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【連載】ナースのための認知症ケア

第12回 過去に生きる、認知症患者

監修 三宅貴夫

社団法人 認知症の人と家族の会 顧問 京都保健会盛林診療所 所長


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認知症・認知機能障害の看護ケア|原因、症状、アセスメントのポイント


認知症ケアの基本となる認知症の人の心理を理解するため、さらに二つの特徴について説明します。

過去に生きる

 退職してかなりの年月が経っている認知症高齢者で、朝になると「会社行く」と言って外出しようとして家族を困惑させることがあります。また子供たちは独立して孫までいる女性の認知症高齢者で、夕方になると「子供が帰ってくるから、食事の用意をしなければ」と落ち着かなくなることがあります。

 こうした言動は認知症、とくにアルツハイマー病の人に特徴的に見られる「過去に生きる」状態と考えています。アルツハイマー病を発病すると、発病した後の数年間の記憶がないことは理解できますが、病気が進むと発病前にさかのぼって記憶が曖昧になったり、失われたりします。

 例えば83歳の認知症高齢者で80歳頃アルツハイマー病を発病すると80歳前の30年間の記憶まで曖昧になります。曖昧な記憶ではなくはっきりした記憶、即ち50歳代の記憶の世界に生きているようになります。すると50歳代では妻は40歳代かもしれません。
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