大切です。このことをアルツハイマー病と脳血管性認知症の薬を中心に述べてみます。

アルツハイマー病と薬

アルツハイマー病は、以前、不治の病と言われ、私もアルツハイマー病と診断すると医師としてすることがあまりありませんでした。しかし1999年に日本の製薬会社のエーザイが開発したアルツハイマー病の薬であるアリセプト(一般名:ドネペジル)が使用できるようになり、認知症治療を大きく変えることになりました。

アリセプトの効果は、軽度から中程度のアルツハイマー病の人の効果がありますが、驚くほど効くこともありますが、認知機能の改善などの効果がある人は限られ、その効果期間も長くて2年程度です。しかしアルツハイマー病に薬が全くなかった時期と比べると大きな進歩と言えます。

もっともイギリスでは、アリセプトなどアルツハイマー病薬の効果は費用(アリセプトの場合、日本では1日1回1錠で約500円、欧米でもほぼ同額)からみてわずかであり、公的医療からは除くべきとの報告書が出ています。この意見には一理あると思います。

確かに現在のアルツハイマー病薬は過渡的な薬と考えるのが妥当でしょう。しかし確かに効果がある人がいることが事実であり、このことは認知症ケアの現場にも少なからず影響を及ぼしています。

介護や環境の工夫を中心とした認知症ケアによってアルツハイマー病の人の精神的安定、認知機能の改善を図る取り組みはそれなりに改善を認めることはありますが、これに薬物療法という手段によっても認知機能が改善することが可能となってことは、認知症ケアのあり方を考え直さなければならならないでしょう。

認知症ケアと薬はどのような関係をもつころが望ましいのでしょうか。アルツハイマー病を根本的に治す薬が開発されるのはまだまだ先のようですが、現在、アルツハイマー病の薬の開発は世界中の製薬会社や研究者が競い合っています。

アルツハイマー病を根本的に治すことを目的としていることは言うまでもありませんが、アルツハイマー病の人が急速に増えるなかで、新薬の開発は製薬会社にとって大きなビジネスにでもあるのです。

脳血管性認知症と薬

脳血管性認知症と薬との関係は大切です。脳血管性認知症の原因である脳梗塞や脳出血など脳血管障害の再発や悪化を防ぐことで認知症の進行を防いだり改善することが不可能ではないからです。脳血管障害の危険因子である高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、心房細動などの状態を適切に管理し治療することです。

このことはとかく軽視されがちですが、認知症の治療もあり予防でもあります。すなわち認知症ケアのなかに、食事療法、運動療法、薬物療法を取り入れていくことが求められています。また水分を十分とることも脳血管性認知症の悪化予防には大切です。とかく認知症ケアでは精神面や環境面が強調されがちですが、身体面のケアも忘れないでほしいものです。

また最近、脳血管性認知症だけでなく、アルツハイマー病にも高血圧など身体面の管理、治療の重要性が認識されつつあります。