【連載】吸引困難5大ケースを攻略する!

第7回 認知症の患者さんへの吸引

解説 小林恵子

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

解説 石山 都

神奈川県循環器呼吸器病センター ICU病棟 集中ケア認定看護師

困難を感じたことがある上位に挙がった5つのケースについて、具体的な解決法を紹介します。どこに問題があるのか、あなたの体験した吸引の「困難ケース」について、じっくり再考してみませんか?


攻略法 恐怖心や苦痛を和らげる方法を考えよう!

認知症の患者さんは、吸引の必要性や処置の内容について理解を得るのが困難です。たとえ、吸引できることになっても、手を払いのけられたりすることもあります。しかも、認知症の症状には日内変動があり、「吸引してもいい」と言っていたかと思えば、その数時間後には「嫌がって口を開けない」ということも起こりがちで、ケアの見通しも立てづらくなってしまいます。

また、患者さんの安全を考えて一人が患者さんを抑え、もう一人が吸引をすることもあります。でも身動きできない中での吸引は、患者さんにとってはとても恐怖を感じる処置のはずです。医学的背景と倫理的な観点を考え合わせると、アセスメントはとても難しく、看護師が悩むのは当然なのです。

※続いては、「吸引の実践」について解説します。

必ず説明し、家族の同意も得る

たとえ理解を得るのが難しいとしても、患者さんに吸引を行うことを説明する必要があります。患者さんの特性を考慮し、わかりやすい言葉を用いて説明します。どうしても理解・協力が得られないようであれば、抑制なども考慮されるので、家族には予め説明をし、同意を得る必要があります。

一方、吸引をスムーズに実践するためには、患者さんとの信頼関係が欠かせません。日々、信頼関係を構築できるようなかかわりを心がけていきましょう。

迅速な手技で苦痛を最小限に

吸引によって症状が楽になったと患者さんが感じれば、次からは受け入れてくれるかもしれません。そのためにも、正確・迅速な手技で苦痛を最小限にする必要があります。必要な物品をきちんと揃えて、途中で中断することのないようにしましょう。

開口してもらえない場合には、指交叉法や開口器を用いてみます。さらに吸引チューブは細小サイズのものを使用すると、苦痛が緩和されます。口腔からの吸引は吐気などを誘発するので、鼻腔からの吸引の方が安全かもしれませんが、患者さんの状況から判断します。

(ナース専科マガジン2012年12月増刊号『一冊まるごと呼吸ケア』より転載)

次回は、「吸引困難ケース(5)」について解説します。

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