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【連載】看護部長インタビュー

第11回 患者さんの痛みを必死で分かろうとするような看護師に【医療法人財団 東京勤労者医療会 看護部長】

取材 斉藤和子

医療法人財団 東京勤労者医療会 看護部長

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看護師を志したきっかけ

一つは、看護師だった姉の影響が大きいですね。姉が患者さんの話をしてくれたり、活き活きと働いて家に帰ってくる、その様子を見て、「看護師さんっていいな」と朧げながらも憧れを持ったんだと思います。

もう一つは、女性が社会に出て働き続けるということに、小さい頃からこだわっていたことです。父親からも「これからは女性も男性と同じように活躍していく社会になる」と教えられていましたし、働き続けることは必然でした。そして、社会に出ていくためには何か手に職をつけなければいけないと思った時に、姉の影響もあって、看護師を志しました。

自身の看護観

看護の相手は人間。ですから“人間をどう看ていくのか”ということを求められる仕事だと思います。病気を看るのではなく、病気を持っている“人”を看ること。これは私だけの看護観というより、病院全体がそういう考えのもと看護をしています。

たとえば、これは現場の師長のエピソードですが… ある病棟に、退院が決まった患者さんがいたんです。普通は退院して自分の家に帰れるって嬉しいことですよね。だけどその方は、その日が近付くにつれてだんだん元気がなくなってきていた。そこで師長がコミュニケーションをとって原因を探っていくと、その方には帰る所はあるにあるけれども、部屋の中が乱雑に散らかっていて、まるでごみ箱みたいな状態になってしまっていることを気に病んでいると分かったんです。

そこで師長は動きました。「ではそのアパートに行ってみよう」と。行ってみて、部屋の状態を見て、「今の状態では住めない」と判断して、ケースワーカーへも相談する一方で、自分で部屋の片付けを始めたんです。そして綺麗になったその部屋に、患者さんは退院して無事に帰って行きました。

それを聞いて私は「いい取り組みをしているな」と思いました。この患者さんのように、治療を終えても、その後に住む家がなかったり、働くところがなかったり…という悩みを抱えている患者さんがたくさんいる。そういう方に対して、「ハイ、治ったから退院」と言うわけにはいきません。社会的背景、生活背景、経済的背景を見て、1人1人がどういう思いをもって治療されているのか、トータルに見ていかないと本当の患者さんの要求は掴めないと思っています。