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【連載】ナースのための認知症ケア

第14回 患者の感情、思い、プライド、性格への配慮

監修 三宅貴夫

社団法人 認知症の人と家族の会 顧問 京都保健会盛林診療所 所長

「過去に生きる」ことを受け容れる

認知症、特にアルツハイマー病の高齢者によく見かける、あたかも過去に生きているかのような状態は、発病してから現在までの記憶だけでなく発病前の記憶まで遡って失われることによって生じると考えられます。失われた記憶の世界は認知症の人には存在しないに等しく、残された記憶のなか、すなわち「過去に生きる」ことになるのです。しかし「過去の生きる」認知症の人はこの現実の世界をどう捉え、どう生きてよいか戸惑うでしょう。

介護者は、こうした認知症の人に現実をよりよく理解してもらう試みをしたくなります。認知症の人に「私はあなたの妻です。子供はみんな結婚して別に暮らしています。20年前に退職しました。会社に行く必要はありません」と現実を理解してもらいたく説明します。

でも「過去に生きる」認知症の人は、そうした説明に納得できないでしょう。介護者に向かった「私の妻はもっと若い。子供はまだ学校に行っている、夕方に帰ってくる。会社を休むわけにはいかない」と言い張るかもしれません。 「過去に生きる」認知症の人に対して、一応、現実を理解してもらうような試みはしてもよいでしょうが、あまり強制にならないように注意しましょう。むしろ生きている過去を受け容れた方がよいと考えます。

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